『受益高齢者負担割合の引上げ』という考え方 ~ 長寿化社会での医療保険財政の持続性維持

2013-09-28 14:34:21 | 日記
医療サービスの大半は民間市場だけでは到底賄えないので、公的な保険によって“必要最低限”の資金が給付されることになっている。建前上、“必要最低限”とされている。それが医療保険制度であり、その仕組みは資料1〔=我が国の医療制度の概要〕の通りだ。

財源構成は、2011年度実績ベースで、医療費総額39.1兆円のうち、保険料19.2兆円(49%)、税金14.1兆円(36%)、利用者負担5.8兆円(15%)となっている。保険料と税金、即ち医療保険制度に係る公的資金がふんだんにあれば問題は小さいのかもしれないが、実際には余裕は全然ない。資料2〔=医療費の将来推計〕にある通り、少子高齢社会が進むことも手伝って、医療費は相当増加していく見通しだ。

そうなると、どこかを削って限られた財源を政策的に有効とされる部分に重点的に配分していくことを考えていかなければならない。マクロの医療保険財政という視点から見ると、資料1を見ながら、どこをどう増やすべきで、どこをどう減らすべきなのか、となる。

少子高齢社会の中での長寿化が更に進んでいくこと前提としながら、医療保険制度の持続可能性を少しでも維持していくには、(1)利用者の自己負担比率の引上げ、(2)利用者の保険料負担比率の引上げ、(3)増税、(4)医療サービス対象の合理化などが選択肢となってしまうだろう。

どの選択肢も政治的には非常に難しいことは周知の通りだが、医療保険財政のみならず社会全体の持続性を考えるのであれば、先ずは受益者負担原則を重視すべきだ。そう考えると、初めに利用者の自己負担率の引上げから着手すべきだ。先のブログ記事の資料から察するに、高齢者の負担割合を引き上げることで対処するしかない。『高齢者』や『後期高齢者』の定義を見直していく必要がある。少子化の進展見通しも考慮すれば、『70~74歳』・『75歳』の区分を、例えば『75~79歳』・『80歳』にまで引き上げなければならなくなる日が早晩やって来るだろう。

長寿化社会なのだから、受益高齢者の負担割合を引き上げていくことから始めるべきである。



<資料1>

(出所:厚生労働省)


<資料2>

(出所:厚生労働省)

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