川の果ての更に果てに

Svensk,Danmark,Norges,Suomen応援ブログ

弁護人欠席に出頭在廷命令

2006-03-17 21:35:03 | 犯罪・刑事関係
山口県光市での母子殺害事件上告審で弁護人2人が公判をすっぽかしたという事件。最高裁第3小法廷は安田好弘、足立修一弁護士に対して4月18日とした弁論期日に出頭してくるようにという「出頭在廷命令」を出したそうです。
昨年改正された刑事訴訟法に基づく命令で、初の実施なのだとか。違反した場合は10万円以下の過料などを決定で下すことができるそうです。
…10万円ですか、何だか微妙ですね…

さて、この話、そもそもは少年の刑は重くすべき?を書いている時に「少年法」で検索してみたら、むしろこの話のエントリの方が多かったので、その時点で変えようかなとも思ったのですけれど、考え直すには重いテーマなのでスルーして、当初案でエントリーしたのです。そうしたところ、少年法つながりということでか時評親爺さんからTBをいただいたので、じゃあ改めて考えてみるか、何らかの措置とか出るしその時にかこつけて…というような感じでアップにこぎつけました。

で、まあ、最初はもちろん「冗談じゃないよ」と憤っていたのですけれど、少し冷静になってみれば(当事者でないのに当事者以上にカッカしているのも変ですし)確かに選任が直前であり、なおかつそれまでの弁護人がやめたということで資料を見直さなければならなくなったのは事実かなとも思います。裁判の資料なんてはっきり言って途方もない量なわけですから、10日ちょっとで目を通すというのは無理もあるのでしょうけれど。
そういう意味ではこの二人ももちろんそうですが、辞任してしまった弁護士の方も不誠実という気がしないでもないですね。ま、おそらくこの3人は知り合いだろうとは思いますけれど。
当初は冗談じゃないよと思っていましたが、裁判の資料なんて20000ページを超えるくらいのものもあるらしいので、仕事量を考えるとやむをえないのかなという気もしないでもない。
むしろ、辞任した弁護士に制約を課して、引継ぎをさせるようなことをすべきだったかなという気もしないではないです。

ただまあ、詳しいことについては裁判の専門家でもないので語る術がありません。最高裁小法廷が「遺憾だ」と言いつつもひとまず開廷せずに延期したということは何らかの理由もあるのかもしれませんし…

なので、それ以外の部分にも。
多くの人のブログなど拝見させてもらっていますと、やはりこの被告人の更生可能性の無さなどを指摘している方が多いですね。
メディアに出てくる情報だけを見る限り、多分ないでしょうね。
ただ、そもそも私は更生の可能性がある無いなんてのは刑の段階で考える必要があるのかとも思っています。
以前、責任無能力で垂れ流してみましたが、例えば更生しそうだから刑が軽い、土下座したから犯人に改善の見込みがあれそうだというので刑がコロコロ変わっていたのでは、犯罪行為自体が宙に浮きかねません(逆に言えば被害者の立場がない。刑はあくまで犯人主導で決まることになる)。
例えば、死刑に値する行為をしたのであれば犯人が土下座しようが何しようがその行為は死刑に処するべき以外の何者でもないのです。
ただ、そこまで機械的であればまた不適当な場合もあるでしょうから、刑事政策という概念を取り込むことで「犯人の行為は死刑に値するが、犯人自身に更生の余地ありそうだから一等減らして無期にしよう」となる。その方が自然です。

ま、もちろん、「そんなことはお前に言われなくても分かるよ」ということはあるでしょうけれど、何となく一緒くたにされているような印象がありますので。
だから、刑事政策的に刑とは別個に配慮するというのが責任であったり、少年であることであったり。刑罰論とは別個の政策論として何らかの理由があるのかもしれません。

次にこの手の事件で必ず出てくる「犯人の人権と被害者の人権」。
これについては、私は基本的に刑事事件における人権というものは「麻原でさえこれだけ尊重されるのだ、いわんや一般の人の権利は尊重しなければならない」という見方で捉えています。一般的ではないのかもしれませんが。守るべきは必ずしも犯人というのではなく、むしろそれ以外の将来刑事事件に関わりうる人達の権利とかそういうものなのではないのかなと。
例えば重大犯だから、凶悪犯だから、という理由で何か認めない、とか拙速に判決を出してしまえば、それが前例となり、別の事件にも「前例があるから」ということで罷り通ることになります。となると、蟻の一穴からあらゆる人権侵害の危険性が起こりうるのではないのかなというわけで。
ですので、犯人と被害者を秤にかけて計るのが必ずしも適当かというと私はそうとも思わないわけでして…

ちなみに、刑罰が何のために存在しているかについては、応報刑というものとかも書いてます。何だかんだ言って色々やってますなぁとちょっとだけ自分に感心。

で、多分これまでないものをちょっとだけ追加。
更生可能性とか再犯必至ということで「そんな奴は死刑だ」という意見がありますけれど、何度も犯罪をするような人間であれば、既に起訴事実以外の犯罪をやっているかもしれないという見方もできます。確か茨城かどこかで死刑判決を受けていた暴力団関係者が別の三件の殺人事件について自供したという話もあったと思います。仮にそれ以前にこの犯人の死刑を執行していたら、三人の事件は二度と明るみに出ることはなかったわけで…
となると、そうした事実にてんで触れずに死刑必至の事件について迅速に死刑だけ目指すことはどうでしょうか…
案外、別の事件の被害者にとっては損なことになるような事も起きているんじゃないかという気がしないでもないです。
もちろん、犯人が簡単に自供するとは思いませんが、全ての真実を明るみに出すような努力も刑罰を求める以外に必要なのではないかなと。
全ての被害者の立場を等しく尊重するのであればむしろ重加算刑のような方式を取ってドンドン載せていくほうが望ましいといえるのではという気もします。

あと、死刑問題について重箱の隅をつつけば、逃げればどれだけ長くとも25年で時効なのに、捕まれば(つまりより馬鹿だった、良心があった、社会に害を及ぼす能力の低い人間であれば)死刑や無期になるのは不公平という気もします。

以上、蛇足になりますが個人的には現状では死刑を無くした方が理屈が通るのではないかなという気はします(冤罪論なども含めて)。

ただ、ではがつく以上、もちろん死刑をしてもいい場合も想定しているわけで、例えば臓器提供を待つ人間と型が一致した時など。この場合は色々な要素を犠牲にしてでも得られるメリットがあるから、死刑にする意味があるでしょう(冤罪論の観点からは問題があるでしょうけれど…)。
逆に、どんなに更生不可能な人間でも、骨髄があるとか、血液型があるという点では、(手段如何によっては)世に貢献させうることもできるわけでして(不穏当な…)。
別の分野にまで考えを及ぼすと、中々まとまらないものです。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
無期だとスグ出てきます (ゼシカ)
2006-03-18 17:52:30
これはゼシカの暴\露バナです☆

6年前に大阪で少年Aが通行人を暴\行の上死亡させたと全国ネットで放送された事件。

逮捕されましたが3ケ月後の成人式にはなにくわぬ顔で出てたそうです・・・。

ヤ〇〇の息子らしく、保釈金で出てきたそうです。

『未成年は死刑にはならんねんや』この少年Aはそういけしゃーしゃーと言っていたそうです。

山口の事件も更正の余地なしと聞きました。

弁護士も時間なさすぎのもわからないではないですが、最高裁判官が来月で定年だとか。そんなことゆってる猶予\はありませぬ(*´Д`)=з
返信する
>ゼシカ様 (川の果て)
2006-03-18 18:02:32
来月で定年だからこそ、狙っているという部分もあるみたいですね。このあたりは何とも姑息という印象はあります。



未成年であっても、成人と同程度の刑では臨むべきでしょうね。無期だとすぐ出てくるという現実もどうにかしてほしいものです。
返信する