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少年法の壁

2006-09-08 21:13:29 | 犯罪・刑事関係
徳山高専での女子高生殺人事件。
容疑者と思われていた少年が自殺していたことで、釈然としないながらも終わったのかと思いきや、一部メディアが実名報道をしていたことが問題になっているらしいですね。実際、配信記事を見ていても配信元によって匿名になっていたり実名になっていたりするわけですが…

とりあえず、週刊新潮の実名報道自体はタイミングを逸したものの、犯人の累犯防止・身柄確保という意図は分かりますし、理解できます。
ただ、死んだ後実名報道されるのは何でって気もしないではないですね。まあ、少年法の趣旨は少年の更正を妨げないことにあるのであり、既に死んでしまった以上は更正も何もないのだから関係ないだろうということなんでしょうけれど。
これに対して法相は「少年には家族もいるわけだし、死んだからいいというものでもない」というようなことで、「難しい問題だ」と言いつつも反対的な立場のような感じです。
個人的には便乗商法的部分が見え隠れしていて、新潮以外の実名報道については批判的に見たくなりますけれどね。

あるいは死んでしまった以上は加害者も被害者もなく、彼も痛まれるべき一人の人間だ。皆で彼を悼んでほしいから我々は彼の名前を公表し、そして弔意を表すというのなら、死んだ途端に実名報道というのも理解できますけれど。

ところで少年法の趣旨というもの、民主主義という観点からすると、また別の見方もあるのではという気がします。
民主主義というのは、国家に参与する一人一人が自己の意見を言い、その意見を折衝したりすることで個々の意見を国家政策に反映させようということに主眼があるものだろうと思われます。だから衆愚政治なわけですが。
で、まあ、その個々の意見の反映は基本的に参政権ということになるわけですが、参政権があるのは20歳からです。
ということで結局、「判断能力とか20歳と19歳で変わらないだろ」とかいうのとは別個の視点で、19歳の人間は日本の民主主義の下ではやはり半人前なのだということになりうるわけですね。意見を言えない、参政権がないので。
で、半人前で自分の意見を主張することができない人間に対して義務(刑罰)だけは一人前を課すのは変じゃないかという見方は普通に成り立ちうる。「今の人間は権利ばかり主張して義務を履行しない」という批判などはよくありますが、逆に「権利を与えずに義務ばかり課す」のもいかがなものかとなるわけです。
となると、民主主義国家において半人前の人間に対しては、義務(刑罰)も半人前相当にするべきでそのために少年法がある、と考えれば、少年法が一律軽減を定めているのもそれ相応に理由はあるかもしれませんね。

ま、結局のところ参政権を18歳くらいから認めて、逆に少年法の保護年齢を18歳未満に下げるみたいにするのが一番波風が立たない解決策のような気がするんですけれど。


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6 コメント

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かなりびっくりしました!!(゜ロ゜屮)屮 (ゼシカ)
2006-09-09 06:56:25
ニュースで実名と顔写真がいきなり

出てたのでかなりびっくりしました。

言われるように、

「死んだから出す」っておかしいですよね

( ;´・ω・`)

こんなことなら最初っから報道しておけば、

自殺することも止められたような気もしますし。

すごく法律とその辺りが曖昧になってるので

少年法も本当に見直さないといけないと思います。
>ゼシカ様 (川の果て)
2006-09-09 11:24:45
この事件に関しては発表しても自殺が止められなかったような気もしますが、今後似たような場合も出てくるかもしれませんし、「公表しない」一辺倒ではなく、公表する場合というのを決めてほしいとは思いますね。

少年法の見直しなども含めて…
少年法 (タマチャン)
2006-09-09 20:39:55
今回の事件も残念な結果に…どの事件にしても内容がどうであれ差は付けれないと思います



少年法で守られるのは生きてるときだけ…亡くなった場合は公表\は私もふに落ちません



私が思うのは今まで未成年犯罪者は実名・写真は非公表\だったことがおかしかったのでは?

と思います



今回の公表\は未成年でも犯罪を犯すと世間に迷惑がかかると脅しもあるのだと思います

犯罪に年齢は関係ないです
>タマチャン様 (川の果て)
2006-09-09 22:25:58
未成年犯罪者の公表非公表については何ともいえない部分があります。

そもそも成年者の犯罪者である場合にあることないこと騒ぎ立てて余計な部分で煽っている現状を考えると、何でもかんでも公表して報道させることにはむしろデメリットの方が大きいのではないかという気もします。



ただ、今回は累犯の危険性もあったがゆえに公表した方がよかったのではとは思いますね(それでも結果自体は変わらなかったのでしょうけれど)。



威嚇効果ですか…そういう意図もあるかもしれませんが、どちらかというと単なる便乗による視聴率狙い・話題狙いの方が大きいような気がします。
少年法論議の矛盾 (破壊王子)
2006-09-10 02:26:47
大体少年法が「子供の人権を守る」ものと勘違いされて論議されていますからね。人権とは万人に等しく与えられるもののはずです。人間でありさえすれば華族出身だろうが寿司屋の梅さんだろうが、与太郎だろうが、吟遊詩人のジョバンニだろうが靴屋のハンスだろうがもっているというのが人権の概念です。

故に「子供の人権」なんてそれこそ「青い赤鉛筆」みたいな馬鹿な言い回しなんです。ガキのみ認められ大人には認められない人権なんて有得ません。それは「少年の特権」というべき話なのです。



まあこれは小室先生(哲哉に非ず)曰く、「メディアの意図的なミスリード」(少年に特権を与える、では大衆にウケナイ)だそうですから、メディアごとに反応も処置も違ったのはむべなるかな、とも言えましょう。
>破壊王子様 (川の果て)
2006-09-10 12:14:02
少年だからある程度考慮されなければいけないという理由をどこに見出すかってのはありますよね。



意図的なミスリードですか…

確かにそう考えると元々が間違っている以上、少し応用的な事件(今回みたいな)が起こると間違ったまま応用するわけで答えが出てこないのは当然かもしれないですね。