死後１年のご遺体とゴキブリ

死後１年も経ちますと死臭はあまり感じなくなります。

この方は、１年間発見されませんでした。

親戚には医師、会社経営者など立派な人達が多いらしいのですが、誰も一年間以上尋ねてこなかったという訳ですね。

葬儀社さんの言うにはご遺体は殆んどミイラ化していたようですが、部屋の中はもっと酷い事になっていたのです。

リビングの大きな冷蔵庫には食料が入ったっままで半年以上電気が止まっていて大変な事になっており、部屋には死臭どころではない異臭が立ち込めていたのです。

その冷蔵庫のあるリビングへＳ君が入りました。。

Ｓ君はベテランでどんな現場でも手馴れていて、うろたえる事は無いはずでした・・・が

「ギャーーーー」

私が別の和室に入ろうとしたとき、今まで聞いたことの無いようなＳ君の悲鳴が聞こえたのです。

私はすぐにリビングに向かいました、部屋の入り口にはＳ君が立っていました。

「どうした！」

「これは無理です、とにかく見てください。。」

「この部屋か。。」
「・・・・・・・・・・・駄目やな。。」

「でしょ。。」

「やばいな。。」

「どうします。。」

「バルサンしかないよな。。」

「買ってきますか。。」

「デカイやつを１０個はいるぞ。。」

「分りました。。」

「しばらく退散するか。。」

「急いで買ってきます！！」

なんとゴキブリが碁石をまき散らかしたように所狭しとひしめき合っていたのです。
異臭も食材の腐った臭いとゴキブリ臭の混合で、慣れている私たちには死臭のほうがまだましでした。
生きたゴキブリを踏み潰しながら歩く勇気はありません、とにかくバルサンに賭けてみることにしました。。
（この現場はご遺族の立会いは全く無くすべてお任せでした）

結局バルサンを焚き、４時間ほど延長戦の末ゴキブリ軍団をやっつけることが出来ました。

亡くなっていたとは言えこのお部屋の中でゴキブリと１年間一緒にされていた故人様がかわいそうで・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


最後の最後までご遺族とはお話さえも出来ず、すべて葬儀社の方が代理となって窓口となっておられました。。

どのような親戚関係のご遺族が居られるのか故人は未婚か既婚か全く分りませんが１年間誰も気にしてくれる事の無い人生って考えられますか・・・？


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それにしてもゴキブリの臭いがこれほどまできついものだとは・・