マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

別離

2012-04-23 09:16:00 | 映画ー劇場鑑賞

ー別離ーJODAEIYE NADER AZ SIMIN/NADER AND SIMIN, A SEPARATION

2011年 イラン

アスガー・ファルハディ監督 レイラ・ハタミ(妻・シミン)ペイマン・モアディ(夫・ナデル)シャハブ・ホセイニ(ホッジャト)サレー・バヤト(ラジエー)サリナ・ファルハディ(娘・テルメー)ババク・カリミ(判事)メリッラ・ザレイ(ギャーライ先生)

 

【解説】

イラン人夫婦に訪れる危機を軸に、人間の複雑な心理と共に社会問題をも浮き彫りにし、ベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞した人間ドラマ。『彼女が消えた浜辺』のイラン映画界の異才、アスガー・ファルハディがメガホンを取り、濃密ながら壊れやすい家族の関係を繊細に映し出す。娘のために外国への移住を決断する妻をレイラ・ハタミが、父親の介護のためにイランに残りたい夫をペイマン・モアディが好演。波乱含みの様相にさらなる秘密とうそが絡み合い、スリリングに転がっていく展開に心を奪われる。

 

【あらすじ】

イランのテヘランで暮らすシミン(レイラ・ハタミ)とナデル(ペイマン・モアディ)には11歳になる娘がいた。妻シミンは娘の教育のために外国へ移住するつもりだったが、夫ナデルは老いた父のために残ると言う。ある日、ナデルが不在の間に父が意識を失い、介護人のラジエー(サレー・バヤト)を追い出してしまう。その夜、ラジエーが入院し流産したとの知らせが入り……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

『彼女が消えた浜辺』の監督、アスガー・ファルハディ。

今年のアカデミー外国語映画賞を獲得したイランの映画です。

 「彼女が消えた浜辺」はたくさんの登場人物がいて、雑然とした印象でしたが、今回は2組の夫婦にしぼられ、問題点も明確です。

 

最初から離婚の申し立て。

妻シミン(レイラ・ハタミ)は、娘テルメーを伴って外国へ移り住むことを願っていました。

でも、夫のナデル(ペイマン・モアディ)は、父が認知症なので外国には行けないと言います。

そこで、夫婦仲は問題ないけど、離婚の申し立てということなのだと、必死で訴えるシミン。

「イランではダメなのですか?」と係の人が尋ねます。

シミンは「イランの教育環境は最悪です」と答えます。

係の人は、「これはご夫婦で解決すべき問題です」と突っぱねました。

 

失望したシミンは実家へ戻り、冷却期間を置くことにしました。

娘のテルメーも一緒にと思いますが、テルメーは父と残ると言いはります。

 

認知症の父親の介護に、知り合いから紹介された女性を雇うことにしました。

敬虔なイスラム信者のラジエー(サレー・バヤト)は幼い娘を連れていました。

通ってくるには遠いし、報酬は安いと、あまり気乗りのしないようですが、次の日から働くことを約束して帰りました。

 

ラジエーとその幼い娘

 

ラジエーは二人目を妊娠していました。

夫のホジャト(シャハブ・ホセイニ)は、長年勤めた靴屋を、短気が元で辞めて以来失業していました。

宗教的な制約があるのに、お金がいるラジエーは夫に内緒でこの家で働くことにしたのです。

 

認知症の老人の世話は、大変なことでした。

宗教的な制約があり、介護知識もなく、妊婦で、幼い子供も一緒のラジエーには、無理な仕事に思えましたが、そこを無理してしまうところにひずみが出てしまいます。

 

ラジエーの夫。トラブルメーカー。

 

そこからが、この映画のすごいところ。

それぞれの言い分、または、言えないところ、保身のための小さなウソなどを、つぎつぎと暴いて行きます。

 

自分の正論を曲げないナデルと、テルメーのために示談ですませようとするシミン。

二人の溝はどんどん広がって行きます。

 

夫婦の離婚の構図が、きめ細やかに描かれていました。

 

イランと日本、国は違えど人の気持ちって同じなんだなあ。

信じる宗教があってもなくても、人の感情の動きって同じだなあ、と妙に冷静に見てしまいました。

すごく、面白かったです。

 


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