片貝孝夫の IT最前線 (Biz/Browserの普及をめざして)

Biz/Browserの黎明期からかかわって来ました。Bizを通じて日常を語ります。

自治体の情報システムは全体で一つ

2007年01月07日 | 私の正論
住民の転入や転出があったとしよう。すると、住民票、住民税、水道、学校、福祉などのすべての業務に関係する。したがってサブシステムごとに別の業者に発注するといったことは、本来考えられないことなのだ。住民一人にすべての情報が関連を持っているのだ。
西宮市は、昭和36年に会計機を入れた時点から、一つの統一した考え方の元に、途切れることなく筋の通ったシステムを構築してきた。住民情報システムのすべてを、職員の手で開発してきたからできたことだ。一番大事にしてきたことは、現場に聞くということだ。わからないことは、その職場に行って納得できるまで徹底的に聞く現場主義だ。とにかくやらせて、わからなければ質問させて、育ててきたという。良い意味の自由放任主義だったという。
しかし、それでは、ソフト開発では個人差が大きくなりすぎるので、開発標準を定めた。これによって個人差は減り、生産性と品質が向上した。このことは大きかったという。しかし、とっぴなことはできなくなったので、そういった意味では問題がないわけではないという。
基幹業務は日立の頑丈なホストコンピュータで、まずダウンしない。サーバなどが時々こけるのとは雲泥の差だ。これを捨てる手はない。言語もCOBOL。これでいい。ただWeb化は今後必要だ。そのためにはリッチクライアントの技術を使えば、ホスト資産も残せて、Web化もできる。操作性も、問題なければ従来と変えることはない。
話がそれてしまったが、私は、この西宮市のシステムを、そのまま他市にも適用することができないかと考えている。SaaSとして提供するのだ。特に財政が逼迫している市町村に、従来のコストの半分で、日本一の折り紙つきのシステムを使うことができるのだから、こんなすばらしい話はないはずだ。
もちろん北海道のHARP構想や、地方自治情報センターの構想もあろう。それに対抗するということではなく、現実に使われているシステムを、そっくりそのまま使ってもらうというやり方があってもいいのではないかということだ。3つくらいが競うのが一番いい。
このことは、私がまったく勝手に考えていることで、西宮市の方が知ったら目を剥くと思うが、日本の将来のために、本気で考えている。特に西宮市は阪神淡路大震災を経験して、防災システムは秀逸だ。こういったシステムもそのまま使えるとなれば、全国の市町村、一度は検討してみる必要があると思うが、いかが。