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「ゴルゴ13」 - 装甲兵SDR2‥の巻

Main Photo_144  もう十数年ぶりくらいで、今の、週刊ビッグ・スピリッツを、偶然読む機会がありまして、連載の続きものはよく解りませんが(そういうのは、ワク外の1行あらすじ読んで、何となく納得して、その連載中1回きりを読んでみたりもしてますが、よくは掴めません。あたりまえか)、一回1エピソードで終えるタイプの連載ものも、多く、中でも、女流が描く連載漫画に収穫がありました。「コジューツ」と「CAとお呼びっ!」で、これは一回1エピソード読んだだけですが、単行本(コミックス)で読みたいな、と思わせる面白い作品でした。若者向けの都会派生活ユーモアコミック、とでも呼んだらいいのか、TVの毎週9時10時台のワクでやるような(モチ実写)、都会派若者生活コメディードラマで(一昔前はこの時間帯でトレンディードラマというものをやっておりましたが)、ワンクール終結の楽しい若者ライフスタイル描写(これもまあホームドラマの一種かな)、というようなもので、このドラマ原作にすぐにでも使えそうな、安心ユーモア生活ドラマの、漫画。まあ、コメディーですね。女流が描く都会派ライフスタイルの、コメディー漫画。イイです、この2本。続けて読んだら面白そうな軽モノ作品。


 そんで、この今のスピリッツには、あの「日本沈没」が連載されてました。「日本沈没」といえば、あの日本SFを代表する作家、日本SF界の重鎮、小松左京さんの代表作のひとつです。多分、原作小説が書かれたのは60年代、映画化も60年代末頃かな?小松左京先生のSF長編小説で大作映画として、制作されたのは、この「日本沈没」と「復活の日」「首都消失」がありますね。この3作ってお話のシチュエィションがちょっと似てますよね。「さよならジュピター」ってコケタ映画もありますけど(これはちょっと、挙げた3作とは内容が全く違いますけどでも。でもこの4作はまとめて『パニックSF』ってくくってもいいかも)。今回のスピリッツでコミック化されてる漫画「日本沈没」は、お話のアウトラインは同じですが、内容はかなり今風にアレンジされてますね。スピリッツ読者の若者ウケするように。こんな風に、昔の名作を今の読者が楽しめるように、今風にイロイロと細部をアレンジしてコミック化して出す、というのもなかなかイイことですよね。今、月9ドラマで人気の、香取真悟の「西遊記」と、70年代末かな?堺正章の「西遊記」と60年代TV黎明期後頃の「西遊記」は雰囲気が全然違う。やっぱ、エンタティンメントのお話は、時代時代で変えて行かないと駄目なんですね。10年20年で、時代の雰囲気って変わりますからね。

Photo_145  という訳で、昔は毎週毎週欠かさず購読して楽しんでいたビッグ・スピリッツを、僕が超久々読んでみたの、という話でした。これはここで終わりまして、本編は、え~と、この間、レンタルDVDでハリウッド特撮大作「ステルス」を見て面白かった、という事から入ります。期待していた超音速ジェット戦闘機活劇映画でして、最初見る前は、十年前の(もっと前か?)トムクルーズ主演の「トップガン」を想像していたのですけど、雰囲気はあれとは違うものでした。お話の内容も違う。ハイテク超高性能超音速ジェットのステルス戦闘機の俊英パイロット3人が一応主役で、他にもう一機、このお話のテーマの、無人のステルス機がいる。愛称エディのこの戦闘機は、完璧ロボット機なんです。電子頭脳搭載ですが、もう電子頭脳だけで、一人立ち出来る個性、のロボット機。だから人間の操縦操作が容易になるようにコンピューター制御されたマシンとかではなく、個性人格を持つ一人立ちハイテクマシン。そして、お話の流れはアメリカSF映画によくあるこの機械の暴走。ホントに、このテのアメリカ映画には、数十年前の「2001年宇宙の旅」以来、人間の作った電子頭脳の一人歩きによる暴走テーマが多い。何かの本で、日米の工場の、ロボット導入のオートメイション機械化の折り、日本は「鉄腕アトムの」イメージがあったからスムースに行ったが、アメリカでは「2001年宇宙の旅」のコンピューターHALのイメージから、工場従業者に抵抗が多かったとのエピソードを読んだ記憶がありますが、これだけアメリカ映画にこの、ロボットの暴走、というエピソードが扱われるということは、やはり何か機械に対する不信感というイメージが、アメリカ人には強くあるのかも知れませんね。まあ、単にそういうふうに、狂える機械という事件に持って行かないと、ドラマ進行し辛いからだけなのかも知れませんけども。

Photo_146  で、ここからがお題の漫画でして、一年前に一度これでやりました、「ゴルゴ13」です。ものすごい量の原稿量でしょう、超ロングラン漫画、相当数のエピソード量。連載年月では、日本漫画界ではトップでしょうね。リードコミックスで、百数十巻、いったい何話くらいあるのか?450話?いや、500話超えてるな。累計販売数1億部ですけど、この数字はコミックスだけでしょ?あの、ビッグコミックの別冊と増刊でB6とB5版で雑誌形式で出てるのの販売数も加えたら、これは軽く2倍になるんとちゃいますか?2億部以上。信じられないような数字だぞ、「ゴルゴ13」。今、コンビニや書店で出てるのは、ビグコミ別冊special issue APRILですが、その前のJANUARY号で巻頭掲載の、02年5月作品「装甲兵SDR2の巻」でありますが、これが今回扱う「ゴルゴ13」内の1エピソードです。上記文の米特撮映画「ステルス」の流れから、ロボット兵器の話です。

Photo_147  「装甲兵SDR2」は米軍が開発しているロボット兵器で、ガンダムやエヴァンゲリオン、マジンガーZなどの乗り込みロボット兵器の、小さい判ですね。人間が一人、スポッと納まる、バトルスーツといってもいいくらいのものです。人間の一周り二周り大きな着用のような乗り込みのような機械で、モチ殺人兵器です。見掛け、モロ、ロボットで、身体のあちこちに銃火器類などの武器をいっぱい装備しています、スーパー殺人兵器です。アメリカが自国民兵士の生命を守るために開発した、地上接近戦用のスーパー殺戮兵器。対ゲリラ戦もOKの無敵の乗り込み着用ロボット兵器。もう、怖いもん無し。

 だが負けました。ゴルゴ13には。結果、そういうお話です。独裁国家でない民主国家アメリカには、世論がある。米国民は、勿論、戦争で自国民が死にゆくのは嫌である。でも、世界の警察を自負する覇権国家アメリカは戦争も辞さない。戦争はむしろ積極的にやる国である。しかし自国民の生命は守らねばならない。そこでロボット兵器の開発となる訳ですが、まだまだ独立思考行動ロボットまでいかないので、人間兵士の乗り込みか着用のようなロボット兵器となる。映画「ステルス」のエディは独立思考行動ロボット戦闘機でしたけども。


 それでもって、開発された二足歩行型着用ロボット兵器SDR2の実験となり、アメリカの抱える投獄中の死刑囚などの凶悪犯を、さる無人島に集め、お互いを殺戮し合わせる。サバイバルで生き残れば、無罪放免してやるとの褒美のエサを挙げて見せて。ここに殺戮機能試験として、SDR2が放り込まれる。この無人島サバイバルそのものがSDR2の機能実験なんですけど。そこに偶然、負傷したゴルゴ13が舞い込んでしまう。殺戮トーナメント戦の如きサバイバルで、残ったのはゴルゴ13とロボット兵器SDR2のみ。殺戮トーナメント決勝にて、ゴルゴ13が勝ち、この無人島での殺戮合戦という兵器実験を仕掛けた、裏側に居て安逸に見守っている米軍高官まで、ゴルゴ13は成敗する。ってな話ですね。

 「SDR2」のストーリーの中に、エピソードで、日本のHONDAが開発した二足歩行ロボットasimoくんを思わせる話も出て来る。劇画「ゴルゴ13」のお話の面白さは、やはりその国際情勢にマッチしたリアルさですね。何でも、現内閣、麻生太郎外務大臣は趣味の一つが漫画読書で、「ゴルゴ13」は大のお気に入りとか。識者や大人も充分満足させるストーリーで迫る、活劇ビジュアル、さいとうたかを氏の最大代表作「ゴルゴ13」。

Arrow22a 「SDR2」のラスト、ロボット兵器開発推進の中枢である米軍高官が、アメリカが「中東で南米でアフリカで築き上げた正義を…」と主張するのに対し、ゴルゴが言う、「その正義とやらはお前達だけの正義じゃないのか?」という疑問に、米軍高官は激昂して叫ぶ、「ふうざけるな!アメリカの正義は世界の正義だっ!」と。これは、今の国際政治の中の、覇権国家アメリカの態度を皮肉ったような、一場面ですな。特に、イラクへの空爆攻撃以降の核拡散防止に躍起になるアメリカの態度と、アメリカの振りかざす正義に対し疑問を持つ、EU内国他の多くの国々、という国際情勢の図式。もっとも、専守防衛で核を持たず、アメリカにべったりくっついている我が国としては、核拡散は絶対に阻止し続けて欲しい事ですけども。

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