『医療サービスの総額規制』という考え方 ~ 医療保険制度改革には『痛み』の甘受以外に妙案はない

2013-09-27 19:38:39 | 日記
介護保険財政の持続可能性を追求する際、介護サービス事業の効率化を促進することが必要であることは間違いない。しかし、それだけでは到底追い付かない。介護保険財政規模は社会保障サービスの中では年金財政と医療保険財政に続く3番目の規模でしかない。本丸は、年金と医療なのだ。

医療財政を考える際によく見るのが、資料1〔=医療費の動向〕である。政府が提示する資料には示唆的なものが多く、この資料1からも様々なことを想起することができる。「国民医療費の対GDP比」、「国民医療費の対国民所得比」、「総保健医療支出の対GDP比」、「老人医療の対象年齢」、「後期高齢者(老人)医療」などのキーワードは目に付く。要するに、こうした上昇基調にある指標を横這い又は下降基調にするにはどうしたら善いのか、ということだ。

介護保険も医療保険も、保険料や公費だけではなく、利用者が自己負担する分もある。これまで、資料2〔=介護保健・医療保険の利用者負担割合の経緯〕のように推移してきている。介護保険財政もさることながら、医療保険財政の方が遥かに健全化ニーズは高い。そういう視点で医療保険の利用者負担割合の経緯を見ると、高齢者への配慮が如実に顕われていることがよくわかる。これでは医療保険財政の持続可能性は覚束ない。

医療費抑制に向けたマクロの目標を打ち立てて、それに向けてミクロの制度改革を行っていくしかない。目標の在り方としては、上述のような各種指標に上限値を設ける(例えば「国民医療費の対GDP比を・・・以下とする」)ようなことで、それを具体化するために利用者負担割合の下限を設ける(例えば「高齢者の自己負担割合は2~3割とする」)ようなことであろう。これは一例だが、ここで書かなくとも、誰しも頭ではわかり切っているはずだ。ただ、それを政治の場で打ち出す政治家がいないということだ。

例えばこうした手法を用いて、特に高齢者1人当たりの医療サービスに要する費用を段階的に削減していくしかない。言わば、『医療サービスの総額規制』である。冷たい言い方かもしれないが、高齢者や低所得層に配慮し過ぎると、全体システムの持続可能性が揺らいでしまう。高齢者医療費の幾ばくでも子育て・保育サービスに転用すれば、相当の少子化対策として機能させることができるだろう。医療保険制度改革とは、高齢者を中心とした医療サービス需要側の人々にそれなりの『痛み』を甘受してもらうことに他ならない



<資料1:医療費の動向>

(出所:厚生労働省)


<資料2:介護保険・医療保険の利用者負担割合の経緯>

(出所:厚生労働省)


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