ーノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつーNOWHERE BOY
2009年 イギリス/カナダ
サム・テイラー=ウッド監督 アーロン・ジョンソン(ジョン・レノン)アンヌ=マリー・ダフ(ジュリア・レノン)クリスティン・スコット・トーマス(ミミ・スミス)デヴィッド・スレルフォール(ジョージ伯父さん)デヴィッド・モリッシー(ボビー)トーマス・ブローディ・サングスター(ポール・マッカートニー)サム・ベル(ジョージ・ハリスン)
【解説】
1950年代のリバプールを舞台に、厳格な伯母と奔放な実母との間で葛藤(かっとう)する、ザ・ビートルズに入る前のジョン・レノンの青春を描く伝記ドラマ。ジョンを演じるのは、『シャンハイ・ナイト』のアーロン・ジョンソン。ザ・ビートルズの前身バンド、ザ・クオリーメンや、ジョンが影響を受けたエルヴィス・プレスリーなどのアメリカンロックの貴重な名曲の数々と共に、二人の母の愛の間で孤独を深める若きジョンの真実の物語がつづられる。
【あらすじ】
1950年代のリバプール、伯母ミミ(クリスティン・スコット・トーマス)と暮らすジョン・レノン(アーロン・ジョンソン)は、反抗期真っ最中の問題児だった。ある日、近所に実母ジュリア(アンヌ=マリー・ダフ)がいることを知ったジョンは、普通とは違う境遇を受け入れられず、行き場のない孤独に打ちひしがれてしまう。(シネマトゥデイ)
【感想】
昨年9月に訪れた「ジョン・レノン・ミュージアム」。
今年の9月30日に閉館してしまったのですね…。
あの時に知ったビートルズの歴史。
ジョンの二人のお母さん。
この作品はジョンの、ビートルズになる前の物語。
高校生の頃のジョン(アーロン・ジョンソン)は、教室や学校の枠に納まりきれないやんちゃ坊主。
不良というのではないけど、勉強をさぼり、怠け、友達と喧嘩して、ガールフレンドをからかって、大人たちには反抗する、いわゆる普通の思春期まっただ中のある少年という感じです。
☆ネタバレ
人と違っているのは、ミミ伯母さんとジョージ夫婦(クリスティン・スコット・トーマス、デヴィッド・スレルフォール)に育てられているということ。
実母のジュリア(アンヌ=マリー・ダフ)には会うことも許されていませんでした。
ある日、音楽好きのやさしい伯父さんが急死してしまいます。
お葬式に姿を見せた母。
伯父さんのいなくなった家で、厳しい伯母さんと向き合った時、ジョンの心に実の両親への思慕が芽生えたようです。
眠っていた母を慕う気持ちが呼び起こされたというべきでしょうか?
学校で問題を起こし、停学になったジョン。
厳しいミミ伯母さんには言い出せず、ジュリアを訪ねる。
ジュリアは現在の夫のボビー(デヴィッド・モリッシー)と娘二人と暮らしていた。
ジュリアは喜び、ロックンロールとバンジョーを教える。
しかし、事実がミミに知られ、迎えにきたミミに向かってジョンは「ジュリアと暮らす」と言ってしまう。
でも、ジュリアの家にはジョンの居場所はなかった。
二人の母の間で、心が引き裂かれそうになるジョン。
その気持ちを、音楽にぶつけていく姿がとてもせつない。
そんな中で、冷静なポール(トーマス・ブローディ・サングスター)と出会い、純粋に音楽と向き合っていく。
二人の才能は相乗効果を上げて、バンドの評判も上がっていった。
ジュリアの奔放な性格が招いた生い立ちの真実を知り、ミミの愛故の厳しさも理解したジョン。
ジュリアとミミも元の仲の良い姉妹に戻り、ジョンとの関係も良好となった矢先、ジュリアは交通事故で亡くなってしまいます。
ジョンは新しいビートルズを率いて、ハンブルグで活動を開始することを決心しました。
独立をミミに告げるジョンの誇らしげな顔。
受け入れるミミ。
ジョンが成長した証です。
こうして、ジョンは二人の母の愛を糧に、ジョン・レノンとなったのです。
二人の母の演技が素晴らしいです。
ストイックなミミと、情熱的なジュリア。
二人は反目し合いながらも、愛し合っていたんだなあと思いました。
そして、この二人の母に愛されたジョン。
ミミ伯母さんがしっかり愛情を注いで育てたから、ジョンがあるのだと思いました。
ミミ伯母さんも、なさぬ仲だからこそ、ことさら厳しく育てたのでしょうね。
なんと深い愛でしょう。
エンドロールで流れる、「マザー」
感動しました。
泣くよ。
ポール・マッカートニー役のトーマス・サングスターは、「ラブ・アクチュアリー」でリアム・ニーソンの息子役をしたあの可愛い男の子。
先日「ナニー・マクフィー~」を見て、長男役をしていたので、大きくなったなあ、と思っていたら、いきなりティーンエージャー役。
でも、顔が全然変わっていないので、かなりびっくりしました。
ジョンのファンの夫と一緒の鑑賞でしたが、彼は「知っていることばかりだったけど、ジョンが似ていたなあ」と感心しきりでした。