初めてホイールを組んだ際、スポークの通し方がわからず苦労したので自分なりに整理(理解)して備忘録にしました。タンジェント組と呼ばれるスポークをクロス(交錯)させる方法は、「イタリアン」と「JIS」という2通りが基本で、今回はイタリアン組みと呼ばれる方法。
使用したハブはSANSINのスモールフランジハブで36穴。イタリアンの8本組を行います。本来スポーク長さが重要ですが、元のスポークを使うので考えません。そのうち一から組む機会も有るでしょうから、その時には勉強します。
同一方向のスポークを通します。同一方向なので、一方はフランジの外から内へ、もう一方はフランジの内から外へ通します。左右のフランジは同じ位置に穴が有るように見えて半ピッチずれています。写真(上)の様にフランジ外から内へ真っすぐにスポークを通すと、逆側のフランジ内側で突き当たります。この突き当たったスポークを基準として、逆側のフランジ内側から通すスポークを半ピッチ右に通すのか、半ピッチ左に通すのかが、JIS組とイタリアン組への分かれ道で、とても重要。
別の角度で。写真(上)のように正面から見て、上のフランジ外側から通したスポークに対し、下のフランジ内側から通すスポークを半ピッチ右に通すとJIS組になります。逆に、半ピッチ左に通すとイタリアン組になります。今回はイタリアン組なので写真(上)のように通します。このあと、左右共にフランジの穴を1個飛ばしにして同一方向のスポークを全て通します。
最初の1本(左右で2本)を基準として、フランジ穴を1個飛ばしに同一方向のスポークを全て通しました。 この後は一つ飛ばしで空いているフランジ穴へ逆方向にスポークを通します。
最初の2本をとります(上の写真で赤の1と8)。4本組、6本組、8本組とかっていうのは、上の写真で赤の1から数えて何本目をクロスさせるかという事で、今回は8本目をクロスさせます(赤の1と緑の4をクロスさせると4本組み、赤の1と緑の6をクロスさせると6本組み)。基準とする赤の1の場所はバルブ穴とハブの刻印を合わせたり、バルブ穴の下でスポークをクロスさせない為に、適切な場所を選ぶ必要があります。※横置きにして左が進行方向として作業しています。
初めて行う際は最初の2本を選ぶのが難しいと感じましたが、理屈が分かってくると簡単です。この辺りは実際にやってみるしかありませんが、基準となる最初の2本の選び方は次項から。
最初にクロスさせた2本は、リム側のバルブ穴左隣の穴と3個目の穴に通します。内から出たスポークは外へ、外から出たスポークは内へ、クロスする場所で内外を入れ替えます。上の写真のように、基準とした1本(赤の1)はリム側バルブ穴左隣へ。イタリアン組みでは進行方向が左となる面では、バルブ穴左隣に入るスポーク(基準となる最初の1本)は必ずフランジの内側から外側に出るスポークです。リムによってはスポークを通す穴が左右に振られているます(振られていないリムもある)。ハブの右フランジから伸びるスポークはリムの右へ振られた穴へ入り、ハブの左フランジから伸びるスポークはリムの左に振られた穴へ入るのが正しい姿です。※写真(上)緑の矢印。
ハブ側は、リムのバルブ穴からハブを覗いた時にハブの刻印が見える様に組むのがセオリーみたいです(ハブの刻印とバルブ穴の位置を揃える)。最初にクロスさせた2本をリムに通した後でバルブ穴から覗き、刻印の位置を確認します。納得できる位置になければ、最初に選んだ2本のスポークを違うフランジ穴(一つ飛ばしの前後)から出ているスポークに選び直す事で適切な位置を探します。
ここまでが最初の2本の選び方ですが、一度やってみて理屈が分かってしまえば、2度目からはそんなに悩む事はありません。
次に、2つ目のクロスを組んでいきます。写真(上)で赤の1が最初に組んだ2本。そこから左へ一つ飛ばしとなる青の2同士をクロスさせます。
最初のクロス2本と、2番目のクロス2本の位置関係は写真(上)の通り。このあとは同じように片側全てのスポークを組んでいきます。正しく組んでいくと、逆側分の逆側に振られたリム穴が一つ飛ばしで残るようになります。※リム側の場所は6本組でも8本組でも変わりません。
片側のスポークを全て通しました。
フランジの内から外へ通したスポークは必ず回転方向と逆方向に広がっていきます。ですので、写真(上)の場合、左が進行方向で左回りが回転方向となります。例えば上の写真を後輪と仮定した場合、奥(床を向いている側)がフリー側、手前が反フリー側です。あとで間違いに気付くとやっかいなので(やり直せば良いのですが)一番最初のクロスで確認を忘れないように。
ホイールを裏返して反対側の作業に入ります。イタリアン組みの場合、ホイールを裏返すと(左右入れ替えると)進行方向が変わり、写真(上)の進行方向は右に変わりました。
逆側と同じようにバルブ穴左隣に入るスポークと、そのスポークから数えて右に8本目のスポーク(赤の1)が最初のクロスとなりますが、進行方向が右となる面を作業する場合、バルブ穴左隣に入るスポーク(基準となる最初の1本)は必ずフランジ外側から内側に出るスポークになります。
写真(上)は赤の1が最初のクロスで青の2が2番目に取るスポーク。最初のクロスが終われば表側と同じように次のクロスを組んでいきますが、片面は終わっているのでリム側は空いている穴に通していく形。ですので、リム側の穴の選定は表面よりは楽に出来ます。
全てのスポークを通しました。スポークのクロスに間違えが無いか全周確認します。フランジの外から伸びるスポークは内側へ、フランジの内から伸びるスポークは外側へクロスしていればOK。
写真(上)は左が進行方向で、赤く塗ったスポークに注目します。
ホイールを裏返しました。進行方向は逆転し、赤く塗ったスポークの位置関係も逆になりました。※裏返すとスポークの向きが変わるのがイタリアン組で、裏返してもスポークの向きが変わらないのがJIS組。違う表現をすると、ホイールを正面から見て左右対称で組むのがイタリアン組みで、非対称(片側が逆)に組むのがJIS組み。
※リアのフリー側フランジ内側から外側に通したスポークは回転方向と逆の後方に広がっていくのはJIS・イタリアン共通のルール(漕いだ時に一番負荷がかかるスポーク)。
現在はイタリアン組が主流。両切りのハブでは両面を使えるJIS組が有効。他にも、逆イタリアン、逆JIS、クロスさせないラジアル組との併用などなど。好みや考え方の違いもあって相当にマニアックな世界。基本となるイタリアン組とJIS組は覚えておく。
関連記事 「ホイールの組み方 JIS」