川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
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原発学習(10) 放射線はDNAを傷つける

2011-06-12 11:37:36 | Weblog


05/04 ■ 原発学習(1)初歩の初歩から勉強をすることにしました
05/05 ■ 原発学習(2)固体1立方センチにびっしり詰まっている原子とサハ
     ラ砂漠を5メートルの高さで埋め尽くす砂粒

05/06 ■ 原発学習(3)「原子番号」は陽子の数を示し、アイソトープとは
     日本語で「同位元素」のこと

05/13 ■ 原発学習(4)原子は崩壊して放射線を放つ、そして元素が変わる
05/14 ■ 原発学習(5)原発使用済み燃料に1mまで近寄ると1分で死にま
     す!

05/22 ■ 原発学習(6)放射能・放射線の単位、人体への影響の測定用語
06/05 ■ 原発学習(7)ベクレル(Bq)からシーベルト(Sv)への換算方法
     解説

06/06 ■ 原発学習(8)「直ちに人体に影響を及ぼすものではない」とは、
     「いつかは影響がある」ということか?

06/08 ■ 原発学習(9)目安の数字は1時間当たり0.12と2.29マイクロ
     シーベルト

06/12 ■ 原発学習(10)放射線はDNAを傷つける
06/13 ■ 原発学習(11)放射線――ガンは若い人ほど起こりやすい、ガンの
     成長は数年後から数十年後

06/14 ■ 原発学習(12)お腹の中の赤ちゃんと放射能
06/15 ■ 原発学習(13)高線量被ばく死亡――染色体全破壊、すなわちDN
     A全破壊の実例

06/16 ■ 原発学習(14)高線量被ばく死亡――皮膚も内臓粘膜も筋肉もすべ
     て壊れた

06/17 ■ 原発学習(15終)半減期 半分じゃダメ ゼロになるのはいつ?
06/18 ■ 原発学習のためのリンク集
06/29 ■ 電力十社 十大株主リスト 機関投資家は原発をどうする‥‥



柳澤桂子著・地湧社刊「放射能はなぜこわい――生命科学の視点から」(1988.11.10.初版)からアトランダムにノートします。小見出しは私がつけました。「P12」という表記は本書記述箇所のページを示しています。

◇柳澤桂子略歴
お茶の水女子大学理学部植物学科卒、コロンビア大学動物学科大学院修了Ph.D.取得(遺伝学専攻)、慶應義塾大学医学部分子生物学教室助手、三菱化成生命科学研究所主任研究員、東北大学理学博士、現在サイエンスライター


まえおき
P12 ただひとつ、私は生命科学を研究してきたものとして、はっきりと言えることがあります。それは「放射能は生き物にとって非常におそろしいものである」ということです。

P19 私たちのからだは、六十兆個の細胞が集まってできています。


遺伝子情報 DNA
P19 実際の細胞では、まん中にもうひとつ袋があります。これは核と呼ばれているもので、その中に情報テープが入っています。
  ※DNAのことを「情報テープ」とわかりやすく表現しています。

P20 私たちが息をして、食べ物を消化して、そのエネルギーを使って動けるのも、その方法が情報テープの中に書かれているからです。ですから、情報テープは細胞の中の総指令部にあたります。
  ※総指令部の「指令」という文字は本書の通りに転記しました。

P21 細胞の中の情報テープは、デオキシリボ核酸(DNA)という長い分子でできています。細胞をすりつぶして、よけいなものを除いて、アルコールを加えると、白い糸状のものが出てきます。これがDNAです。

P23 人間のひとつひとつの細胞の中にあるDNAは、この四種類の分子が繰り返し、繰り返し三十億個も連なったものです。
  ※四つの分子‥‥①アデニン(A)、②チミン(T)、③グアニン(G)、④シトシン(C)

P25 人間のひとつの細胞のDNAは、すでに述べたように三十億個の文字から成り立っています。これは普通の長さの小説一万冊分に相当する文字の数です。

P27 DNAの中にA、T、G、Cの四種類の文字で書かれている情報は、RNAという分子を通して、さらにタンパク質という分子に写し取られます。

P27 DNAは総指令部にあたりますが、タンパク質は、一般の社員さん、工員さんです。

P28 タンパク質はアミノ酸が長く連なってできた分子です。タンパク質を構成しているアミノ酸には二十種類のものがあります。ひとつのタンパク質には数百から千個ぐらいのアミノ酸が含まれています。

P28 タンパク質の性質を決めているのは、アミノ酸の配列順序であるということになります。

P28 アミノ酸の並び順を決めているのがDNAなのです。


放射線障害は電離作用による
P34 さて、私たちがこのような放射線をあびると、からだにはどのような悪い影響があるのでしょうか。私たちのからだは細胞からできていますが、その細胞は分子からできています。分子は原子からできています。原子の中心には陽子と中性子からなる原子核があり、そのまわりを電子が回っています。

P35 陽子はプラスの電気をもち、電子はマイナスの電気をもっています。放射線がひとつの原子にあたると、その原子からは電子が大きなエネルギーをもって飛び出します。飛び出した電子は、いく先々で無数の分子にぶつかって、自分のもっているエネルギーを少しずつ分け与えていきます。エネルギーを受け取った分子は、興奮状態になったり、電子が飛び出してしまったりします。

P35 電子を失った原子を電離原子と呼びますが、放射線の影響のほとんどが、からだの中に生じた電離原子による複雑な化学反応の結果引き起こされるものです。生物の放射線による障害は、電離作用によるものです……。


変異するDNA 放射線は遺伝子情報に変化を起こす
P37 短時間に1シーベルト以上の放射能を浴びると、吐き気、だるさ、血液の異常、消化器障害などがあらわれ、死ぬ人もでるでしょう。このような放射線障害を急性障害と呼びます。

P37 けれども0.25シーベルト以下になると目に見える変化は何もあらわれず、血液を調べても急性の変化は見つけることができません。ところが、からだの中では着実な変化が起こっているのです。ここが放射線のおそろしいところです。

P38 微量の放射能を浴びると、人体に何が起こるのでしょうか。放射線は細胞の中でも電離原子を生じ、複雑な化学変化が細胞の中の分子に起こります。細胞の中の情報テープ(※遺伝子情報のこと)も電離原子の影響を受けます。その結果、情報テープが切れたり、アデニン、グアニン、チミン、シトシンという分子の文字で書かれている文章にまちがいが起こったりします。

P38 遺伝子に起こったこのような変化を突然変異と呼びます。

P40 放射線によって損傷を受けた細胞がすぐに死んでしまうときにはそれほど問題がありませんが、その細胞が傷をもったまま増えるといろいろ問題が起こります。

P40 細胞が増えていく過程で、情報テープも正確にコピーされて新しい細胞に組み込まれます。コピーされるときには、放射線によって起こったまちがいもそのままコピーされます。



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