「漆芸名品展」のご紹介。
東京都世田谷区の「静嘉堂文庫美術館」にて。
二子玉川駅から、バス。
入口の門から、少し坂を上がって到着。
漆の文様は、光の加減で、見えた見えなかったりします。
そこが趣があり、面白い所です。
金や貝の光具合も随分違います。
この美術館の照明は、そのあたりをよく踏まえた照明でした。
蛍光灯(今はLED)の下で、なんでもくっきり・はっきり見えてしまう
今の生活に慣れてしまっていると、漆の金・貝の文様がはっきり見えないことに、
物足りなさを感じる人が多いようです。
しかし、薄暗がりの中、光が当たった時の金・貝の輝き・美しさには、
非常に感動します。
漆の黒も本来は、ぼんやりした明かりの下で扱うことにより、漆黒の美しさを感じます。
昔の人は、はっきり見えなかったものに、行燈の光が当たった時の美しさを楽しんでいたのです。
谷崎純一郎の「陰翳礼讃」です。
展示会場の奥に、一木造り・拭き漆の椅子があり、そこに腰かけてみると、
それまで上目線から見ていた作品を、横目線から見ることができます。
貝の輝きが違う感じに見えたり、胴の部分の文様がよく見えたり、
違う見え方が楽しめます。
発達が気になるお子さんと接するとき、
うまくいかない場合、
ほんの少し見方を変えてみると、
違う面が見えてくるのかな・・、など思いました。
まだ光が当たらず、こちらが見えていない面もあるのかもしれない・・、
とも思いました。
工芸は、特別な世界のものではなく、
人が生きていく道の考え方の参考にもなるものです。
発達が気になるお子さんの学校・工芸技能学院 (中等部・高等部・専門校)