トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

子どもの本は完訳で/絵本『アリスのふしぎな夢』

2010-07-08 01:33:41 | 絵本・児童文学
アリスのふしぎな夢
ルイス・キャロル
西村書店

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 以前から子どものための本で気になっていたことがあります。それは、ダイジェスト版の存在です。あるいは、原作を書き変えたものです。

 原作の書き変えは、様々な理由があるのでしょう。たとえば、残酷な描写を避けたものがあります。昔話などは、元々、毒のあるものが少なくありません。日本の昔話でも、「かちかちやま」は、子どものための絵本などは、内容が大幅に書き帰られています。本来は、お爺さんは、タヌキに騙されておばあさんの肉を、タヌキ汁だと信じて食べてしまう訳ですが、この部分がカットされることがあるようです。江戸時代の絵本では、流しの下にお婆さんの骨が描きこまれています。
 ダイジェスト版は、たとえば、西遊記のように長くて難解な部分を、子ども用に書き換えたものがあります。スィフトのガリバー旅行記も、子ども用には、リリパット国(小人の国)のエピソードが一部書かれることが多かったようです。原作は、社会風刺や、人間に対するシニカルな見方に貫かれたものですが、子どものための絵本になると、全く別の作品と化してしまいます。

 「不思議の国のアリス」をはじめとして、福音館では子どものための完訳本が出版されています。ベルヌの作品もありました。こうした出版物は、大人が読んでも十分に意味のあるものです。子どもだからといって、安易な手抜きのような作品化は避けた方が良いのでしょうか。

 さて、「アリスのふしぎな夢」(The Nersery ”Alice")は、「不思議の国のアリス」を、原作者自らが、幼い子どものために描き変えた作品です。こうした形でのダイジェスト版なら、問題はないでしょう。また、作品のコアとなる部分を作者が語っていることが参考になります。
 興味深い作品でした。元の話と併せて読むのも、一興かも知れませんね。


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2 コメント

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ちょうど… (m-clinic)
2010-07-09 11:34:28
初めまして。
ちょうど今週、絵本の講習会に参加してきて、同じようなことが話題にのぼりました。
そこで例にあげられたのが「かちかちやま」でした。
講師の方がおっしゃるには、今は、昔話などの残酷なお話の部分をカットしてあることが多いけれど
その部分も含めて、お話全体から見ると大切なところなので
それを勝手にカットしてしまうと、そのお話自体が全く違った意味になってしまうと。
挿絵は、そんなにどろどろしたものではなく さらりと描かれていますし
子供は、その残虐なシーンをそれほど深く想像するものではなく、さらりと読み流すことができるのだそうです。
だから、読み聞かせでも、省いたり言葉をかえたりせず、原作のまま、そこはさらりと読んでくださいねということでした。
いろいろ意見はわかれるのでしょうけれど、私は 原作をさらっと読んであげたいなと思いました。
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前に (norinorimiffy)
2010-07-09 14:45:41
以前 お話しの読み聞かせをしている方が
この 「カチカチ山」のおじいさんがおばあさんをたぬき汁だと知らずに食べてしまうお話しを子どもさんに話して聞かせておられたのを聞いたことがあります
わたしも 実は初めてその展開のカチカチ山を聞いたので「へ~」とビックリしたのですが
その時 子どもにはちゃんと本物を聞かせた方がよいと 思いました
残酷な場面は 避けたいと思うのは大人の感覚で
子どもの心は もっと柔軟でたくましいと思います
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