唯物論者

唯物論の再構築

数理労働価値(第一章:基本モデル(8)消費財生産数変化の実数値モデル)

2023-04-11 06:43:53 | 資本論の見直し

(4)一部門の一部の生産性向上により変化する消費財生産数実数値モデル

 上記の一部門の一部の生産性向上により変化する消費財生産数で示したのは、変数記述なので判りにくい。そこで以下に実数を想定した消費財生産数を以下に示す。ただし生活単位Nmについては既にそれが一人あたりの労働力と差が無いと示しているので、人数と労働力を分離せずに記載する。なおここでの始まりの消費財一単位に必要な労働力を1/4労働力に想定している。すなわち1労働力が生産する消費財量は4個である。また表示も小数第二位までの概数表示にしている。


(4a)表5(3b1)、および表6(3c)・表6a(3c3)・表8(3e1)の賦存生産数と生産性向上後の補正前まで

≪一部門の一部の生産性向上により変化する消費財生産数1≫

上記の※で示した単位価値は内実値。交換時は第一部門全体の単位価値0.15が適用される。これは以前なら生産者1人が消費財4個を生産していたのが、今では消費財6.8個を生産するのを示す。しかしこのことは逆に言うと、以前なら生産者1人の生活が成立するのに消費財4個の生産で足りていたのが、今では消費財6.8個を要することでもある。当然ながらこの生産性向上による単位価値の下落は、生産性向上の努力を無にする。一方で単位価値の下落は、生産性向上を実現した部位で生じる。その効果は部門内の消費財生産量の大きさ、すなわち消費財占有率に応じて生産消費財の単位価値を補正すべきである。この場合に生産性向上による取得価値増大の効果は、生産性向上後の暫くの間、特別剰余価値の形で部門で共有される。それゆえに消費財単位価値0.15も、元の値0.25に維持される。


(4b)表6(3c)・表6a(3c3)・表8(3e1)の生産性向上の補正後

 消費財単位価値を元の0.25に据え置いても、増大した生産消費財量の内で生活価値に交換される有効消費財量に変化が無いので、部門の取得価値量も変化しない。結果的に部門内の取得価値量に不均衡が生じる。そこで取得する生活価値の減少した側の生活を、生活価値が増大した側が補填する必要が生じる。下記の補填後消費価値量Lf”は、その補填後の目標値である。第一部門における直接生産部門は、取得生活価値の一部を間接生産部門の生活に拠出し、それにより間接生産部門の生活を補填する。

≪一部門の一部の生産性向上により変化する消費財生産数2≫


(4c)表9(3e5)の部門内生活価値の拠出補填後~統括労働力による余剰消費財放出まで

 有効消費財量は必要とされる消費財の全量であり、部門で生産した全消費財から有効消費財量を差し引いた残りは全て余剰消費財となる。しかしこの余剰消費財も、再び商業を媒介にして生活消費財との交換に回されることが可能である。そして余剰消費財を私物化した統括部門が、余剰消費財を生活消費財交換に流用して自らの収入にする。この場合に生産部門が先に市場に提供する消費財と、後からの投下部門が市場に提供する消費財との間で競合が発生する。両者は同品質の同じ消費財なので、その市場における占有率は単純にその数量比に従う。

≪一部門の一部の生産性向上により変化する消費財生産数3≫


(4d)表9(3e5・3e6)の統括労働力による余剰消費財放出~単位価値下落と余剰労働力排出まで

 統括部門は余剰消費財をゼロ価値で取得しているので、その単位価値の下落に無頓着である。ただし生産部門を存立させるなら、その下落も補正前の単位価値を下限にする。しかしこの下限は余剰労働力の部門外排出を前提にしている。それゆえに単位価値の下落は、部門に余剰労働力を排出させ、それに対応する余剰消費財を消失させる。ただし消失する生産部門の余剰消費財量135.64と29.07の合計164.71は、そのまま新規部位の統括部門の消費財量に転じる。要するにそれが示すのは、統括部門による生産部門の剰余価値搾取である。

≪一部門の一部の生産性向上により変化する消費財生産数4≫


(5)一部門の一部の排出により変化する消費財生産数実数値モデル

 上記(3d3)の一部門の一部の排出により変化する消費財生産数についても、以下に実数を想定した消費財生産数を以下に示す。ここでも始まりの消費財一単位に必要な労働力を1/4労働力に想定している。すなわち1労働力が生産する消費財量は4個である。また表示も小数第二位までの概数表示にしている。

≪一部門の一部の排出により変化する消費財生産数≫


(2023/03/31)
続く⇒第一章(9)上記表の式変形の注記   前の記事⇒第一章(7)消費財量増大の価値に対する一時的影響

数理労働価値
  序論:労働価値論の原理
      (1)生体における供給と消費
      (2)過去に対する現在の初期劣位の逆転
      (3)供給と消費の一般式
      (4)分業と階級分離
  1章 基本モデル
      (1)消費財生産モデル
      (2)生産と消費の不均衡
      (3)消費財増大の価値に対する一時的影響
      (4)価値単位としての労働力
      (5)商業
      (6)統括労働
      (7)剰余価値
      (8)消費財生産数変化の実数値モデル
      (9)上記表の式変形の注記
  2章 資本蓄積
      (1)生産財転換モデル
      (2)拡大再生産
      (3)不変資本を媒介にした可変資本減資
      (4)不変資本を媒介にした可変資本増強
      (5)不変資本による剰余価値生産の質的増大
      (6)独占財の価値法則
      (7)生産財転換の実数値モデル
      (8)生産財転換の実数値モデル2
  3章 金融資本
      (1)金融資本と利子
      (2)差額略取の実体化
      (3)労働力商品の資源化
      (4)価格構成における剰余価値の変動
      (5)(C+V)と(C+V+M)
      (6)金融資本における生産財転換の実数値モデル
  4章 生産要素表
      (1)剰余生産物搾取による純生産物の生成
      (2)不変資本導入と生産規模拡大
      (3)生産拡大における生産要素の遷移


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