親分、スターリンと言えば、「大粛清」を語らねばいけませんよね。人類の歴史でもこれ程までに自分の国民を殺しまくった例は殆んどないんじゃないでしょうか?
そうだなあ。「文化大革命」で紅衛兵を使って、散々金持ち、文化人たちを殺させた毛沢東といい勝負だろうな。
文化大革命は又の機会に論ずることにして、今日はスターリンの大粛清を論じたいと思いますが、そもそもスターリンの粛清とは何時から何の目的で始まったんですか?
まあ、ロシア革命の延長線上だからなあ。反対派を殺害しながら、一党独裁を作り上げていったのがロシア革命なんだからな。それがレーニンが造ったソ連という国家だよ。
問題はレーニンが死んでからですよね。
セルゲイ・キーロフ(1886~1934)
そうだな、レーニンが死んだ後、実力も人気もあったキーロフをスターリンは部下に暗殺させるんだな。1934年のことだ。これがスターリンの大粛清の始まりと言われているんだ。当然、キーロフの親族や仲間たちはスターリンに恨みを持つよな。すると自分がいつ暗殺されるか解らないから関係のある者たちを次々と殺したんだ。
次々殺すって殺人罪じゃないですか?
一応、国家反逆罪とかの理由をつけて逮捕監禁した上で処刑するんだから、殺される方が犯罪者になるんだ。
実力者と言えば、トロッキーもいますよね。
トロッキー(1879~1940)
トロッキーはその前に国外追放されているんだ。彼はメキシコに逃げるんだが、工作員を派遣してトロッキーも暗殺するんだな。
トロッキーの支持者は多かったでしょうから、大変ですね。
そうだよ。何しろ1937年、1938年が大粛清のピークで1年で30万人以上が粛清されているんだ。殆んどが銃殺だったらしいよ。
スゴイ数ですね。いったい全部でどのくらい粛清したんですか?
即決裁判で有罪になっただけで、134万4923人だそうだ。約半分が処刑で半分が流刑だそうだ。流刑になれば、氷点下の中で強制労働だから、殆んどは死んでしまうよ。粛清のために「NKVD」(秘密警察の前身)という組織をつくり即決裁判の権利を持たせて、容赦なく殺していたんだな。酷いもんだな。
犠牲者の写真とポスター
こんなことをするからスターリンは悪魔とか地獄の大王とか言われるんですよね。ソ連の国民は大変だったんですね。今でもこの「大粛清」の記憶は世界中から消えていませんよね。どんな心境だったのかなあ。スターリンは?
猜疑心が極端に強かったようだな。自分がいつ殺されるか、心配で心配でいられなかったみたいだな。1941年にドイツ軍がいきなり攻めてきて、スターリンは狼狽して2週間も別荘に籠ったという話をしたよな。モロトフという側近が別荘に迎えにいったんだが、スターリンはてっきり逮捕されると思ったらしいよ。その位毎日びくびくしながら、生きていたんだろうな。
独裁者なんだか小心者なんだか、解りませんね。
そうだな。スターリンは戦後も10年位生き延びているんだが、最後まで粛清の癖は直らなかったと言うんだ。考えさせられるな。