はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ピンコピンコ

2022-02-08 18:22:21 | はがき随筆
 小さい頃の写真を見ると、あか抜けないくせ毛でピンコピンコ頭の私(今もだが)。美容院や理容店、母に切ってもらった記憶はない。どうしていたんだろう。年ごろになり髪を気にするようになった時、近くの美容院で切るようになった。
 今思うとすごい技術の持ち主だったのだろう。ピンコピンコはなくなり、友達がまねするまでになった。
 あれから50年近く。店が閉店することになり、またまたピンコピンコ頭に。近ごろは芸能人にも見掛ける。私はひょっとして先駆者?でもストレートな髪に憧れがある。
 鹿児島県阿久根市 的場豊子(75) 2022.1.8 毎日新聞鹿児島版掲載

健康診断

2022-02-08 18:16:33 | はがき随筆
 毎年1回の健康診断の結果が出ました。
 血液検査では、少し正常値をオーバーしている項目もありましたが、医師からはこれという指摘はありませんでした。
 毎年少しずつ数値は変化していますが、酒の量を減らしたせいか、ほとんどが正常値に近づいてきています。
 その他の数値では、身長が約1㌢縮んでいて、人間が少し小さくなっていました。体重はやや増えていて、ここに伸びしろがあると思いました。さらに腹囲が2㌢大きくなっていて、人間に幅が出ているのが分り大変安心しました。
 宮崎県日南市 宮田隆雄(70) 2022.1.8 毎日新聞鹿児島版掲載


夢のまた夢

2022-02-08 18:10:06 | はがき随筆
 「お母さんは無邪気でいいね」。師走のある日、娘に言われて、ちょっと複雑。親しい方との別れの時は声を出して泣きじゃくり、親切を受けると、とびっきりの喜びを感じる。
 それでも世帯主としてのいろいろな心配事や苦しみも抱えている。苦しみが強いときほど歌を口ずさむ。苦労の多かった母の口癖だった。「泣くよりか歌おうよ」が身に染みている。
 赤いサンダルや娘のお下がりの赤いセーターを着るとルンルンになる。白髪のまとめ髪に合いそうなサンゴの髪留めがほしいのだけれど、これは夢のまた夢。5月には90歳。
 熊本市東区 黒田あや子(89) 2020.1.8 毎日新聞鹿児島版掲載

バスに乗れない

2022-02-08 18:03:07 | はがき随筆
 まねごとのような大掃除、正月準備をして新年を迎えた。年の初めはすがすがしい。昨秋から体調を崩して食も進まない日もあって、体力が落ちた。12月、久しぶりにバスに乗ろうとしたらステップをまたげずにひざまずいてしまった。手すりにつかまってようやく立ち上がれたが、こんなにも筋力が落ちていたとは。がっくりして落ち込みそうになる寸前、自分を鼓舞して5000歩ほど歩いてみた。足取りが軽くなってきたのを実感できたので帰りのバスに乗ったら足が上がった。ホッ。回復したいと強い信念を持ち続けて努力することが一番大切。
 鹿児島市 馬渡浩子(74) 2022.1.8 毎日新聞鹿児島版掲載

三合目

2022-02-08 17:55:46 | はがき随筆
 「食べるために生きるのか? 生きるために食べるのか?」なんて難しいことは考えずに食べることは楽しい。料理することは、より楽しい。更に料理を食べてもらい、おいしいと言われると、もっと楽しくうれしい。
 手に入れた旬の食材をどう料理するか考える。出来上がった料理をそれなりに飾りつけて食べる。毎日が日曜となった現在、たっぷり時間をかけて……。
 ところが料理で生じる洗い物の不始末は家人とのトラブルの元。「洗い物出来てようやく三合目」と書いてある料理本があった。早くこの三合目をクリアすることが大事なようだ。
 宮崎県延岡市 太田充(68) 2022.1.8 毎日新聞鹿児島版掲載


ありがたい施設

2022-02-08 17:47:52 | はがき随筆
 毎週月・金曜日に介護老人保健施設に通所している。約70人の男女が利用しているが、杖や車椅子、または立って車を押している人が多い。
 椅子に掛けての体操が終わると、私はベッドに寝て全身の、さらに椅子に掛けて足裏のマッサージ。自転車のペダル踏みや手足を鍛える器具を次々と利用している。
 昼食後にカラオケが始まる。20人ほどの愛好家が演歌や歌謡曲を1人で1曲ずつ熱唱する。私はこの時間を楽しみにしている。
 老体の健康を保持するには、ありがたい施設である。
 熊本市東区 竹本伸二(93) 2022.1.8 毎日新聞鹿児島版掲載

私のトマト

2022-02-08 17:39:20 | はがき随筆
 夏に食べたミニトマトがすごくおいしかったので、種を数粒、水に浸してみた。しばらくして鉢に移したら芽が出てきた。茎が伸び70~80㌢の高さになったところで、小さな小さな黄色い花が咲いたのが11月。
 私は植物を枯らす名人で、友人が「あなたでも絶対に育てられる」と保証してくれた多肉植物を1年たたず枯らした腕前である。自分で種から咲かせるなんて空前絶後と言える。
 つい最近、花の付け根に直径8㍉ほどの緑色の球を見つけた。さて、トマトとして食べられる日が来るのか。まだ半信半疑だが、ちょっと楽しみ。
 鹿児島市 種子田真理(69) 2022/1/7 毎日新聞鹿児島版掲載