◇juri+cari◇

ネットで調べて、近所の本屋さんで買おう!!

(文)小風さちさん (絵)山口マオさん『わにわにのおふろ』

2008-12-20 23:24:50 | 絵本!!
爬虫類というと、無表情で

かわいげのない印象をうけますが


山口マオさんが描くワニ(わにわに)は、とても表情豊かで

愛らしい存在です


おでかけや、お料理

毎回いろんなことにチャレンジするわにわに

この絵本『わにわにのおふろ』ではお風呂に入ります



―って、幼児向きの絵本なので、ストーリーはそれだけ

お風呂に入るってだけ



でも本書の魅力は、ストーリーじゃないんです


まずは独特のゆる~い味わいのある絵。


せっけんの泡を飛ばしている時の表情や

お風呂上りにジュースを飲んでいる表情、

そして、お風呂に飛び込んだ瞬間の爽快感が伝わってくる水しぶき


キッチリ書き込まない絵柄であるがゆえに

子どもの心に、スッと入り込みます


また、なんといっても毎ページ登場する擬音語がステキ


お風呂におもちゃを浮かべたときの


ぽくん ぽくん ぷくん


お風呂に飛び込んだときの


じょろろーん


そして、シャワーをあびながら歌うときの


うり うり うり うり

オーイェー


黙読しただけではわからなくても

一度、声に出してみるとそのリズム、語感のよさのとりこに


ですから、音読する時には、本当に工夫しがいがありますし

聞いてるお子さまも、わくわくしっぱなしでしょう


また、文章もすべてひらがなで、サイズも大きいので

ご両親が楽しそうに、この本を読み聞かせることができたなら

お子さまも一人で読みたくなること間違いなし 


もちろん、お風呂に入りたくない子にだって

お風呂の魅力が伝わると思いますよ


うり うり イェー

レイモンド・ブリッグズ『さむがりやのサンタ』

2008-12-19 23:55:48 | 絵本!!
近日、絵本を色々と読んでいますが

意外と、サンタクロースやクリスマスに関するおもしろい絵本を見つけられてない

(←努力不足が理由の大半


―というのが、正直な感想


しかし、この『さむがりやのサンタ』は間違いなくおもしろいと感じる絵本


作者レイモンド・ブリッグズは『スノーマン』の作者としても知られています。







主人公のサンタクロースはさむがりで、少し偏屈な性格

だから、天気予報が雪だと

なんてこったい。いやなゆきだよまったく

―と不機嫌になるし


子どもがサンタ用にジュースを置いておいてくれても


ふん なんだジュースかい


―とつれない態度


でも、憎まれ口の合間に見える穏やかな表情からは

心根の優しさが感じとれる、とても愛すべきキャラクター


この絵本は、そんなサンタが12月24日の朝に起きて、

準備をし、世界中にプレゼントを配り、家に戻って来る


その一日を描いたもの。


いつも笑顔のサンタクロースもとてもステキですが

こちらのサンタクロースは、まるで親戚のオジサンのように、より身近に感じられる存在

続編である『サンタのなつやすみ』と併せて、とてもオススメの絵本







文章はすべてひらがなで、挿絵も見ているだけで楽しくなる絵なので

年長さんくらいであれば、最初から一人で読んでもらうのもいいかもしれません

ユリア・ヴォリ『ぶた』

2008-12-19 23:12:40 | 絵本!!
…うっ

この本はオススメしにくいな


↑の絵に一目ぼれした方には間違いなし



バーチャルリアリティで、タンドリーチキンを体験


「現代音楽でくつろぐ」


で、クスときた方


ブタに真珠は似合わない

で、ちょっと深いかもって思えた方にも

とりあえずオススメ


……でも、それ以外の方には?



ユリア・ヴォリの『ぶた』は、ムーミンと同じフィンランド発の絵本


主人公は少々悩みやすい性格のぶたです


ある日できごと―


疲れ切ったぶたは、


こんなときはセラピーがいい!!!


そう考えてセラピーグッズを買いに行った。

すると、おまけで「きのこセラピーガイド」をもらったので

おいしそうなきのこを買って

ガイドに書いてある「きのこセラピー」を実践することに


本に書いてあるとおり

きのこをまっすぐに並べ、光をあて、上から見つめたけれど………

気分は、さっぱりよくならない


不思議に思って、本をよく見ると・・・


きのこの種類が違っていた


しょうがないから、きのこスープを作って食べてみたところ


パワーがちょっと回復した



―こんな類いの話が、1ページに1話ずつ短い文章と独特の絵で描かれた

完全に大人向けの絵本です


個人的には、ちょっと乗り切れない部分もあるのですが


バーチャルリアリティでタンドリーチキンを体験


とか、なにげないセリフや挿絵がツボに大当たりしているのも事実

チラッと読んで、よくわからない………と感じた方も、

ぜひ1度は通読されることをオススメします



なお、『ぶた』はシリーズ化して続編がいくつかあり

そのうち

『ぶた いろいろなきもち』



『ぶた すきなこといろいろ』



『ぶた いろいろないろ』



は―毒気のない―子ども向けの内容になっています

C.W.オールズバーグ『急行「北極号」』

2008-12-18 00:02:37 | 絵本!!
北海道などでは、冬になるとバスやトラックのタイヤに滑り止めのチェーンを巻きます。

タイヤにチェーンをまいた車が、冷たく凍った冬道を走ると


シャンシャンシャン

という音がするのですが


小さいころ、冬になると聞こえるその音を

私はサンタクロースのソリについた鈴の音だと思っていました



『ジュマンジ』等で知られる

アメリカの人気絵本作家、オールズバーグの絵本『急行「北極号」』は、

そのサンタクロースの鈴が重要な役割を果たす絵本です




「サンタクロースなんて、どこにもいないんだよ」


友人にそう言われた主人公の少年

でも、彼はサンタの存在を疑わなかった


するとその夜、少年の家の前に

音もなく機関車『北極号』が止まった

行き先は、もちろん北極点


少年は、迷わず乗り込んだ


子どもでいっぱいの車内、

少年も歌を歌ったり、お菓子を食べたり

ココアを飲んだりすごした


オオカミのいる森をすぎ、ものすごい高さの山を越え、

北極の大氷原を通って列車は北極点にたどり着いた―



子どもだらけで

お菓子食べ放題、ココア飲み放題の列車

サンタ・クロースが配るおもちゃを作る工場

そして、クリスマス第1号のプレゼント



サンタを信じる少年に訪れた夢のような一夜を

美しい絵と村上春樹さんによる名訳で味わうことのできるステキな絵本



字も小さめで、漢字も使われているので

大人のための絵本・・・などと評されることもありますが


やはり、絵本は子どもに読まれてこそのもの


クリスマスが近づくこの季節に、

ぜひ、何回かに分けて読み聞かせてあげてください



そして、その子が夜にカーテンを開けて外を見ていたら

本当に素敵なことだと思います


きっと、その子にも鈴の音が聞こえているはずです

アイリーン・ブラウン『ハンダのびっくりプレゼント』

2008-12-17 19:05:30 | 絵本!!
ケニアを舞台にした、優しさと驚きにあふれた絵本


アフリカに住む少女ハンダは

友達のアケヨにあげる果物を選びます

選んだくだものを入れたカゴを頭に乗せて

アケヨの家を目指すのですが

途中で動物たちがこっそりと果物を取ってしまい―



読んでいる最中、最後はどうするんだろう―

と、かなりドキドキしましたが、そこは絵本

年少の読者を裏切らない結末に(←よく見ると背表紙に結末が描かれちゃってるのですが)

シンプルなストーリーながらも、心温まる作品です。



個人的には、くだものを次々とってしまう動物に注目

特に妙にリアルなキリン(←とくに舌が)や

重要な役割のヤギの表情がとてもいいです。


また、大人の方には

ハンダの微妙な表情の変化にも注目して欲しいところ

文章には描かれない気持ちの変化が表現されているので


読み聞かせる時には、ぜひその辺も踏まえて表情豊かに読むと

お子様も一層よろこぶはず




自分の日常とは、全く違う世界を知ることができる―という点からもオススメな絵本です

とくに、動物が好きなお子様にはきっと気に入ってもらえるかなと思います

デイヴィッド・ウィーズナー『漂流物』

2008-12-16 22:29:41 | 絵本!!
これは好き


読み終った途端にそう感じ、何度も繰り返し読みました。


アメリカの絵本作家デイブィッド・ウィーズナーの『漂流物』は、

ページをめくるのがうれしくて仕方のない絵本。




少年が海岸で拾った不思議なカメラ

フィルムを現像すると、そこには不思議に満ちた海の世界が広がっていた


世紀を越えて海を漂う1台のカメラが映した驚愕の世界とは―?


見知らぬ世界との偶然の出会い

子どものみならず、大人も胸の高鳴る絵本です。


ただ、一切のセリフがないこの絵本

どのくらいの年齢の子に読ませたらいいかは…………?



個人的には、

読み聞かせのテクニックをフルに活用して

ストーリーを教えてあげながら、一緒に眺めるというのがオススメ



とくに海底に旅行に来てる宇宙人のページなんて

ぜひチャレンジしてほしいところ


この人はなにをしてるかな?

なんて尋ねたり、一緒に考えたりしたら

きっと、想像力がものすごいつくこと間違いなし



もちろん、一枚一枚の絵が素晴らしいので、小さいうちはただそれを眺めるだけ


理解できるようになったらもう一度


………というのでもいいと思います



さらに大人の読者は


この絵は北斎、この絵は若冲の影響?

これはカッパドキアかな?


といった楽しみ方もできるし、


とにかくいろんな方向からの楽しみ方ができるので本当にオススメです

五味太郎さん『きんぎょがにげた』

2008-12-15 22:19:34 | 絵本!!
色彩とユーモアにとんだ絵柄と

語感の妙によって乳幼児から大人まで多くの読者を引きつける五味太郎さん

『いっぽんばしわたる』、『ことわざ絵本』、『みんなうんち』

など代表作は多数ありますが


子どもが最初に接する絵本としては、この『きんぎょがにげた』がオススメ


水槽から逃げ、いろんな場所に紛れこんだ金魚を見つける

ゲーム感覚の絵本です


以前流行った『ウォーリーを探せ』をずっ~~~と平易にしたもの―とも言えます


著者の持ち味は、この絵本でも発揮され

金魚の他にも電話や花、机など身の回りにあるものから

ピエロやロケットまで様々なものが描かれていますが

やわらかい絵柄で、とても見やすい。


ですから、お子様と一緒に読む時には、金魚を探すだけでなく



これはなにかな?


―と、たずねながら読むのもよいかと思います


文字も、子どもが読みやすいように大きく


きんぎょが にげた。

こんどは どこ。


―と語感が良いのもオススメのポイントです


リアルにおススメ

『サンタクロースっているんでしょうか?』

2008-12-15 21:45:35 | 絵本!!
サンタクロースっているの?


本書は、19世紀末期、ある少女が抱いた素朴な疑問に対して

ニューヨーク・サン紙の記者フランシス・P・チャーチが社説で答えたもの。



この世の中に、愛や、人への思いやりや、まごころがあるのとおなじように、サンタクロースもたしかにいるのです。(本書より)



クリスマスやサンタクロースの本質を的確に指摘しつつも

詩的な美しさを持ち、しかも、わかりやすい文章には感嘆するばかり


しかしそれと同じくらい、あるいはそれ以上に

8歳の少女の疑問に真摯に答えようとする筆者の姿勢に深い感銘を覚えます


いまはサンタクロースを信じている子も、いずれその存在に疑問を持つかもしれません

そんな時に周囲の大人は、本書の作者がしたように


温かく、誠実にその疑問に答えて欲しいなぁ―と切に願います。


字は大きく、漢字もほとんど使っていないので小学校の低学年以上の子なら十分に読めますが、


子どもへの接し方を学ぼうとする大人の方にこそ、読んでもらいたい本です。

アーサー・ガイサート『あかりをけして』

2008-12-14 20:32:52 | 絵本!!
ニューヨーク在住の銅版画家アーサー・ガイサートによる絵本


おかあさんとおとうさんから、8時には電気を消しなさい

と言われた小ブタくん

でも、小ブタくんは真っ暗が怖い

そこで、小ブタくんは身近にあるものを利用して

スイッチを入れると、ちょうど眠るころに電気が消える装置を作った―



この絵本は、小ブタくんが作った装置が次々と動き

やがて電気が消える様子を描くもの。


8:00ちょうど、

小ブタくんがヒモ―このヒモは天井裏につながっていて、その先にはハサミが付いている―を引く


ヒモが引かれた弾みでハサミが動き、おもりを固定している糸を切る。


すると、反動で動いたおもりが最初のドミノを倒し次々とドミノがたおれ、


最後のドミノが倒れると、屋根の上に設置した滑車が動き

固定されていた自転車が、屋根の斜面を一気に駆け降りる!!!!!


―こうやって装置が次々と動く様子は

とてもウキウキします。


しかしその反面、セリフもほとんどなく装置が動く様子が描かれるだけのこの絵本の面白さは

これがこう動くと次がこう動くという因果関係を理解していないと

少々キツいかもしれません。



でも、ピタゴラスイッチのエンディングに興味しんしんの子なら


きっと大喜び間違いなし



喜びすぎて、


自分でもこんなのを作りたい


とか言い出すかもしれませんが


その時は観念して手伝ってあげてください


東急ハンズには手頃なキットなど売ってますので

いせひでこさん『ルリユールおじさん』

2008-12-14 01:16:27 | 絵本!!
いせひでこさんの『ルリユールおじさん』は

大好きな植物図鑑が壊れてしまった少女ソフィーが

本を治してくれる職人〈ルリユール〉の老人を探し、図鑑を修理してもらう物語




少女の図鑑を修復する老ルリユールが、


「ぼうず、あの木のように大きくなれ」


名を残さなくてもいい「ぼうず、いい手を持て」


という父の言葉を回想し


「私も魔法の手を持てただろうか」


と呟く姿は味わく、なにかを受け継ぐこと・伝えることについて考えさせられます。




また、落ち着いた雰囲気の挿絵もすばらしく


とくに、出来上がった本を愛しそうに抱き締める少女の絵は


忘れかけていたものを思い出させてくれます。



さらに、ルリユールは日本ではあまりなじみのない仕事ですが


ページを綴じ

ボール紙に表紙を貼り付け

革をなめし


―といくつも工程を要するルリユールの仕事について、知ることができるのも本書の魅力



お子さまはもちろん、本好きの大人にも幅広く読んでもらいたい絵本です



なお、本書は久世番子さんの『番線』にもチラッと登場

『番線』でルリユールについて興味を持った方にも強くおススメします