本書は共同通信社に勤める著者が、
自民党の派閥政治の終焉と、自民党政治そのものの変容を論じる著作です。
【構成】
1,2章ではそれぞれ雪崩を打つように大勢が決した
2006年、2007年の自民党総裁選挙について概観。
3章では、80年代にピークを迎えて自民党の派閥政治が
90年代以降、どの様に変化したのかを論じる。
4章では、小選挙区制導入以降に国会議員となった人々の動向を見ながら
近年の総裁選挙の特徴を指摘。
5章では、世論調査重視による弊害を述べた上で、
6章では、こうした現状で政党や国会議員がとるべき姿勢について論じる。
【主張】
かつては派閥の論理で決められた自民党総裁も
小選挙区制度下では、選挙での「集票力」が重視されるようになり、
現在では、世論調査の結果が総裁選に大きな影響を与える。
これには評価できる点もあるが、その一方で政権運営能力の欠如や
政治が世論調査に振り回されることになりかねない。
こうした小選挙区制度の下で、与党であろうとするのであれば
不透明な妥協や調和に頼るのではなく、
世論を尊重しながら、公約を実行し続けるしかない。
【感想】
菅(義偉)さんが好きなんだぁ~という感想は誰もが抱くでしょうが
それはさておき
詳細な議論や分析を示すのではなく
新聞の記事を詳しくしたような内容なので
予備知識なしに、気軽にサラッと読むことができますが、
政治記者として、政治家に身近で接した経験と
分析に対する真摯な姿勢が垣間見え
政界ウラ話的な、軽薄さは感じられません。
また、世論調査を国会議員が重視するようになったことを
透明性の観点からは評価しつつも
代議制をとっていること(←厳密には、議員が「委任的代表」ではないこと)
の観点から危惧を呈する点には
視野の広さをを感じ、好感を持ちました。
ただ、総裁選には国会議員だけでなく、
地方党員の票が重要な役割を果たしていること
そして、2001年以降、地方票も「雪崩」を起こしていることなどを考えると
小選挙区制度の導入とそれによる派閥の影響力の低下だけで
世論調査が総裁選の結果に影響を与えることを説明しきれるのか
疑問が残りました。
なお、筆者は
80年代以降は(中略)「純血自民」が総裁候補の条件となっていた。
それどころか、所属派閥の一貫性さえ重視されていた。
―と述べているのですが、このきっ術は
河野洋平さん(一時離党後、総裁に出馬。二期総裁を務める)
石原慎太郎さん(一時離党後に、総裁選に出馬)
などを看過した誤解であるように思います。
自民党の派閥政治の終焉と、自民党政治そのものの変容を論じる著作です。
【構成】
1,2章ではそれぞれ雪崩を打つように大勢が決した
2006年、2007年の自民党総裁選挙について概観。
3章では、80年代にピークを迎えて自民党の派閥政治が
90年代以降、どの様に変化したのかを論じる。
4章では、小選挙区制導入以降に国会議員となった人々の動向を見ながら
近年の総裁選挙の特徴を指摘。
5章では、世論調査重視による弊害を述べた上で、
6章では、こうした現状で政党や国会議員がとるべき姿勢について論じる。
【主張】
かつては派閥の論理で決められた自民党総裁も
小選挙区制度下では、選挙での「集票力」が重視されるようになり、
現在では、世論調査の結果が総裁選に大きな影響を与える。
これには評価できる点もあるが、その一方で政権運営能力の欠如や
政治が世論調査に振り回されることになりかねない。
こうした小選挙区制度の下で、与党であろうとするのであれば
不透明な妥協や調和に頼るのではなく、
世論を尊重しながら、公約を実行し続けるしかない。
【感想】
菅(義偉)さんが好きなんだぁ~という感想は誰もが抱くでしょうが
それはさておき
詳細な議論や分析を示すのではなく
新聞の記事を詳しくしたような内容なので
予備知識なしに、気軽にサラッと読むことができますが、
政治記者として、政治家に身近で接した経験と
分析に対する真摯な姿勢が垣間見え
政界ウラ話的な、軽薄さは感じられません。
また、世論調査を国会議員が重視するようになったことを
透明性の観点からは評価しつつも
代議制をとっていること(←厳密には、議員が「委任的代表」ではないこと)
の観点から危惧を呈する点には
視野の広さをを感じ、好感を持ちました。
ただ、総裁選には国会議員だけでなく、
地方党員の票が重要な役割を果たしていること
そして、2001年以降、地方票も「雪崩」を起こしていることなどを考えると
小選挙区制度の導入とそれによる派閥の影響力の低下だけで
世論調査が総裁選の結果に影響を与えることを説明しきれるのか
疑問が残りました。
なお、筆者は
80年代以降は(中略)「純血自民」が総裁候補の条件となっていた。
それどころか、所属派閥の一貫性さえ重視されていた。
―と述べているのですが、このきっ術は
河野洋平さん(一時離党後、総裁に出馬。二期総裁を務める)
石原慎太郎さん(一時離党後に、総裁選に出馬)
などを看過した誤解であるように思います。