川本ちょっとメモ

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安倍政権・自民・公明の「集団的自衛権合憲論」トリック(1) 論拠文書の由来を知らせない

2015-08-19 22:06:33 | Weblog
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安倍政権・自民・公明が昭和47年10月14日政府提出資料「集団的自衛権と憲法との関係」から「集団的自衛権合憲論」を作り出したことにはトリックがある。国民をだます手口を見ていこうと思います。トリック1は…、知らせないことです。説明しないことです。すなわち、不都合なことは隠しておく。

この政府提出資料は政府の統一見解として、昭和47年10月14日付で参議院決算委員会に提出されました。なぜこの提出資料が発付されたのか。どういう経緯でこの提出資料が発付されたのか。安倍政権・自民・公明は国民に対してまったく説明していません。

この政府提出資料を仕掛けなしにふつうに読むならば、「集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」のです。そのうえに、提出資料発付の理由・経緯の説明を加えるならば、政府提出資料が憲法9条の下で集団的自衛権は行使できないと言っていることがより鮮明になります。この文書を根拠にする限り「集団的自衛権合憲論」が成り立たないことがより明らかになります。

昭和47年10月14日政府提出資料「集団的自衛権と憲法との関係」は、国会第69回参議院決算委員会(昭和47年9月14日)の水口宏三議員の質疑の中で、増原恵吉防衛庁長官(国務大臣)が政府統一見解として提出することを約束したものです。これが集団的自衛権容認の論拠に使われる時代が来るとは…
…。

この質疑に関係した増原恵吉防衛庁長官、久保卓也防衛庁防衛局長、高島益郎外務省条約局長、吉國一郎内閣法制局長官は鬼籍に在って、どう思うことでしょうか。

水口宏三議員の質疑は、自衛隊の海外派兵・個別的自衛権・集団的自衛権と憲法9条との関わりについてのもので、国会会議録のこの部分は2万4000字になっています。400字詰原稿用紙換算で60枚を超えています。
※参照:国会会議録 第69回国会 参議院決算委員会第5号 昭和47年9月14日

この質疑は、始めに「海外派兵」の問題を取り上げ、「公海上のミサイル発射」が憲法9条の許容する自衛行動かを問い、日露戦争におけるロシア・バルチック艦隊撃破の事例を挙げて自衛行動の限界を問い、それから本題の集団的自衛権に関する質疑を詳細に重ねています。

昭和47年9月14日の質疑で水口宏三議員は、憲法上での集団的自衛権の確認を執拗に追っています。そして政府側は、憲法9条の下で集団的自衛権を行使できないと答弁しています。このことを政府見解として整理するよう水口議員が増原恵吉防衛庁長官に求め、増原防衛庁長官が参議院決算委員会への提出を約束し、その結果の提出文書が昭和47年10月14日政府提出資料「集団的自衛権と憲法との関係」です。これは、憲法9条の下で集団的自衛権の行使はできないという文書です。

昭和47年9月14日参議院決算委員会・水口宏三議員質疑の終わりの部分を下に転記します。一読、おわかりいただけることと思います。さらに……、<資料> 昭47・9・14 参議院決算委員会、憲法と個別的自衛権と集団的自衛権に関する質疑/上<資料> 昭47・9・14 参議院決算委員会、憲法と個別的自衛権と集団的自衛権に関する質疑/下、をクリックして質疑の詳細を閲覧をしていただくならば、昭和47年10月14日政府提出資料「集団的自衛権と憲法との関係」の簡潔な文章の意味をより深くご理解いただけることでしょう。この文書はなぜ出されたのか? 参議院決算委員会で、防衛庁長官、外務省条約局長、内閣法制局長官が重ねて、集団的自衛権の行使を全面的に否定し、そのことの確認を文書化したのです。

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<資料>
第069回国会 参議院決算委員会 第5号
昭和四十七年九月十四日(木曜日)
   午後一時一分開会



○高島益郎外務省条約局長 それは、先ほどから吉國長官が御答弁しておられますとおり、憲法の自己抑制というのがございまして、日本には集団的自衛権はあるけれどもこれを行使できない、そういうたてまえで安保条約ができておるということを申しておるわけでございます。

○水口宏三議員 それでは、私もう一回。あとで統一見解を伺いたいんでございますけれども、どうもいままでの御答弁を伺っていると、少なくとも国連憲章五十一条の集団的自衛権に対する一般的な概念、日本国憲法第九条に対する解釈、これを法制局長官は十三条までお加えになった、あるいは憲法の前文まで引用なさった、それらを含めて、何で憲法第九条というものが集団的自衛権の行使を――を自己抑制とおっしゃっているが、禁止でしょう、禁止していると見ていいんでしょう――禁止しているのか、その点をもう少し文書で明確にしていただきたい。

 いままでの論議では納得できないんです。いま申し上げたような五十一条における集団的自衛権というものの概念、それから憲法前文、九条、十三条、それから日米安保条約、これらを含めて、日本が集団的自衛権の行使を憲法上禁止されているということをもう少し国民にわかりやすく言っていただきたいんですね。

 おそらくきょうの論議を聞いて国民は何が何だかわからないわけです、このままでは。自己抑制だなんて――自己抑制というのは、私非常に主観的なものであって、だから当然憲法論議である以上、それは解釈の相違もございましょうが、これは単なる解釈の問題ではないと思うんですね。その点明確にひとつ文書でもって御回答いただきたいんでございますけれども、増原防衛庁長官いかがでしょうか。

○増原恵吉防衛庁長官 なお、御趣旨をよく承りましたので、検討いたしましてお答えをいたします。この際申して恐縮ですが、先ほど海外派兵の統一解釈と申しますか、一週間ぐらいと申しましたが、いまもお話を聞いておって、これは両者まことに一体のものでございまして、約一カ月ぐらいの御猶予をいただきたいということで、解釈を申し上げる……。文書をもってやることはよろしゅうございます。文書でお答えをさせることにいたします。

○水口宏三議員 そうすれば、これを伺うのはちょっとあまり意味がなくなるのでございますけれども、日米共同声明の例の韓国条項と台湾条項でございますね、これはまさに日本の自衛とは全く無関係である、自衛権の行使とは無関係であると解釈してよろしいんでございますか。増原防衛庁長官。

○高島益郎外務省条約局長 先ほどから申しておりますとおり、日本は集団的自衛権を行使することができないというたてまえでございますので、韓国であろうとどこであろうと、外国との関係におきまして、日本の持ついわゆる個別的な自衛権との関係では何ら関係はございません。

○水口宏三議員 いやいや、個別的な自衛権とは関係がないかもわかりませんけれども、私が申し上げるのは、少なくとも日米共同声明の中では、韓国の安全は日本の安全と非常に緊密な関係にあるということが書いてありますね。韓国に――日本を攻撃する意図を明らかに持ったと思われるどこかの国の軍隊が、韓国を軍事攻撃し、韓国を占領する。それは日本にとっての非常な脅威でございますね。そういう場合であっても、集団的自衛権の行使は行なわない、
そう解釈してよろしいんですか。

○高島益郎外務省条約局長 確かに先生の御指摘のような事態は、非常に日本にとっても脅威であろうかと思います。しかし、これに対処する日本の行為としましては、集団的自衛権は行使できないということは、確固たる立場でございます。

○水口宏三議員 それでは、一応海外派兵の問題につきましてはその程度にいたしたいと思います。

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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(※憲法違反です)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣はデモクラシー日本を食い破りつつある危険な内閣です。その政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来年7月参院選で自民党に“No”を!







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