さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

姐さんの憲法論(4)~政治道徳の法則~

2020-09-26 | 姐さんの憲法論

姐さん、今日は前文の最後の部分ですね。よろしくお願いします。

そうね、じゃあ、読んでみようか。

「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国家は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

というんだけど、何が問題だか解る?

そうだなあ、先ずここも文章が長すぎますよね。尤もらしいこと言っているようだけど、何が言いたいのか良く解りません。

確かにここも文章が長すぎるよね。読点が七つもあるからね。だらだらして解りにくいよね。でも、ここでの要点は「政治道徳は、普遍的なもの」であって、それを全力をあげて達成しろと言ってるところだよ。一見すると正しいことを言っているようだけど、この憲法を作った者たちの一方的な独善というか、傲慢さが表れているところだね。

そうですか、良く解りません。

あのね、この政治道徳だけど、これは各国によって違うものじゃない。例えば、イスラム教徒の国だったら、コーランを守っていくのが政治道徳だし、共産主義の国だったらマルクス理論を守ることが政治道徳じゃないの。世界中が同じ政治道徳の法則が同じというのがおかしいでしょう。その「法則が普遍的なものであり、この法則に従うことが絶対に大事で責務であると信じる」だよ。これはね、アメリカ的な政治形態を世界中に押し広げ、その法則を世界のルールにしようという意図が含まれているんだよ。

成程、深読みするとそこまで読めるものですか。確かに政治道徳が普遍的な法則と強調しているってことは、そういうことですね。日本古来の「和を以て貴し」とは違いますね。「和を以て貴し」はお互いの違いを認めた上で、それでもお互いを理解して調和して行こうということですからね。やはり、日本の憲法は和で行かなくてはいけませんよ。

最近、グローバリズムって良く言われるでしょ。このグローバリズムは世界標準というか、世界中を同じルールで統一しようという運動なんだよ。だから、この日本憲法には、もうグローバリズムの考えが入っているってことなんだよ。誰も気が付かないんだけど、この憲法を作った勢力はそこまで考えてるんだね。

日本人の中でどれだけの人がそこまで知っているんでしょうね。大抵の日本人は何にも考えていませんよ。国の規範というべき憲法について、何も考えない人ばかりでいいんでしょうかね。これじゃあ、日本の将来が心配ですね。ところで、この最後の部分は姐さん流にはどう書き換えますか?

そうね、「われらは、いづれの国の主権とその政治道徳を尊重する。その上で、調和を心がけ文化の交流を通して、世界平和と発展に貢献することを誓う。」こんな所かな。

いいんじゃないですか。やっと僕も解ってきましたよ。やはり日本人は憲法を読んで見るべきですね。読んで見れば誰だって、びっくりしますよ。改憲だ、護憲だ、とそれぞれ言ってましたけど、殆どの人が憲法を読んでいませんからね。読んだ上で、語らなきゃ駄目ですよね。姐さん、ありがとうございました。

少しは解ったかしら、でも、私の憲法論はこれからだからね。次回からもっと掘り下げた話をするからね。

よろしくお願いします。

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姐さんの憲法論(3)~諸国民の公正と信義~

2020-09-24 | 姐さんの憲法論

姐さん、今日もよろしくお願いします。前回の続きを読んでみましょうか?

そうね、読んでみようか。

「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」

ここがこの前文の最大の問題だよね。「平和を愛する諸国民」ってどこの国を指すのよ。近隣の諸国民なの?それともアメリカのこと?イギリス?そして、「諸国民の公正と信義に信頼して」だよ。どこの国だか解らない国の公正と信義を信頼しろっておかしいでしょう。その上その諸国民に「われらの安全と生存を保持しようと決意した」だよ。日本の国の安全と生存をその諸国民にお任せしましょう。ということを決意しただよ。こんなことが憲法に書いてあるのよ。驚きでしょう。

本当ですね。始めて知りましたよ。「安全と生存を保持」ということは、「命をお預けしましょう」ということですよね。そんなことを「決意した」んですか。これじゃあ、宗主国に全てを依存している属国、植民地根性ですよ。これは、いくら何でも許されることじゃないですね。じゃあ、その後を読んでみましょうか。

われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

あんたが言っていた憲法に相応しくない言葉、「専制と隷従、圧迫と偏狭」はここで使われているんだね。もともと日本人は争いを好まない健全な国民なのよ。奴隷制度なんかあったこともないし、奴隷にされたこともない。だから隷従だとか偏狭だとか、こんな言葉を憲法に入れるなんてことは考えられない。迫害され続けた国民が作ったとしか考えられないね。

この文章を修正するとしたら、どうしますか?

ここのところは修正なんかじゃ済まないね。全面的に書き換えしかないよ。要は平和を求めるということと、戦争が起こらないように努力しようということが主旨だと思うの。だから、「われらは、常に恒久的な平和を追求しよう。世界から戦争がなくなるために、外交努力を尽くそう。」こんなところかな。

その方が、余程憲法らしいですよ。「恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」なんていうのは、余りにもリアル過ぎますよ。憲法は家庭で言えば家訓のようなものでしょ。玄関とか床の間に据えるものなんだから、恐怖や欠乏なんかはおかしいですよ。

そうでしょう。とくにここの所は「おかしい」を通り越して、「とんでもない」という文章だよね。いかにこの憲法が作られた時の日本が戦争に負けて、日本人が茫然自失していた時にGHQから押し付けられたということを物語っているんだね。もう少しだけど、続きは次回にしようか。

解りました。よろしくお願いします。

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姐さんの憲法論(2)~前文はおかしい~

2020-09-23 | 姐さんの憲法論

 

姐さん、よろしくお願いします。約束通り、早速日本国憲法の前文を読んで来ました。

そう、どうだった?どんな感じだった?

そうですね。姐さんが言ったように、読みにくいというか、良く解らない文章でしたね。何か違和感みたいなものを感じました。それに、文章が長すぎて、美辞麗句の羅列のようで、何だか何を言っているのか解らないですね。それに、憲法にはふさわしくない専制とか隷従とか圧迫とか偏狭なんて言葉も使ってあったし、何だかしっくりしない感じでしたね。

そうでしょ。それが問題なのよ。日本人が誰でも読んで、覚えて、常に身につけるのが憲法でしょ。それが、何だか読みづらくて、覚え難くて、身近に感じない憲法じゃ駄目だよね。そもそも、この憲法って何なのかというと、会社で言えば社則だし、学校で言えば校則みたいなもんでしょ。だったらもっと読みやすく、美しい日本語で作って欲しいよね。この憲法の文章は誰が読んだって、美しいとは思わないよね。前文の始めを読んでみようか。

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民の協和による成果と、わが国全土にわたって自由をもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」

そうですね。文章がだらだら長いのが先ず気に入りませんね。

そうよ、長いのよ。句読点の基本的な使い方からしてなってないよ。大体日本語というのは、主語があって、最後に述語が来るでしょ。だから、その間の修飾語はいくつもいくつも並べるもんじゃないのよ。つまり読点「、」はせいぜい二つか三つ位がちょうど良いのであって、七つも八つもあったら読みにくいよ。これはね、日本人が作った文章じゃないからそうなったのよ。翻訳本に慣れた人なら苦にならないかも知れないけど、普通の日本人じゃ大抵の人は読みづらいだろうね。

確か今の憲法はGHQが作ったんでしょう。

そうなのよ。いくら戦後のドサクサの中で作ったといっても憲法でしょ。GHQが作ったとしても、どうして日本語に精通した国学者なりがちゃんとした日本語に直さなかったのよ。内容の問題は後で考えるとしても、日本の憲法なんだからせめてもっと美しい日本語で作って欲しかったよ。とくにこの前文は良くないね。せめて前文だけでも、ちゃんとした日本語で作ってもらいたかった。そう思うでしょ。

思いますよ。「和を以て貴しとなす。」とかね。日本には聖徳太子が始めて17条の憲法を作った伝統もあるんですからね。それに俳句とか短歌とかが発達した美しい日本語を日常に使う国なんですからね。確かに憲法ももっと美しい日本語でもっと簡潔に作ってもらいたかったですね。

この始めの文章の主旨は「主権が国民に存する」ということだから、「日本国民は主権が国民に存することを自覚し、この憲法を定める。」としたらどうなのよ。後のゴシャゴシャした飾りはいらないよ。その方がすっきりして気持ちいいでしょ。

そうですね。その方が簡潔でいいですよ。その次はどうでしたっけ?

「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」

ここの文も長いし、理屈っぽいのよね。要するに国政は国民のためにあって、憲法も国民のためにあるよってことだから、こうしたらいいんじゃない。「国民に選ばれた代表者は憲法のもとに国民に奉仕する。」というのはどうだろう。

簡潔ですね。よっぽど、だらだら長い文章よりいいですね。この「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」というのは、どうして持ってきたんでしょうね。

それは、あの戦争が天皇の命令つまり詔勅によって始められたんだということを言ってるんだよ。そして今後はそんなことがないようにしようということなのさ。

中々疑い深い内容になっているんですね。始めの方にあった「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」という部分もそうですね。日本政府が悪かったという意味なんですね。何だか、日本憲法っていうのは、理屈と言い訳みたいなもので成り立っているんですね。この辺が日本人に馴染めない根拠なんですね。成程、やっぱり姐さんの言う通り、おかしいですよね。

そうでしょ。おかしいのよ。じゃあ、今日はここまでにして今度その次を読んでみようか。

解りました。よろしくお願いします。

次ページ:諸国民の公正と信義

 


姐さんの憲法論(1)~目から鱗が落ちる~

2020-09-21 | 姐さんの憲法論

姐さん、お久しぶりです。お元気でしたか。

あらまあ、久しぶり。私は相変わらず元気だったけど、あんたも元気そうね。

ところで、遂に安倍政権が終わってしまいましたね。姐さんは安倍さんに憲法改正をやってもらいたいと言ってましたね。そこは残念だったんじゃないですか。

そうね、残念だったよ。だけど、任期はあと一年しかなかったし、そこへコロナでしょ。時間的に無理だとは思っていたけどね。

憲法改正は安倍さんが出来なかったんだから、もう当分は誰も出来ないでしょうね。自衛隊の憲法への明記くらいやってもらいたかったなあ。いつまでこのまま放置しておくつもりなんでしょうかね。日本人って、憲法とか、法律とかそういうのに無関心なんですよね。実は僕もそんなに関心はないんですけどね。そもそも憲法なんて読んだこともないですよ。姐さんはずっと前から憲法改正と言ってましたっけ?

そう言われると恥ずかしいんだけど、憲法を読んでみたのは最近なのよ。それも、ほんの少しだけなのよ。でもね、少しでも読んで見ると解るんだけど、あれは絶対おかしいよ。あんたもね、一回読んで見たらいいよ。そもそもね、何を言ってるのか解らないのよ。文章がだらだら長すぎて、途中でやになっちゃうのよ。

そんな解りにくい憲法じゃ読む気になれませんね。もっと解りやすいものじゃなければ駄目ですよね。

そうなのよ。憲法ってそもそも何なのよ。日本という国の国民が誰でも知らなきゃいけないものでしょ。日本が目指す方向を示すものでしょ。日本人としての精神的な規範を示すものでしょ。それが憲法じゃないの。その憲法を殆どの人が読んだこともないって、それがおかしいじゃないのさ。私も読んだのは最近なんだから偉そうなことは言えないけどさ。でもそれだけ国民に親しまれていないってことでしょ。それじゃあ、護憲も改憲もないんじゃない。

言われて見ればそうですね。読んだこともないのに、憲法改正だとか、いやこれは平和憲法なんだから変えちゃいけないなんて誰も言えませんよね。おかしいですよね。

そういうことよ。憲法というと、9条ばっかり問題になるけど、他はどうなっているのか誰も言わないじゃないの。そもそも、誰も読んでないんだから、言いようがないよね。私もそうだったんだけど、実は昨年の今頃だけど、日本憲法に関係する一冊の本を読んだのよ。それで、がぜん目が覚めたというか、目から鱗が落ちたというか、そんなことがあったのよ。

へえ、姐さんの目から鱗が落ちたというのはどんな本何ですか?是非教えてくださいよ。

そう、興味ある。この本よ。「あるユダヤ人の懺悔、日本人に謝りたい」というのよ。この著者はね、モルデカイ・モーゼという人でユダヤ人なの。日本の敗戦後にGHQの一員として日本に来て、日本国憲法の作成に携わったグループの一人なんだよ。その後、彼は晩年をドイツで過ごすんだけど、何度も来ることになった日本が好きになってきたんだよね。戦後、日本という国が経済的には繁栄して行くんだけど、精神的な荒廃が目に余り落ちぶれていく様を見るにつれ、自分たちのしたことを深く後悔するようになるんだよ。

そうですか、そんな人がいたんだ。

そのモーゼさんと知り合ったドイツ在住のある日本人が頼み込んで一冊の本にしてもらうんだ。もう40年位前なんだけどね。ところが、その本が日本で出版されたんだけど、余り売れなかったらしいのよ。その出版社も倒産して、本も絶版になっちゃうんだよ。ところがね最近になって、ある人がこの本を発見して、「どうしても世に出さなければ」と決心して自費出版したのがこの本なのよ。

中々ドラマがありますね。ところで、どうして姐さんがこの本に出合ったのですか?

私は元ウクライナ大使の馬渕睦夫さんのファンでしょ。彼の「馬渕睦夫の一人がたり」は欠かさず聴いているのよ。その馬渕さんが番組の中で紹介してくれたのよ。早速、ネットで買ったんだよ。これが良かったんだ。今までモヤモヤして何だか納得出来なかったことが、すっきりと解って来たのよ。ちょっと、難しいところもあるんだけど、良く読めば理解できるんだね。解ってくると、恐ろしくなる位日本の憲法はゆがめられているというか、日本人が日本人でなくなるように作られているってことなのよ。

本当ですか?それは大変な問題じゃないですか。これは詳しく聞かなきゃいけないな。じゃあ、姐さんが解って来たことをゆっくりでいいですから話してくれませんか。

解ったわ。憲法はね、始めに前文というのがあるから、そこだけで良いから一度読んできてよ。前文に憲法の目的みたいなものが書いてあるから、ここを検討すると大体の憲法の趣旨というか、内容がある程度解ってくるからね。私が読んで目から鱗が落ちたモーゼさんの話を確認しながら、二人で憲法を考えて見ようじゃないの。

解りました。今度、前文を読んできますから、よろしくお願いします。

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