川本ちょっとメモ

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安倍政権・自民・公明の「集団的自衛権合憲論」トリック(2) なぜこの文書を選んだのか?

2015-08-24 15:47:37 | Weblog
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安倍政権・自民・公明が昭和47年10月14日政府提出資料「集団的自衛権と憲法との関係」から「集団的自衛権合憲論」を作り出したことにはトリックがある。国民をだます手口を見ていこうと思います。トリック2は…、なぜこの文書を選んだのか?

わが国の憲法9条は不戦の誓いをしています。このゆえにわが国は、「集団的自衛権は国際法上認められているが、憲法9条によって集団的自衛権の行使はできない」としてきました。集団的自衛権を行使できないとする国会質疑における政府側答弁、国会議員提出「質問主意書」に対する総理大臣「質問に対する答弁書」が数々重ねられてきました。国会答弁は口頭でありますが、衆参両議院で公式記録として会議録が作成されて文書化されています。

安倍政権・自民・公明が改憲手続きなしに、この「集団的自衛権の行使不可」
という制限を解除しようとするとき、累積されたこれら口頭・文書による政府答弁が足かせになります。

ふつうなら、年月日のいちばん新しいものを選んで議論の基礎にするでしょう。議論の正当性を補強するために、基礎にしたものより古い政府答弁や見解を資料として付与するでしょう。しかし、それをしたくてもできない。政府が積み重ねてきたすべての議論で、「集団的自衛権は国際法上認められているが、憲法9条によって集団的自衛権の行使はできない」と答弁しているからです。

そうした事情の中から選び出されたのが、昭和47年10月14日政府提出資料「集団的自衛権と憲法との関係」です。

次に、<資料> 昭56・4・22 「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問主意書/5・29 質問に対する答弁書をクリックして、<資料> 「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書、特に青字の部分をご覧ください。

この答弁書は昭和56年5月29日付、文書署名は「内閣総理大臣・鈴木善幸」。
議員提出の質問主意書に対する政府回答としての答弁書は、内閣総理大臣名で出されるのです。先の昭和47年10月14日政府提出資料の文書署名は「内閣法制局長官」ですから、この答弁書の方が文書の格としては上であり、発行年月日も新しいということになります。それでも安倍政権・自民・公明は昨年の早い時期から、「集団的自衛権論議」では「昭和47年10月14日政府提出資料『集団的自衛権と憲法との関係』」一本に絞っています。その熱意と集中ぶりは大したものです。

<資料> 昭56・4・22 「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問主意書/5・29 質問に対する答弁書 をクリックして、青字の部分を見てみましょう。

まず一段目の文段。
「国際法上、国家は集団的自衛権の権利を有している」と述べています。政府答弁でも国際法学界でも定説になっているものを確認しています。

これは質問主意書の「独立主権国家たる日本は当然自衛権を持ち、その中に集団的自衛権も含まれるのか」という質問に対応する回答です。

二段目の文段。
しかし、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と確認しています。これも国会で政府が積年にわたってくり返し答弁してきた安定した政府見解です。

これは質問主意書の「集団的自衛権は憲法上『禁止』されているのか、とすれば憲法何条のどこにどのように規定されているか」という質問に対応する回答です。

三段目の文段。
「集団的自衛権の行使が憲法上許されないことによつて不利益が生じることはない」と答弁しています。ここは特に注目しておく点でしょう。

これは質問主意書の「集団的自衛権が『ない』ということで我が国の防衛上、
実質的に不利を蒙むることはあるか」という質問に対応する回答です。

平成26年7月1日閣議決定以前には、上のような集団的自衛権に関する質疑答弁が長年にわたって積み重ねられています。それらの政府見解はすべて、「集団的自衛権の行使は憲法上できない」としています。

安倍政権・自民・公明が憲法改正手続きをしないで「集団的自衛権行使の解禁」をしようとしても、なかなかつけ入る隙はなかったでしょう。そして反対野党や国民を強引にねじ伏せてでも、「合憲論」を押しつけようとして穴を開けたのが、昭和47年10月14日政府提出資料「集団的自衛権と憲法との関係」という文書でした。

<資料> 昭56・4・22 「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問主意書/5・29 質問に対する答弁書の青字の部分をもう一度ご覧ください。

なぜ、この答弁書を典型とする従来の政府見解を無視して、安倍政権・自民・
公明は昭和47年10月14日政府提出資料「集団的自衛権と憲法との関係」を合憲論の根拠にしたのか? これが二つ目の合憲論トリックです。「これしかなかった」のです。

※参照 安倍政権・自民・公明の「集団的自衛権合憲論」トリック(1) 論拠
    文書の由来を知らせない



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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(※憲法違反です)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣はデモクラシー日本を食い破りつつある危険な内閣です。その政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来年7月参院選で自民党に“No”を!


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