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ケダ類 Go! Go!

生存表明用ブログ

私的クリスマスの存在意義と、それはさておき「ラブ・アクチュアリー」

2005年12月21日 | 見た
 わたしのカレンダーにクリスマスはなくて、それで別に何の不自由も悲しみもなく40年を過ごしてきた。ひがんでいるわけじゃないんだが、このご時世、そう言ってもあまり説得力がないとは思うし、実際モテない歴40年であることは認める(本人は自分が一番好きなので、それでも別に困らなかったんだが、まあ、それは置いといて)。
 ともあれ、クリスマスがあんまり特別イベントとして存在してこなかった。
 だいたい鶏の皮が大嫌いで、甘いものも大学生になって家庭教師先で拷問のように毎回出されるおやつを食べることで訓練するまで食べられない子供だった。毛穴くっきり鶏の足とクリームとスポンジばかりのホールケーキを食卓に並べられることのどこが嬉しいものか<クリスマスはそれだけかよ!

 だから、映画に詳しい友達が、寂しい(であろうと推察したかもしれない)誕生日とみじめ(であろうと推察したかもしれない)クリスマス気分の12月をひとりでも暖かく過ごせるようにとラブ・アクチュアリーのDVDをプレゼントしてくれて、「クリスマスまでに見るといいよ、気分が盛りあがるし!」と言われても、「いや、どっちみち12月は師走で盛りあがるからいいんだけど……」と思っていた。それに、悪いが個人的には「らぶ」ってフィクションの題材としてもっともつまらないと思っているので、観てもいいけど(ただなんだから)面白くなかったら、せっかくのプレゼントなのに悪いなあ、なーんて思っていた。

 そしたらば!

 いい映画だったわあ!!

 ひょっとしたら、わたしのような自分用ロマンス中枢がごっそり欠落した欠陥人間こそ暖かく穏やかな気持ちで――自分に重ねて痛みを感じたり反省したりすることなく――楽しめる作品だったかもしれない、とまで思った。
 素敵なプレゼントを本当にありがとう!>をかべさん

 クリスマス気分は、もともとそういうインプットがないためにやっぱりそれほど盛り上がらないんだけど、でも冬気分は確実に盛り上がったよ! この映画は、「暑苦しいから半径50センチ以内に近寄るな!」とにわか人間嫌いに誰もがなるような日本の夏には不向き。ぜひ、今、クリスマスは関係なくても、歳末たすけあいなんかでもいいから、ちょっと優しい気持ちを否定しない季節に、これを観て楽しめるであろう人たちが観てくれることをクリスマスツリーのお星さまに祈ってみたいような気分。ま、除夜の鐘でも初詣でも、この際七夕の短冊でもいいんだけどね、わたしの場合は。

 ちなみに、オムニバス形式ではなく、モザイク形式とでも呼びたくなるような――いや、あの、モザイクがかかってる映画じゃなくて――全部まとめて突っ込んで一作品。ひとつひとつは、それ単体で1本の映画を作れないようなささやかなエピソードなんだけど、本人にとってみればどれもとても重大なドラマたちです。

【こんな人に見てほしいかも】
* 自分の「かわいい」センサーがあって、そのセンサーにかかる子を見ると必ずひとめぼれしてしまう男性に。

* 半径2メートル以内の人を好きになってしまう女性に。

* 自分の恋愛とかには無頓着というか、あまり生活において重要度が高くなくて、でも自分の生活と無関係ないい話になんかじーんとしちゃう男性に。勝手なイメージとしては、ノーベル賞を受賞した田中さんみたいな人。

* 牧野修さんの「逃げゆく物語の話」(『楽園の知恵』所収)を「これぞラブストーリー」と涙した人に。ただし、この短編は普通に読めばラブストーリーではないはずなので、ラブストーリー好きな人が普通のラブストーリーを期待して読んで怒ったりしないでください。でも、わたしはすごく好きなんですけど。

* 朝の連ドラの女児子役に対するのと同じテンションで大河ドラマの男児子役を「かわいー」と思い、成人した役の俳優に代わったとたん「がっかりー」と思う女性に。ていうか、次の大河はぜひこの子役を使え! ハリー・ポッターもホーム・アローン(米映画だけど)もメじゃないよ!

* イギリスの政治風刺人形劇とか嫌いじゃないよっていう温度の人に。

* そういえば最近聴いてなかったけど、ポインター・シスターズのJumpって好きだったわあ、という人に。かかるとついお尻を振っちゃうよね、あの曲は! ヴァン・ヘイレンのじゃありませんよ。(まあ、あれも嫌いじゃないけど)

* 映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のラストでトトが観るフィルムを観て、笑いながら涙しちゃったことのある人に。

あ、
* いい映画には笑いが入っているもんじゃ、と信じている人も。ぜひ。

【こんな人にはちょっと不向きかも】
* ガイジンが一度にたくさん出てくると個体識別できなくなる人。

【冬の夕方、こんな風に観るのが個人的にはお勧め】
* 大画面テレビとかホームシネマじゃなく、そこそこな大きさのモニタのノートパソコンで再生。観終わったとき、パソコンの液晶に閉じ込められた、小さいけれど中身いっぱいの世界を両腕で抱きしめたくなると思うんだよね。で、この状況なら、やろうと思えばできるでしょ?

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いまじねーしょん
 神様が大勢働く役所みたいなところがあるとします。あー、神様、と言って信仰厚い方に失礼であれば、キューピッドでもなんでもいいんだけど(もっと失礼?)、ただし積極的に恋の成就に手を出す仕事ではなく、基本的に見守るのが仕事。クリスマス前の1ヵ月は仕事が増えるので、見習くんにも仕事がまわってくる。見習くん、毎朝出勤すると、部屋のすみっこに急ごしらえした自分の席につき、机の上の水晶玉で(時代錯誤?)担当エリアのできごとを見守る。ただただ丁寧に見守る。エリアは小さくて、だから担当する人数だって決して多くないのに、もうなんと心ざわめき切なく自分の無力に疲れる4週間であろうか。神様なのに(キューピッドでもなんでもいいけど)「あー、そこで○○しろー!」と拳をかため天を仰いだり、「ああああ、そこで○○はでてくるなー!」と祈ったりして(誰に?)。
 感受性が豊か過ぎたらきっとやってけないような仕事だ。でも、ひとまずラブ・アクチュアリー地区を担当できた見習くんは、仕事が終わるとき、「みんなが――ぼくの担当した人たちだけだけど――この先も幸せでいますように。この先、も少しだけ幸せになれますように」とお祈りしつつ、優しい気持ちちょっとだけ増量で年越しそばを食べられるのだ。

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メモ
* ブリジット・ジョーンズ2の2人とエピソード1の2人がいる。

* I Love Youを1袋6ペンスで投げ売りするような――ハトのエサか!<いつの時代だよ!(答え:メアリー・ポピンズの時代)――男が愛の言葉を奪われるエピソードがあるけど、そんな彼は小説家。ま、ジャンルがジャンルだからいいのか<をい。かようにちっちゃな皮肉がいっぱい。でも、決していじわるじゃない。

*「青年よ、セックスしたいだけのやつは、アメリカへ行け! コンドームも忘れずにな!」という教訓が散りばめられているよ。飛行機の手荷物検査で赤面しないヒントつき。勉強になるなあ(?)。

* 「ラブ・アクチュアリー(Love Actually)」ってなんやねん、中途半端な英語やな、と思った人、心配いりません。映画が始まるといきなり説明してくれます。保険屋さん(actuary)は関係ありません。たぶん出てきてません。

* 英語のサイトにはリンクをはりません。だって、めいっぱいネタバレになってるよ。あほか! 日本語のサイトはこちら。でも、説明はあまり読まずに、DVDのジャケット写真だけ見て「どんなのかなー」と思いながら、最初は「あれれれ?」とやや混乱しながら、収束していくのを待って楽しんでほしいなあ。ていうか、わたしはそれで楽しかったってだけなんですが。

* トーマス・サングスター君はジャケット写真より断然動いているほうがかわいいです。来年の大河ドラマの子役……もういいですかそうですか。

* 林マヤって、さすがパリコレ・モデル、クラウディア・シファーと似てるじゃん、というおまけ収穫もあった。

* 一番好きだったのは、映画の中に出てくる一本のビデオ。
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 すべての不器用さんに乾杯。
 メリークリスマス。そして、よいお年を。

4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (河本)
2005-12-24 10:55:15
 ご無沙汰です。



 「いまじねーしょん」の恋愛担当の天使さんが祈ってしまうところ、可笑しかった。



 恋愛か~、自分と全く無縁のことだと思っていました。

 あと余生十数年の内に一回ぐらいあって欲しい、なんぞと思います。



 blog続けられるんですね。

 良かったです。

 楽しみにROMしてます。

    

 「すうろん掲示板」は今、映画「博士の愛した数式」応援掲示板になっています。

 この原作のなかに、ケダさんが好きなのではないかなあと推測する「単語」がありますよ。

 そのせいだけじゃないのですが、お奨めの作品です。

    
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よいお年を~ ( ケダ)
2005-12-27 19:41:41
 どもども、コメントありがとうございました。>河本さん

 年末でばたばたしていて、レスが遅れて失礼しました。



 falling loveに関しては、「そういうもの(人)を好きになる自分がいるから好きになる」という一方通行が基本だと思っているので、数字・数式の美しさも恋の対象でしょうね。「なにかして(返して)ほしい」なんて浅ましいことを考えないから、学問の熱意のほうが純愛かも? もちろん、周辺では「学界で偉くなりたい」なんていう見返り期待は出てくるでしょうけど。



 いよいよ今年も押し詰まってまいりました。よいお年をお迎えください。
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Nanny McPhee (石川梨華21)
2006-02-04 16:43:14
先週のショウビズ・カウントダウンってゆー、映画番組で紹介されていたのですが“Nanny McPhee”って映画に、Thomas Sangsterが出てるの。日本での公開はまだまだかな。でも、さすがにイギリス映画だけあって、キャストが『ラブ・アクチュアリー』とだぶりまくっているみたいです。個人の方のブログなんですが、これとか。

http://kikigb.exblog.jp/2966318/

大人の主役がColin FirthとEmma Thompsonですしー。まあ、『ラブ・アクチュアリー』がいかにイギリス俳優名鑑になっていたか(笑)ってことなのでしょーが。
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 イギリス俳優名鑑 ( ケダ)
2006-02-06 16:05:50
 顔が縦長の人が多かったですよね、そういえば(笑)>らぶあく。

 Nanny McPhee、頭のすみっこにひっかけておきたいと思います。わたしが映画館に行かないシーズン(=インフルエンザの季節)をはずして公開になりますよーに!
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