ちゅうげんの1000日++

鹿児島で働くサラリーマンのあたふた日次記。2014年10月、ブログ人からgooブログにお引っ越し。

文化人官兵衛

2014年02月28日 | 本と雑誌

【最近読んだ本から】
 諏訪勝則『黒田官兵衛』(2013.11 中公新書)
今年の大河ドラマの主人公ということで、黒田官兵衛関係の本がたくさん出ていますが、とりあえず1冊。戦上手であり交渉役として方面軍司令官として秀吉に重用された名幕僚ではあったが、いわゆる「軍師」ではなかったこと、そして当代屈指の文化人であったことを強調している点で、一般的な官兵衛本と異なっています。キリシタンであったことを説明する上ではこういうスタンスがすっきりするのは確かで納得いくものですが、文化人として細川幽斎と並べるのはさすがにやりすぎではなかろうかと。

ちなみに本題とは関係ありませんが、著者は陸上自衛隊高等工科学校教官ということで、陸自の関係者なわけですが、一般教育として普通高校の主要科目の授業もあるようですので、普通の高校の社会科教員とお仕事は変わらないのでしょう(あとがきに「フルタイムの教員」と書かれていますし)。


南岸低気圧

2014年02月15日 | 日記・エッセイ・コラム

首都の大雪は夜明けまでに止んだものの、羽田空港では朝から積雪除去に重機が大忙しだそうで、羽田行きの飛行機は時間を追って「天候不良」「機材繰り」「到着地管制混雑」などの理由がついて欠航・遅延が続出。航空会社によって、早々に機材繰りを諦めるところ、粘った末に土壇場で大幅な遅延表示を出すところなど様々でしたが、結局羽田空港は午後から動き出すも上り便は(JALの早朝便が粘りに粘って午後早めに動いた以外は)夕方からの動きとなりました。心身共に消耗した方も多かったことでしょう。

これでも週末上京するのはもはや意地だけ。まだまだ雪の残る新宿で焼鳥を食べて、しばし生頼範義展の図録を眺めて、ぐっすり。


奇跡を体感する旅

2014年02月09日 | アート・文化

ひとり車で宮崎市へ。ここ数日の雨模様がうそのような晴れ上がりで、風は冷たい日差しは暖かい。

みやざきアートセンターで昨日から開催の生頼範義(注:「頼」は実際は旁が「刀」の下に「貝」を書く旧字体。)展へ行ってまいりました。ゴジラやスターウォーズのポスターで有名なイラストレーター・画家さんですが、私には1990年代前半の光栄の歴史シミュレーションゲームの表紙絵の作者として認識されております。本日は加藤直之さん(こちらも銀河英雄伝説をはじめSF作品の挿絵で知られるイラストレーター)のギャラリートークがあるということで、午前午後2回のうち午後の回に参加。15分前に受付を済ませると、そこには既にギャラリートーク待ちの行列が。見た目自分より上が多いようです。

ギャラリートークは加藤さんが(多少はビデオカメラが回っているのを意識しつつも)いかにも好き勝手に喋ってくださいました。ゴジラはあまり好きではないとか萌えは嫌いとか宮崎のサイクリングコースがどうとか自分の話に走っては戻りでしたが、何枚かスケッチブックも駆使して約80分(元々の予定は60分)、同時代を生きる同業者としての生頼氏への畏敬の念が素人にも感じられる解説でした。関係者の方も複数参加されていたようで、贅沢贅沢。
そんなトークを聴きながら展示作品をじっくり見るのは無理な話で、皆さんが加藤氏のサイン待ち行列に並ぶ中、再度入口まで逆流して一人で見直し。常識外れなのに描かれると納得させられる構図、描こうと考えたら気が遠くなる立体感、細部まで及ぶ精緻な描き込み。こう並べて書くとありきたりですが、結果として現れる作品の迫力には、絵画にほとんど興味のない私でも圧倒されます。ただただすごい作品群です。これが自分と同時代に宮崎で描かれたという実感がわきません。
結局2時間半滞在したところで帰りの時間の不安に気付いて退散。図録を2冊買って、これは東京組へのお土産。
それにしても、ギャラリートーク終了1時間後も図録にサインとイラストを描き続けていた加藤氏には頭が下がりました。

帰りは薄暮の渋滞に眠気を感じることもありつつなんとか帰宅。どっと疲れが出てごろごろしていると、しばらくして都知事選の結果が出て、あぁ今日はそんな日でしたねと。


夢見た後で

2014年02月02日 | 本と雑誌

【最近読んだ本から】
 日本再建イニシアティブ『民主党政権 失敗の検証』(中公新書、2013.9)
 「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」で知られるシンクタンクによる、民主党政権の検証報告。評価の妥当性としてはかなりのものと思って良いと思われます。小沢一郎の功罪について先入観のない評価に努めていることはわかるが、その結果確かな評価をしきれていないのは、それだけ難しいということか。
新政権にとって厳しい現実があり、それを国民に納得させられるだけの立ち回りを民主党はできなかったわけですが、第二次安倍政権が参院選でねじれ国会を解消するまでは安全運転に徹した老獪さを求めるのは無理としても、それに準ずる程度の政権運営能力を身につけた野党が必要、というのは結構厳しい注文か。国民の側にも政治を育てるためにある程度の忍耐が求められるのでしょう・・・無理っぽいですが。

地方から見るとかつての自民党一党優位性に戻ったような錯覚さえ覚える昨今ですが、大きな目で見れば自民党と五分に戦える都市政党が必要である半面、地方の住民からするとそれは厳しい未来を示すもので素直に喜べないところでもあります。地方や公共団体に関わる者にとって無条件に恵まれた未来を望むのは無理だと理屈では頷かざるをえないのですが・・・


水煙の向こうに

2014年02月01日 | 映画

【最近見た映画から】
 「ラッシュ/プライドと友情」(ロン・ハワード監督、2013)
映画千円の日ということで、先行上映をミッテ10で観賞。観客は十数名といったところ。
映画の内容は1976年のF1世界選手権を主な舞台としてジェームズ・ハントとニキ・ラウダのライバル関係を描くもの。互いに毛嫌いしていた2人が尊敬し高め合う関係に至るという筋書きで、普通なら興味の湧かないものですが、主演2人の風変わりなキャラも起こる劇的な事件の数々もある程度事実なのが恐ろしい。そういう素材なのでPG-12はやむを得ないところ。今は亡きハントのプレイボーイぶりは当時のF1ドライバーの中でも極端ですし、今もメルセデスAMGの関係者としてF1界にいるラウダも映画で描かれているほどの堅物ではなく元々ハントと険悪ではなかった、などと重箱の隅をいじるのは野暮というものでしょう。
まぁそんな人間ドラマというだけなら何も映画館に行かなくても良いんですが、F1マシンや各レースの様子の描き方が、話の本筋ではないので明らかに脇役扱いなのに非常に凝っています。1975年~76年には大きな技術規定変更があってマシンが大きく変わっている上、1976年にはティレルが6輪車を走らせており、細かいところに見所満載です。最終戦で出てくる日本人スタッフや日本語実況を誰がやっているのか、エンドロール(仕方ないけどやたら長い!)を追ったのに確認できず、自分の英語力に頭を抱えました。

あの音と映像を細かく見に再度映画館に行きたいと思います。