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文化帝国主義を理解するための好材料としての<The Cove>

2010年06月05日 08時36分02秒 | 表現とメディアの話題


ドキュメンタリー映画The Coveにアカデミー賞が授与されて90日程、日本でもこの初夏には上映されるそうです。もちろん、現行憲法上、日本では表現の自由も営業の自由も保障されており、反日映画であろうが、人種差別主義的な映画であろうが法に抵触しない限りそれを上映することは自由でしょう。それに、日本の素晴らしい漁村の景色も紹介されていて、その面では懐かしささえこの映画には感じないではないですから。

而して、上映会に足を運んだ一人として、私はこの映画を「反・反捕鯨」の立場に立つ一人でも多くの同士の皆さんが鑑賞されることをお薦めします。蓋し、「文化帝国主義-ヨーロッパ中心主義」、すなわち、カルト的「人権論」や「地球と人類の共生の提案」なるものがいかなるものであるか、それらがいかに傲岸不遜なものであるかを、端的に理解できるだろうから。蓋し、The Coveは「文化帝国主義」を理解するためのまたとない材料である。と、そう思うからです。

以下、The Coveのアカデミー賞受賞を報じたロイターの記事。出典は、”With The Cove’Victorious at Oscars, Japanese Village Defends Itself”「The Coveのアカデミー賞受賞の現実を前にしても、自己弁護するThe Coveの舞台になった日本の村」(March 8, 2010)です。鯨を喰う権利を死守するために、すなわち、縄文以来の日本の文化伝統を保守するために、共に闘わん! 尚、捕鯨問題に関する私の基本的な考えについては記事末尾の拙稿をご一読いただければ大変嬉しいです。



б(≧◇≦)ノ ・・・鯨は鯨だけの問題に非ず、たかが鯨されど鯨。
б(≧◇≦)ノ ・・・鯨は、食糧安保・国家主権・日本の文化を、
б(≧◇≦)ノ ・・・日本人が自分で守れるかどうかの問題だぁー!







The day after “The Cove” won the Academy Award for best documentary, the Japanese fishing village in that film said its dolphin-hunting practices were legal, and that the movie was unfair to its fishermen.

“The Cove,” directed by Louie Psihoyos, uses surreptitiously gathered footage to document dolphin hunts in the village of Taiji, where about 2,000 such animals are killed for their meat each year with the permission of the government. The hunts are frequently targeted by environmental and animal activists who protest the drives, in which dolphins are herded near the shore with boats, and sometimes attempt to interfere with them. The film has been particularly controversial in Japan, where it has been threatened with legal action and only recently gained distribution to be shown there in April.


「The Cove」【本来なら「その(問題の)入江」と訳すべきだけれど、日本でも「Cove」で通っているので原字のままにした。但し、この場合定冠詞のtheは落すべきではない。意味が全く変わるから】がアカデミー賞を受賞した翌日、The Coveの舞台となった日本の漁村はイルカ漁は合法であり、The Coveはイルカ漁に携わっている漁民を一方的に貶めているという声明を発表した。

Louie Psihoyosがメガホンを取った「The Cove」は、太地町で行なわれているイルカ漁を記録に残すべく盗撮したフィルムを寄せ集めた作品である。太地町は日本政府の許可を得て【この箇所は変蜜に言えば「県知事の許可を得て」が正しいが原文テクストに従った。詳細は下記「囲み情報」参照】、食肉生産目的で、毎年、約2,000頭のイルカ類を捕殺している。このイルカ漁は、しばしば、環境活動家や動物愛護運動家の標的になっており、彼等【文化帝国主義者】は、小型漁船で岸にイルカを駆り立てる追い込みに抗議したり、時には、追い込みを妨害したりしている。The Coveは日本で論争の嵐を巻き起こしている。実際、この映画に対しては法的措置も辞さないという圧力が加えられており、やっと最近、4月に日本国内での上映が決まったくらいなのだから。

◎小型捕鯨-イルカ類狩猟許可の仕組み
所謂「イルカ」を対象に含む小型捕鯨には、①農林水産大臣の許可を得て行なう(狭義の)「小型捕鯨業】と、水産庁が決めた狩猟頭数の大枠に従い道県知事から許可を得て行なう「いるか漁業」があります。

広義の小型捕鯨(both with農林水産大臣の許可 and with道県知事の許可)の狩猟対象となっているイルカは、「脳死状態団-IWC」の管理権限外の(絶滅の恐れが今のとことほとんどない)鯨類に限られます。尚、「脳死状態団-IWC」の管理権限内の鯨類でも偶然網にかかった場合は、「混獲」と呼ばれ、この場合には個体毎のDNAを採取保管する等の手続さえ踏めば合法的にその鯨肉を販売できます。

ウマウマ(^◇^)

さて、農林水産大臣から許可を得る「小型捕鯨漁」は、48トン未満の船で「捕鯨砲」で狩猟する方法。5箇所(北海道網走、北海道函館、宮城県鮎川、千葉県和田、和歌山県太地)に許可が与えられている。対象魚種はハナゴンドウ、コビレゴンドウ、ツチクジラです。ちなみに、動物学上は、イルカは鯨です。また、

б(≧◇≦)ノ ・・・鯨は魚ではありませんよぉー!
б(≧◇≦)ノ ・・・鯨は美味しい哺乳類でーす!

道県知事許可の対象の「いるか漁業」は、突きん棒猟 (北海道、青森県、岩手県、宮城県、千葉県、和歌山県、沖縄県)と追込み猟(和歌山県太地町、静岡県富戸)。また、対象魚種は、バンドウイルカ、イシイルカマダライルカ、スジイルカ、ハナゴンドウ、コビレゴンドウ、オキゴンドウ、シワハイルカ等です。而して、The Coveが盗撮したイルカ漁は「和歌山県知事の許可」を受け法令に従った正当なものなのです。
   
 



In a statement reported by The Associated Press, the office of the mayor of Taiji defended the village’s practices and said “The Cove” contained statements that were not based on science. “There are different food traditions within Japan and around the world,” the statement said. “It is important to respect and understand regional food cultures, which are based on traditions with long histories.”

Hisato Ryono, a local councilman who appears in “The Cove,” told The A.P.: “This is a close-knit group of fishermen. The more they feel squeezed, the more they will close off to outsiders. They won’t stop this hunt because of such pressure.”

Backstage at the Oscars after receiving his award, Mr. Psihoyos said he hoped “the Japanese people will see this film and decide themselves whether animals should be used for meat and for entertainment.”


AP電によれば、太地町の町長室は、太地のイルカ漁を擁護して、The Coveには科学的に根拠のない主張が含まれているという談話を発表した。而して、「日本には日本の、他の国にはその国なりの食の伝統があるのです」「その地域にはその地域の食文化があることを理解し尊重することが重要なのではありますまいか。長い歴史の中で形成された伝統に食の文化も基盤を置いているのですから」とも。

「The Cove」にも登場する【かって、太地町のスーパーで売っているイルカ肉には有害な水銀が含まれていると騒ぎ立てたが、結局、国の許容値を超える水銀の検出は後にも先にも彼等が騒ぎ立てた検体からしか検出されず、顰蹙を被った】太地町会議員の漁野尚登氏は、AP通信に対して「この町は漁民が緊密に連帯している。圧力が強まっていると彼が感じれば感じるほど、彼等はよけいに結束を固めよそ者に対して戸を固く閉めるでしょう。而して、The Coveが世界で煽り立てている圧力などでは、彼等がイルカ漁を止めることはないでしょうね」と語ったとのことだ。

アカデミー賞授賞式の楽屋裏で、オスカーを受け取った直後、監督のPsihoyos氏は、「この作品を見た日本人が、イルカはその肉を取るためや人間の慰みのために利用されるべきかどうかを自分で判断することになるのではないでしょうか」と述べた。
 




■捕鯨問題に関する参考記事


・鯨と日本の再生
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-306.html

・反捕鯨論の文化帝国主義的で傲慢な謬論を逐条撃破する
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-313.html

・書評☆星川淳GPJ事務局長『日本人はなぜ世界で一番クジラを殺すのか』
 http://kabu2kaiba.blog119.fc2.com/blog-entry-318.html







連帯を求めて孤立を恐れず、力及ばずして倒れることを辞さないが、
力尽くさずして挫けることを拒否する。共に闘わん!





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