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黄帝内経素問 評熱病論篇 第三十三 第四節 語句の意味

2013-11-16 09:00:00 | 日記

おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です

黄帝内経素問 評熱病論篇 第三十三

第四節

 帝曰。有病腎風者。面胕痝然。壅害於言。可刺不(1)。

 岐伯曰。虚不當刺。不當刺而刺。後五日其氣必至。

 帝曰。其至何如。

 岐伯曰。至必少氣時熱。時熱、從胸(匈の下に月・むね)背上至頭、汗出、手熱、口乾、苦渇。小便黄。目下腫、腹中鳴。身重、難以行。月事不來。煩而不能食。不能正偃。正偃則欬。病名曰風水。論在刺法中。

 

語句の意味

腎風=じんふう。腎気が虚している所に風寒の邪が直中しておこる。<素問刺法論>「冬壬癸の邪にあたるを腎風と為す。腎風の状は多汗悪風、面痝然として浮腫し、背痛んで正に立つことあたわず。その色 (火へん台)、隠曲して利せず、診は肌上に在りてその色黒し。」<素問奇病論>「病痝然として水有る状の如くなる事有り。その脈を切して大緊、身に痛み無き者、形瘦せず、食することあたわず、食少し。病生ずること腎にあり、名づけて腎風と為す。腎風は食することあたわず、しばしば驚き、驚き已って心気痿するものは死す。」<素問評熱病論>「腎風を病む者あり、面腑して痝然たり、壅て言を害するは刺すべきや否や。虚はまさに刺すべからず。」

 

胕=ふ。①皮膚のこと。<丹渓心法>「跗の内廉の胕痛む。」②跗(ふ)に同じ。足背のこと。<素問評熱病論>「面胕、庬然(痝然ではない)として壅る。」③腐の意味。<素問異法方宜論>「其の民、酸を嗜みて、胕を食う。」④浮の意味。<素問五常政大論>「甚しければ、則ち胕腫す。」⑤腑(ふ)に同じ。

跗=ふ。足昳ともいう。足背部、すなわち足の甲のこと。<霊枢営気>「故に気、太陰より出でて手の陽明に注ぎ、上は行りて足陽明に注ぎ、下は行りて跗上に至り、大趾間に注ぎて、太陰に合す。」

腑=ふ。内部の中空な臓器をいう。→六腑(ろくふ)。

六腑=六腑とは胆・胃・大腸・小腸・膀胱・三焦をいう。腑は一般に胸腹腔中にあって中空で腔のある器官で、出納、転輸、水穀を伝化する機能があり、「物を伝化して蔵せず」と規定されている。腑と臓の配合は「互いに表裏を為す」と称し、腑は表と為し、臓は裏と為す。すなわち胆は肝、胃は脾、大腸は肺、小腸は心、膀胱は腎、三焦は心包絡に合する。<霊枢本蔵篇>「六腑は水穀を化して津液を行らすゆえんのものなり。」

 

痝然=ぼうぜん。腫れることをいう。<素問風論>「腎風の状、多汗悪風、面痝然として浮腫す。」

 

鍼灸医学大系 (語句の解)

*面胕痝然 之は「面腑(は)れ痝然たり」と読んでよい。面とは顔のことであり、胕とは趺と同じで、足の上面(足の甲)のことであるが、ここでは肉がつく意ではれること。痝とは疒(やまいだれ)と尨(むくいぬ)との組み合わせの文字で、尨は毛の多い犬つまり「ムク犬」のことである。そこで痝とは「むくむ」「ふくれる」等の意となる。

 

壅=雍・よう。塞がって通じないこと。<素問生気通天論>「天気、・・・、これを失えば、則ち内は九竅閉じ、外は肌肉壅す。」<素問大奇論>「肝雍。」「腎雍。」

壅=ヨウ。フサぐ。せく。壅塞。壅閉。フサがる。つまる。つちかう。土を加えて培養する。

鍼灸医学大系 (語句の解) 

 そこで本文の「言に壅害す」とは、言語が何かをもって覆われ、だきこまれた形となって明瞭にならぬことで、つまり言語障碍を起こすことである。

 

東洋学術出版社素問

壅―王冰の説「壅とは目の下が壅塞して臥蚕の形のようになるのをいう」。

これでは何を意味するか分からない。

臥蚕=がさん。蚕が寝ているような状をいい、異常な隆起などの形容に用いる。<金匱要略水気病>「夫れ水病の人は目下に臥蚕有り。」漢方用語大辞典

鍼灸医学大系 (語句の解)

*王冰の注 「痝然とは腫起の貌なり。壅とは目の下、雍して臥蚕の形の如くなるを謂うなり。腎の脈は腎より上りて肝膈を貫き肺中に入り、喉嚨を循りて舌本を俠む。故に言語を妨害す」と。

 

後五日其氣必至

鍼灸医学大系 (語句の解)

至=いたる。・・・。従って本文の「五日其の気必ず至る」とは、虚の状態のものを刺した日から数えて五日目に、其の邪気が腎藏にまで到達することを意味するものである。

 

身重=しんじゅう・証名。肢体が重だるく、動きがにぶい症状をさす。多くは脾腎の陽虚により水湿が留滞しておこる。

 

月事=げつじ。月経(げっけい)に同じ。<素問上古天真論>「月事時をもって下り、婦人天癸匝月(そうげつ)に至るをいうなり。」

 

煩=はん。わずらわしいこと。とくに心中煩乱して、起きても寝ても不安な状態にあること。

 

正偃=せいえん。正臥のこと。<素問評熱病論>「正偃すること能わず、正偃すれば欬す。」

 

風水=ふうすい。水腫病の一種。風㽷。(<霊枢四時気篇>)ともいう。風邪が侵襲して、肺気が宣降せず、水道を通調することができなくなり、水湿が体内に瀦留しておこる。発病は急で、発熱・悪寒・顔や手足の浮腫・骨節疼痛・小便不利・脈浮などをあらわす。治療は、疏風・宣肺・利水の法によい。この証は、急性糸球体腎炎によくみられる。⇒水腫(すいしゅ)。<素問水熱穴論>「勇にして労すること甚だしければ、則ち腎汗出づ。腎汗出でて風に逢えば内、蔵府に入ることを得ず。外、皮膚を越ゆることを得ず。玄府に客し皮裏を行り伝えて胕腫を為す。之、腎に本づく。名づけて風水と曰う。」<金匱水気病>「病に風水あり、皮水あり、正水あり、石水あり、黄汗あり。風水は、その脈自ら浮、外証は骨節疼痛し、悪風す。」

 

漢方用語大辞典、鍼灸医学大系、東洋学術出版社素問

 

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