『待機老人 ≠ 特養入所申込者数』、『待機老人=介護サービス待ち高齢者』

2013-09-20 13:17:10 | 日記
介護保険財政を考える時、今後どれだけの介護サービス需要があるかを推計しておくことは重要だ。それを示すものとしてよく見かけるのが、下の資料1〔=介護サービス量と給付費の将来見通し〕である。

他方で、『待機老人』という言葉がある。老人ホームへの入居を希望しているが満杯なので部屋が空くのを待っているお年寄りたち、というのが一般に思われていることだろう。ところが、厚生労働省はこの『待機老人』という用語を使ってはいない。敢えて使っているとすれば、『特別養護老人ホームの入所申込者』(資料2)である。

こうした指標が提示されることには、それなりの意味がある。それを提示することによって、以後の政策に何らか反映させたいという意図がある場合が殆どだ。『待機老人』という言葉は報道等で一人歩きしてしまった造語であるが、これを解消することが一つの政策目標だと思われていることも事実だろう。

しかし、特養の入所申込者数の全員が特養に入所できたとしても、介護サービスを必要としている高齢者の全員に介護サービスが行き渡るわけではない。特養の入所申込者のうち特養側からみて「真に入所が必要な人」は入所申込者全体の1割強という調査結果もある

以上は、いわゆる『特養の待機老人』の例であるが、真の意味での『介護サービス待ち高齢者』は特養など施設系か、デイサービスや訪問介護など在宅系かを問うべきではない。資料1の「利用者数」に該当する『介護サービス待ち高齢者』に対する介護サービスの展開を、介護保険財政の最も効率的な配分で実施していく計画性が、今最も求められている介護サービス将来見通しであるべきだ。


<資料1>

(出所:厚生労働省)


<資料2>

(出所:厚生労働省)

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