ーher/世界でひとつの彼女ーher
2013年 アメリカ 2時間6分
監督・脚本:スパイク・ジョーンズ ホアキン・フェニックス(セオドア) エイミー・アダムス(エイミー) ルーニー・マーラ(キャサリン) オリヴィア・ワイルド(デートの相手)スカーレット・ヨハンソン(声の出演=サマンサ)
【解説】
『かいじゅうたちのいるところ』などの鬼才スパイク・ジョーンズが監督と脚本を手掛けたSFラブストーリー。人工知能型OSの声に惹(ひ)かれる主人公と、生身の女性よりも魅力的なシステムとの恋のてん末を描く。『ザ・マスター』などのホアキン・フェニックスが主演を務め、彼が恋心を抱く声の主を『マッチポイント』などの女優スカーレット・ヨハンソンが好演。近未来的な物語に息を吹き込む彼らの熱演が胸に響く。
【あらすじ】
近未来のロサンゼルスで、セオドア(ホアキン・フェニックス)は相手に代わって思いのたけを手紙にしたためる代筆ライターをしていた。長きにわたり共に生活してきた妻キャサリン(ルーニー・マーラ)と別れ、悲嘆に暮れていた彼はある日、人工知能型OSサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会う。次第にセオドアは声だけで実態のない彼女の魅力のとりこになり……。(シネマトゥデイ)
【感想】
OSに恋する男の話と言ってしまえば、ちょっときもい感じがしますが、いろんなことを考えさせられる今風なお話でした。
幼なじみで結婚したセオドア(ホアキン・フェニックス)とキャサリン(ルーニー・マーラ)。
生き方の違いから、キャサリンは家を出て、離婚を申し出ていた。
セオドアはなんとなく承諾できず、ずるずると引き延ばしていた。
依頼主の思いを代筆するという仕事をしているセオドア。
でも、自分の思いは何一つ表現することができない。
自分の感情がなくなったのではないかとまで思う。
ある日、最新型のOS(声=スカーレット・ヨハンソン)を手に入れた。
OSはサマンサと名乗り、自分にカスタマイズして進化していくサマンサに引かれていき、恋にも似た感情を抱くようになる。
私はこの作品、現代人の心の空虚さと表現不足をよく表していると思いました。
隣人のエイミー(エイミー・アダムス)も、8年間連れ添った夫とささいなケンカで別れてしまいますが、こんなふうに人間と人間の結びつきが希薄なのです。
傷つきたくないから関係を切ってしまうのが、現代人のやり方。
子供も無く、経済的には自立しているので、困らないんですね。
でも、やはり一人では寂しい。
虚しい。
そこで自分にぴったりのOSの登場となるのです。
スカーレット・ヨハンソンのあのハスキーボイスじゃ、殿方はイチコロでしょうね。
ホアキン・フェニックスもいつもの濃いキャラクターを消して、普通の人を演じていました。
ラストはもちろん、ハッピーエンドとはいきませんが、グレードの高い作品になっていました。
セクチイボイスのサマンサのとりこになっていく姿が微笑ましかったです。
2人のデートも、ちゃんとデートしてる感じがしたよね~~
進化する人工知能でも、トランセンデンスとは全く違う方向性でしたね。
でも、こういう進化もいいな。
セオドアが、ITではなく手書きの代筆(コンピュータがやっていましたが)が仕事というのも皮肉っぽくて面白かったね。
ぬくもりを感じたのが、離れていった妻ではなく、OSの声というのも皮肉です。
人は、ぬくもりを求めるものなのね。
そのうち、体温を持ったロボットというのも人気になるかも。