発酵学の研究だけでなく、食に対する飽くなき探究心を持ち
世界中を食べ歩く小泉武夫先生の「不味い!」を読みました
この本はフツウの食べ歩き本の常識を覆し、
小泉さんがこれまでに食べた不味いものをひたすら紹介する本
一面ニンニクが振り掛けられ、ニンニクの味しかしなかったカツオ丼
口に入れた途端、泥臭さが広がるヒラメの刺身
スーパーで買ったグルタミン酸たっぷりのお惣菜
このように我々も日常、目にするものから
東北でわざわざ作ってもらったカラスのロウソク焼き
中国で飲んだヘビ酒
世界で一番くさいと評判の「地獄の缶詰め」シュール・ストレミング
一生お目にかからない、かかりたくもないものまで
小泉先生の軽妙かつ緻密な文章を通じ
家にいながら世界中の不味い!が体験できます
とはいえこの本の目的は、単なる不味いの紹介にとどまらない
小泉先生は、なぜその料理が不味いのか?を、キチンと考察・解明し不味いの対極にある
「美味しい」とは何かを我々に提示してくれます
美味しいものをきちんと考察する人はいても、
不味いものについてワザワザ考えてくれた人はいません
その点でとても稀有な本であり
小泉先生の食に対する真摯な姿勢が伝わってきます
ちなみに私がこの本の中でとても共感したのは
「ホテルの朝食に出てくる蒸した鮭」
これはね~、とっても不味いし許せない
こんなのだったら、メザシ一本の方がよっぽどイイって気がします
あとはモンゴルで食べた「血の腸詰」
これはねぇ、どうしてもムリでした
口に運ぶ瞬間に体が拒否するの
「これは食べちゃダメだ~~~」って
もちろんこれを食べる文化もあるので不味いって言っちゃいないんだろうけど、
私には合いませんでした