Super GT 第三戦は二日目を迎え、決勝レースが行われました。
GT500クラスは今回から、NSXは15kg軽くなっているのですが、
50kgを超えたマシンも登場しており、燃料リスレクターによる性
能調整が入る状態になっています。
以前書いたように、GT500クラスではダウンフォースが25%削
減されているわけですが、ウェイトハンデが重量が増えていくシス
テムではなく、4段階のステージが設けられ、総重量は+50が最大
で、その分、燃料を絞ることで性能調整を入れる仕様になってい
ます。今年からは、
ウエイトハンディ | 車載ウエイト | 燃料流量リストリクター |
0~50kg | 0~50kg | 95.0kg/h |
51~67kg | 34~50kg | 92.4kg/h |
68~84kg | 34~50kg | 89.8kg/h |
85~100kg | 35~50kg | 87.4kg/h |
のようになっており、50kgを超えたマシンというのは、ウェイト
は一時的に16kg軽くなるので、マシンの挙動が重さによってどん
どん悪化すると言う事は無くなったのですが、燃料流入量が絞ら
れるのでパワーダウンするような仕組みになっています。つまり、
登りがきつく、パワーが落ちるのでストレートが伸びないなどの
事が考えられるわけです。つまり、勝つほどにポイントが加算さ
れウェイトも増えていきますから、パワーとコーナリング性能の
双方が厳しくなる仕様になっています。
つまり、強さを見せていたレクサスのマシンの中には、この
第一ステージの燃料リスレクターによる流入量制限が入ってい
ます。
GT500クラスは、土曜日の走行は気温が18℃のコンディショ
ンと気温が上がった予選の双方でRAYBRIG NSXが速さを見せて
おり、日曜日もその勢いのまま化粧レースを走破しそうな勢い
でしたが、決勝前のウォームアップ走行では、レクサス勢力が
上位のタイムを出しており、WAKO'Sがトップタイムをマーク
しています。
このセッションでは、ARTA NSX-GTがコース上でストップする
アクシデントがありました。性能調整絵土曜日はよかったNSX勢
ですが、ARTAは電気系のトラブルのようでグリッドには付かず、
KEIHIN NSX-GTもピットスタートを選択しており、NSXがまさ
かの最後尾スタートとなりました。
RAYBRIGだけ神がかった速さを見せポールポジションでのポ
イントを獲得し、最前列でスタートを切ることとなったGT500の
レースですが、大分県警による白バイ5台とパトカー2台の先導に
よるパレードラップが行われ、その後、フォーメイションラップ
に入ります。ポールポジションのRAYBRIG NSX−GTを先頭に、
各車車体を左右に大きく振って、タイヤを温めます。そして、シ
グナルがオールグリーンになりレースがスタートします。
1コーナーを最初に抜けていったのは、RAYBRIG NSX。NSX
勢で最速だった予選さながらに1コーナーを駆け抜けていきます。
ある種、ハイブリッドからの受難とハイブリッドやめても厳
しかった昨シーズンに加え、開幕戦は何か呪われているのでは
だろうか?と思うようなトラブルに見舞われ、速度も厳しく、
信頼性もないという非常に厳しい状態から脱却したような走り
でオープニングラップを迎えます。
予選の速ささながらに、第一スティントの速度は圧倒的で、
2番手を走行するS Road CRAFTSPORTS GT−Rの本山哲選
手に2周目で1.6秒差、3周目に3.4秒差を付ける1分35秒中盤
のハイペースで周回します。トップが抜け出し、2番手以下が
集団になる形で序盤は進みます。
何か生まれ変わったNSXを見るかのような盤石な走りで、
レースは展開しますが、レース序盤の5周目に最終コーナー
で小林崇志選手がステアリングを握るARTAがGT300マシン
と絡んでスピン、そこにGT300のTOYOTA PRIUS apr G
TがARTAを避けられずにクラッシュ。そのプリウスにUPG
ARAGE BANDOH 86が接触してコースをはじき出され
るという多重クラッシュが発生し、セーフティカーが導入
されます。
クラッシュによってオイルが流出したため、長時間のセ
ーフティーカー導入となり、レースは 14周目リスタート
となります。
ローリングスタートでレースが再開されますが順位は変
わらずそのままの順位でマージンがなくなった状態で仕切
り直しとなります。
15周目の2コーナーでWAKO’S 4CR LC500とau TOM’
S LC500がサイド・バイ・サイドで接触。一瞬、WAKO’S
のアンドレア・カルダレッリ選手が横を向きかけますがす
ぐに修正します。しかし、6番手のポジションをauのジェ
ームス・ロシター選手に奪わます。さらに、そのまま1コー
ナーで5番手のKeePer TOM’S LC500もオーバーテイク
します。
WAKO’Sのアンドレア・カルダレッリ選手もKeePerの背
後に続きます。KeePerはランキングトップでウエイトハン
デ(燃料リスレクターによる性能調整あり)がありペースが
上がりません。
5番手に上がったauのジェームス・ロシターはそのまま4
番手MOTUL MUGEN NSX−GTの武藤英紀選手の背後につ
き、19周目のストレートでMOTUL NSXのスリップに入り、
一度インに入る牽制を入れて、そのままインを付いて1コー
ナーでオーバーテイク。4番手に浮上します。
トップはRAYBRIGは2番手のS Roadを3秒離れている状
態となりますが、S Roadはペースが上がりません。
その後、3番手のDENSO KOBELCO SARD LC500のヘ
イキ・コバライネン選手が21周目の1コーナーでS Roadの
インを差して2番手に浮上します。さらに、その後のauにも
第2ヘアピンでオーバーテイクを許してしまい、4番手に後
退してしまいます。
その21周目には3台で争っていた6〜8番手争いで、ZENT
の立川祐路選手がGT300の絡みで2台のLC500をオーバーテ
イクして、一気に6番手に浮上します。
盤石に見えたトップのRAYBRIG NSX−GTは20周を過ぎて
ペースが落ちて行き、24周目には2番手DENSOと0.5秒差の
テール・トゥ・ノーズになります。さらに3番手のauも2台に
追いつき、トップの3台が大接近戦を演じます。
25周目にはGT300を上手く使ってRAYBRIGが2番手を2秒
離しますが、すぐに後方の2台が追いつき、再び3台が1秒~
1.5秒差内で争う緊迫の展開になります。
工法では、第1ヘアピンで6番手ZENTがGT300と接触して
しまい、8番手に後退します。
KeePerがピットインし、ドライバー交代してコースに復帰す
るも、まさかの半ドアで運転席側の左ドアが1コーナーで開い
てしまいます。しかし、ドライバーが自ら閉めたて走行を続
けています。
そこからレクサス陣営のピットインが続き、33周目にトッ
プのRAYBRIGと3番手のDENSOが同時ピットイン。
作業時間はモニター上でRAYBRIGが41秒、DENSOが34秒
とDENSOが7秒早く、ピットロードで逆転し、ポジションが
入れ替わります。
ここで、ピットインタイミングを伸ばしたauが暫定トップに
立ち、36周目にピットへと向かいます。ジェームス・ロシター
選手からステアリングを引き継いだ中嶋一貴選手はDENSOの前
でコースに復帰するも、アウトラップでDENSOの平手晃平選手
とバトルとなります。追う平手晃平選手は第2ヘアピン立ち上が
りでリヤを滑らせながらを追うも、抜けず、2台はテール・トゥ
・ノーズのまま周回します
ピットインを終えて、3番手に下がったRAYBRIGはその後、ト
ップの2台が1分39秒台で周回する中、1分41秒台とペースが上
がりません。40周目には4番手のS Road千代勝正に追いつかれ、
バトル状態になります。
さらに5番手KEIHINの小暮卓史選手、6番手WAKO’S大嶋和
也選手も数珠つながりに続き、4台のマシンによる表彰台を懸け
た戦いが展開されます。
44周目にはそこにMOTUL AUTECH GT-R松田次生選手も加
わり、5台がせめぎあう表彰台争いに発展します。
44周目にはまずはKEIHINがS Roadをパスし、その後、WA
KO’SもS Roadをかわして5番手に浮上します。そこに8番手Ke
ePerも加わり、6台による接近戦になります。
50周目の14コーナーでauのインにDENSOが入り、第3セク
ターのブリッヂに向かう上りコーナーに2台が並んで入り、接
触。DENSOがスピンし、コースアウトしてしまいます。auも
右フロントバンパーのカナード付近のエアロを破損してしまう
も、トップをキープします。
その後方ではまずは5番手WAKO’Sが第2ヘアピンで4番手KE
IHINのインに飛び込み、2台が接触しながら立ち上がりますが、
KEIHIN が4番手を守ります。
その後、53周目にDENSOが去って2番手となったRAYBRIG
とKEIHINが1コーナーでサイド・バイ・サイドになり、2台は
併走したまま4〜5コーナーまで進み、最終的にKEIHINが前に
出ます。
ピットスタートからの怒涛の走りでKEIHINが2番手まで浮
上します。
その後、3番手のRAYBRIGと4番手S Roadの3位争いが激し
くなります。残り5周となって、そこにMOTUL GT-Rが加わり、
3台による最後の表彰台争いが勃発します。
61周目、残り4周となったところで1コーナーで千代勝正選
手が伊沢拓也選手にアウトから並び掛かり、2コーナー付近で
一度オーバーテイクするものの、第2コーナーはストップした
GT300の処理でイエローフラッグが出ており、順位を譲る形
でポジションを戻します。3番手争いが一度リセットする形で、
そこから再びバトルになりますが、残り3周となったところで
GT300のGAINERのタイヤが外れるなど、コース上では2箇所
でイエローフラッグが振られる状態になります。
レースは、フロントのエアロが壊れたままでauがトップフィ
ニッシュを飾っています。これで今季3戦連続レクサスLC500
が優勝となります。2番手にはピットスタートから怒涛の走り
でポディウム獲得のKEIHIN 、3番手RAYBRIGの表彰台となり、
NSXが今季初表彰台となりました。
後方ではポイント圏内を走行していたWAKO’Sにトラブルが発
生した模様で、残り3周でピットイン。入賞を逃しています。
レクサス一強だったシーズン序盤ですが、KEIHIN、RAYBRIG
の2台のホンダNSXがレクサスの表彰台独占を打ち破り、4位S R
oad、5位MOTUL GT-Rと、2台のニッサンGT-Rが揃って上位フ
ィニッシュを果たすなど、スタートからチェッカーまで、3メー
カー白熱したレースとなりました。