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中世の特徴

2024年02月19日 | 高2用 授業内容をもう一度

土地を媒介にした人間関係が成立した時代を「中世」と呼びます。これは日本で言えば鎌倉時代の「一所懸命」の主従関係が該当しますし、イスラム世界では「イクター制」の成立(10世紀ころイラクで)をもって中世といいます。 また、多くの地域でこれら土地を媒介にした人間関係を成立させる基礎になる「精神」が存在しているといえます。西洋では「キリスト教倫理観」が社会を支配します。西アジアでは9世紀ころに完成した「イスラム倫理観」です。日本の場合「武士道」と言いたいところですが、「武士道」は江戸時代の中期以降でしょうか。「いざ鎌倉」という倫理観。まさに命がけで土地を守る為に、もしくは土地を新しく手に入れるために戦う。これが坂東武士たちの「一所懸命」の精神です。 一方、このような意味における中世は、中国ではあまり顕著ではありませんでした。10世紀前半の混乱がそうさせたのかもしれません。中国では地主階級が王朝に治安維持など、自分の土地を守る為の行為を委ねていたようです。その代わり彼らは「科挙」を通じて王朝の政治に関与していったわけです。この点についてはまたの機会に触れたいと思います。 「中世」は非常に興味深い時代です。「ダビンチコード」が西洋世界でベストセラーになるのもわかるように思います。21世紀の世界は中世に向かっていくと思います。世界史であつかうような「遅れた」時代では決してないのです。


中世の人間関係は、土地を媒介にしたものである、と説明しました。今回は「中世」の前近代性についてです。 土地を媒介とした人間関係とは、自分が「所有」もしくは「保有」している土地を、「守ってもらう人」とその土地を「守ってあげる人」との人間関係をさします。西欧においては、土地の所有者は「地主(世界史では領主)」ですから、自分がその土地を耕すわけではなく、農奴と呼ばれる農民を働かせるわけです。そのころは農業以外に産業はないですから、土地を所有できなかった人々(農奴)は、領主から土地を借りて生活しなければなりません。


 さて、ここで問題なのは、有効な農地はごく限られていた、という点です。非常に貧しい土木工作器具しかなかったはずです。森や沼といった自然の前に、西欧の人々は大変無力でした。おそらくこの辺が日本の中世と違っていた点でしょう。ごく限られた農地を「所有」することに成功した「領主」が人口に占める割合は、5%~8%程度。理不尽な比率です。領主にとって、この理不尽さを「必然」にする必要があった。それが中世のもつ「前近代性」です。現在のわれわれにとって「理不尽」と感じられることですが、中世の人にとっては「必然」でしかなかったといえます。社会倫理が人々の思考をがんじがらめにしていたわけです。 このような窮屈さを打破する力が近代を志向したわけです。


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