ー声をかくす人ーTHE CONSPIRATOR
2011年 アメリカ
ロバート・レッドフォード監督 ジェームズ・マカヴォイ(フレデリック・エイキン)ロビン・ライト(メアリー・サラット)ケヴィン・クライン(エドウィン・M・スタントン陸軍長官)エヴァン・レイチェル・ウッド(アンナ・サラット)ダニー・ヒューストン(ジョセフ・ホルト総監(検察))ジャスティン・ロング(ニコラス・ベイカー)アレクシス・ブレデル(サラ)ジョニー・シモンズ(ジョン・サラット)コルム・ミーニイ(デヴィッド・ハンター)トム・ウィルキンソン(リヴァディ・ジョンソン上院議員(元司法長官))
【解説】
『明日に向って撃て!』などの名優ロバート・レッドフォードが、『大いなる陰謀』以来となる監督作として放つ実録ドラマ。リンカーン大統領暗殺の一味としてアメリカ初の女性死刑囚となったメアリー・サラットの姿を、担当弁護士との絆を絡めて映し出す。『ギルティ・オブ・ラブ』のロビン・ライトが、死刑を求刑されてもかたくなに無実を訴えるメアリーの強さや、その中に秘めた思いを体現。『つぐない』のジェームズ・マカヴォイをはじめトム・ウィルキンソン、ケヴィン・クラインら、実力派ぞろいの共演陣も見ものだ。
【あらすじ】
南北戦争終結から間もない1865年のワシントンで、アメリカ合衆国大統領リンカーンが暗殺される。すぐさま犯行グループは拘束され、その一人として下宿屋を営む南部出身のメアリー・サラット(ロビン・ライト)も捕らえられる。罪状は犯行グループへのアジト提供であったが、彼女は一貫して無実を主張。メアリーの担当弁護士を引き受けることになったフレデリック(ジェームズ・マカヴォイ)は、北軍の英雄であったこともあって彼女と向き合うことに抵抗を覚えるが、実際に無実で何かの事情から自身を捧げようとしているのではと考える。(シネマトゥデイ)
【感想】
ロバート・レッドフォード監督は、2007年の「大いなる陰謀」も国家の大義と正義について、観客に何かを問題提起しているような作品でしたが、この作品も、アメリカ史で初めて女性で死刑判決を受けたメアリー・サラットの事件を題材に、正義とは何かを問いかける内容でした。
中身が濃いです。
なかなか素晴らしかったです。
南北戦争で北軍の大尉として陣頭指揮を執ったフレデリック・エイキン(ジェームズ・マカヴォイ)だったが、南軍の攻撃に倒れ、救援を待っていた。
戦友のベイカー(ジャスティン・ロング)は、瀕死の重傷を負って横たわっていた。
救援隊が駆けつけたとき、自分も傷が深いにも関わらず、瀕死の戦士を先に助けろというような人物だった。
そんな戦争の英雄として、フレデリックは恋人サラ(アレクシス・ブレデル)の待つワシントンに無事に帰還した。
そして、サラと再会したパーティーのその夜、1865年4月14日、リンカーン大統領暗殺事件が起きた。
フレデリックは、もう軍人はこりごりと弁護士になった。
自分が尊敬するジョンソン上院議員(トム・ウィルキンソン)から、大統領暗殺事件の犯人の一人、メアリー・サラット(ロビン・ライト)の弁護をするよう頼まれる。
戦争で南軍に殺されそうになった経験を持つフレデリックは、自分の周りの人間同様、大統領を暗殺した犯人に怒りと憎しみを持っていたが、「彼女は弁護を受ける権利がある」という強い主張に、彼女の弁護を引き受けた。
メアリーの裁判は、一般の法廷ではなく軍法会議で行われた。
すでに主犯のブースは逃亡中に射殺されていて、共謀者とされる8人がこの法廷で裁かれることになっていた。
メアリーは、夫を亡くした未亡人で、南部から息子と娘とともにワシントンに引っ越してきて、下宿屋をやっていた。
息子のジョンがブースと知り合い、仲間たちが集まるようになった。
メアリーは、暗殺計画と知って彼らに場所を提供していたのか?
共謀はあったのか?
原題はザ・コンスピレーター、共謀者という意味。
彼女は、自分が無罪と主張するだけで、肝心なことは何も言わなかった。
彼女には守らなければならない秘密があった。
エイキンがメアリーの弁護をすることを、誰もが快く思わなかった。
彼自身も最初は気が進まなかったようだ。
しかし、民間人が軍事裁判で一方的に裁かれる不平等に彼の正義感が燃えた。
証言をたどっても、彼女が有罪という証拠は出て来ない。
そして、せっかく探し出した証人も、法廷では証言を翻した。
そこには、スタントン陸軍長官(ケヴィン・クライン)の「(世間を納得させるために)犯人に重罰を課して、早く事件を終わらせる」という意向が強く働いていた。
☆ネタバレ
結局、軍法会議は彼女を含め4人を絞首刑にした。
フレデリックはぎりぎりまで彼女の延命に尽力するが、最後は大統領命令で処刑台に連れて行かれた。
彼女が守り通した秘密は、息子のジョンの共謀だった。
ジョンは逃亡先で母の処刑を知り、そののち囚われるが、一般法廷で裁かれ、無罪となったそうです。
母の有罪の証拠(逃亡した犯人に武器を供給したこと)が、息子のした行為だったのだから、それが母がやったこととなれば息子は無罪というわけです。
母の死が、みごとに息子をかばったというわけですね。
エイキンは、このあと法律の世界も離れ、ワシントンポストの初代社会部長になったそうです。
そのへんが、レッドフォード監督の「アメリカにも正義を守る人間はいるぞ」という気骨の表れだと思いました。
国家の大義と法の正義。
たいていは、国家の大義に潰されてしまうと思うけれど、そこに光を当てて、しかも自分の感情とは違うところへ自分を理性で導くという、これぞ正義!という結論にしびれました。
それを体現してくれたジェームズ・マカヴォイ。
今回も素晴らしい演技だったと思いました。
ロビン・ライトも素晴らしかった。
決して嘘はつかないが、母として息子は守る、信仰も崩さないという毅然とした態度。
処刑台に向かう気高い表情がメアリーの生き様を示していました。
いろんなことを考えさせてくれるいい映画だと思いました。
脚本が良いのかなぁ・・・良い映画でしたね!
それに今回もタムナスさん? 素敵でしたね!
適役だと思いました。
そうそう ロイビンライトは ショーンペンと離婚してベンが付かなくなったのですってね。小さな驚きでした。笑!
そうでしたね。
良かったよねー。
ロビン・ライトも、そういう変化がありましたね。
もともとうまい人だと思っていたけど、それよりもきれいな人で終わっていました。
でも、演技派ですねえ。
見直しました。
なんといってもレッドフォード監督の力量よね。
言いたいことがぱしっと伝わる、たいしたものです。