マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

わが母の記

2012-05-11 09:24:29 | 映画ー劇場鑑賞

ーわが母の記ー

2011年 日本

監督=原田眞人 原作=井上靖 キャスト=役所広司(伊上洪作)樹木希林(八重)宮崎あおい(琴子)南果歩(桑子)キムラ緑子(志賀子)ミムラ(郁子)菊池亜希子(紀子)三浦貴大(瀬川)真野恵里菜(貞代)三國連太郎(隼人)赤間麻里子(美津)

 

【解説】

「敦煌」「天平の甍」などで知られる小説家・井上靖が自身の家族とのきずなを基に著した自伝的小説「わが母の記」を、『クライマーズ・ハイ』などの原田眞人監督が映画化した家族ドラマ。老いた母親との断絶を埋めようとする小説家の姿を映し、母の強い愛を描いていく。主人公の小説家には役所広司、母には樹木希林、そして小説家の娘に宮崎あおいがふんし、日本を代表する演技派俳優たちの共演に期待が高まる。

 

【あらすじ】

昭和39年。小説家の伊上洪作(役所広司)は実母の八重(樹木希林)の手で育てられなかったこともあって、長男ではあるが母と距離をとっていた。しかし、父が亡くなったのを機に、伊上は母と向き合うことになる。八重もまた消えゆく記憶の中で、息子への愛を確かめようとしていた。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品は、みなさんにお薦めしたいです。

日本映画、久々の大ヒットではないでしょうか?

樹木希林さん、海外の賞もたくさん獲られるのではないでしょうか?

すごい演技力でした。

よかったです!!

 

主人公は小説家の伊上洪作(役所広司)ですが、女性たちの描き方も繊細でとても良かったと思いました。

もう一人の主人公、洪作の母八重(樹木希林)。

物語の始まりでは、病に臥せって死の床にある夫を看取るしっかり者の妻。

でも、彼女には心の中にある思いを抱えていたのでした。

 

洪作にも、ある思いがありました。

家庭の事情で土蔵のばあちゃんと呼ばれていたぬいと、家族と別れ、5歳から8年間暮しました。

ぬいと八重には確執があり、洪作は自分だけ家族と別行動を取らされた、母に捨てられたという思いがあり、冗談めかしてはいるものの、その傷が作家の原点になっているところもありました。

 

洪作には二人の妹があり、上の志賀子(キムラ緑子)は郷里で母と暮し、下の桑子(南果歩)は東京で古美術商を営んでいます。

 

洪作の家族は妻の美津(赤間麻里子)と3人の娘、郁子(ミムラ)、紀子(菊池亜希子)、琴子(宮崎あおい)これも女性ばかりです。

 

この洪作を取り巻く女性たちの気持ちが、くっきりと描かれていたところが、この作品の成功だと思いました。

 

「母に捨てられた」という強い言葉が予告編で耳に残りますが、そんな大げさな話ではなく、どこの家庭にもある母と息子、父と娘のような、理解し合っているようで、思い込みや過ぎた愛情が、その本心を見えなくしていると言ったような、家族間の繊細な関係を実に細やかに描いてあるところが秀逸でした。

 

そして、痴ほうになってこそ表れる母の隠された愛情のほとばしりに、涙なくしては見られないシーンがありました。

これが、絶賛されている樹木希林さんの真骨頂でしょう。

 

そして最後の方に、洪作の妻美津が「あなたは親に捨てられたんじゃないけど、その思いが作家にさせた」という意味のことを言いますが、この達観が妻の強さだなあと思いました。

この女性たちに支えられて、売れっ子作家という難しい仕事を井上靖さんは成し遂げたのでしょう。

 

ラストは家族の和解が描かれたすばらしいシーンでした。

家族間の葛藤も軋轢も、この時のためにあったのだなあと思いました。

 

久しぶりにいい日本映画だと思いました。

世界的にヒットして、アカデミー賞にノミネートされたらいいなあ。

樹木希林さんが、あのレッドカーペットを歩く姿は、想像しただけでも嬉しい気持ちになります。

かっこいいでしょうね。

 

 



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (杏子)
2012-05-11 20:48:42
この映画はあまり関心がなかったのですが、感想を読んで興味がわいてきました。
でも泣きそうだからレンタルで
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杏子さんへ (マダムよう)
2012-05-12 08:34:32
悲しいというより、痴ほうになってこそ、ほとばしる母性愛の演技に涙が溢れました。
母の胸には、幼い息子への思いが複雑過ぎて、ちょっとくらいボケないと表面には出て来なかったのでしょう。
面と向かっては言えない、母と息子の微妙な関係や、そんなことはお見通しのような女たち、なかなか面白かったよ。
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久しぶり (みみちゃん)
2012-05-26 19:54:49
最近映画見るタイミングがなく、今日ようやくこれを見てきたよ。素晴らしいね。一緒に行った夫は相当泣いていたけど、私は涙がでるという感じじゃなく、実力者たちのそれぞれの演技、またからみに感動したね。
途中から樹木さんの前歯がなくなっていたのが、これも役作りだったのかな、と更に感動しました。
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みみちゃんへ (マダムよう)
2012-06-04 08:51:00
みなさん、演技が上手な人たちばかりでした。
見せ場が多かったと思いました。

とくに樹木希林さん、圧巻でした。

日本は、女性で回っていますねー。
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