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桜木紫乃『LOVELESS』

2012-01-07 21:02:41 | 読書
本書は、でを受賞した著者による長編小説


酒浸りの父や、先の見えない貧しい生活から抜けだし、歌手を目指した女性の生涯を描きます

物語を彩る昭和の名曲。


愛を捧げた酷薄な男たち。


そして、生涯持ち続けた位牌の正体。

どの場面も印象的でしたが、とりわけ印象的だったのは、冒頭に描かれる主人公が晩年を過ごした部屋の様子です。


激しくも物哀しい愛の物語であり

同時に、極上のミステリーでもある本作


著者の作品や、ミステリー、恋愛小説が好きな方に限らず、多くの方にオススメしたい著作です。
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歌野晶午さん『春から夏、やがて冬』

2012-01-06 21:54:03 | 読書
本書は、ミステリー作家で、『葉桜の季節に君を想うということ』で知られる著者による長編小説

家族を失い、スーパーで保安員として働く男と、彼が補導した万引犯の少女を描きます。

愛する娘を失った悲しみと、時効が成立したことへの絶望や

最初は『捕まえた側』と『捕まえられた側』という立場に隔てられていた二人が次第に心を通わせる姿など
どの場面も印象的でしたが、とりわけ印象的だったのは、著者ならではの、後半の急展開です。


赦しと償うをめぐる繊細な心理描写と、著者ならではのストーリーが見事に融合した本書

著者やミステリーのファンに限らず多くの方にオススメしたい著作です。
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葉室麟さん『恋しぐれ』

2011-07-08 20:07:27 | 読書
本書は、『銀漢の賦』や『秋月記』などの歴史小説で知られる著者による連作短編集。


江戸時代の俳人・与謝蕪村と、

上田秋成、円山応挙など彼の周りに集う人々の諸相を、

重厚ながらも繊細な筆致で描きます。


芸妓と恋に落ちたがゆえに藩を追われ、

俳人として生きる男を描く『隠れ鬼』


奇抜な画風で知られる長沢廬雪と、

彼の元に弟子入りした若夫婦を主人公にした『牡丹散る』


―など、どの収録作も味わい深いのですが、とりわけ印象的だったのは


蕪村がはるか年下の妓女に恋をしたことから起こる騒動と、

その後を記した『夜半亭有情』『梅の影』です。


天明期の文化人たちの不思議な縁を大胆に描くとともに、

彼らの繊細な心情をその作品と鮮やかに対比させる本書。


蕪村や歴史小説に興味がある方に限らず、

多くの方にオススメしたい著作です。
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小宮正安さん『モーツァルトを造った男』

2011-05-04 11:01:24 | 読書
本書は、ヨーロッパ文化史を専門とし、現在は横浜国立大准教授である著者がルードヴィッヒ・ケッヘルについて概説する著作です。


散逸してしまったモーツァルトの楽曲を収集・整理し、626の番号(ケッヘル番号)を付けたケッヘル


著者は、彼の生涯と彼が生きた19世紀中盤の社会を概観し、その業績を新たな見地から再評価します


ケッヘル以前のモーツァルト研究


膨大な楽曲を整理するために用いたカード式分類法



ホーエンシュタインによって進められた教育改革とその挫折

など興味深い記述ばかりでしたが、とりわけ印象的だったのは


メッテルニヒ体制のもと、政治から目を背け、趣味の小世界に没頭した『ビーダーマイアー=市民』に関する記述です


飽くなき情熱を持ち、天才を後世に伝えた非凡なる『凡人』ケッヘル

その平坦ながらも、驚くべき人生とともに、あまり注目されない19世紀中盤のウィーン文化を紹介した本書


モーツァルトやウィーン文化に興味がある方に限らず、多くの方にオススメしたい著作です
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小宮正安さん『モーツァルトを造った男』

2011-05-04 11:01:18 | 読書
本書は、ヨーロッパ文化史を専門とし、現在は横浜国立大准教授である著者がルードヴィッヒ・ケッヘルについて概説する著作です。


散逸してしまったモーツァルトの楽曲を収集・整理し、626の番号(ケッヘル番号)を付けたケッヘル


著者は、彼の生涯と彼が生きた19世紀中盤の社会を概観し、その業績を新たな見地から再評価します


ケッヘル以前のモーツァルト研究


膨大な楽曲を整理するために用いたカード式分類法



ホーエンシュタインによって進められた教育改革とその挫折

など興味深い記述ばかりでしたが、とりわけ印象的だったのは


メッテルニヒ体制のもと、政治から目を背け、趣味の小世界に没頭した『ビーダーマイアー=市民』に関する記述です


飽くなき情熱を持ち、天才を後世に伝えた非凡なる『凡人』ケッヘル

その平坦ながらも、驚くべき人生とともに、あまり注目されない19世紀中盤のウィーン文化を紹介した本書


モーツァルトやウィーン文化に興味がある方に限らず、多くの方にオススメしたい著作です
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菅原正子さん『占いと中世人』

2011-03-12 20:22:34 | 読書
本書は中世における占いについて論じた著作です

幕府や朝廷での占いや、

安倍氏や賀茂氏など占いを行った陰陽師たち、

さらに、政治的に重要だった星占いを紹介したうえで、


戦国期へと移行する中で、占いの位置付けがどのように変容したかを論じます


山本勘助や島津家の占い


名門・土御門家が辿った数奇な運命

そして、多人数で占うため、『外れ』のリスクを軽減できた陰陽師

など興味深い記述ばかりでしたが、

とりわけ印象的だったのは、足利学校と易の密接な関係です

占いを通じて、中世全体を俯瞰する本書

中世史や占いに関心がある方に限らず、多くの方にオススメしたい著作です。
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『たぶらかし』

2011-03-10 21:24:50 | 読書
本書は、著者による風変わりなサスペンス。


経営者としてのイメージ作りに執心する母親から依頼され、その代役を勤める主人公のもとへ、不思議な若者が弟子入りしたことから、事態は思わぬ方向へと向かいます。


役者同士の壮絶な化かし合い


代役をたてる母への子の複雑な想い

そして、本当の人格を見せない奇妙な弟子


どの場面も印象的でしたが、とりわけ心に残ったのは、

ある役者が見せた見事な引き際です。


軽妙な語り口や次々と様相を変えるストーリーに、夢中になること間違いなしの本書

著者やミステリーのファンに限らず、多くの方にオススメしたい著作です。
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雑記

2011-02-04 22:54:34 | 読書
ジェダイ

というか、つまりはダースベーダー(ドコモ)をやっつけよう…と〓
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小川仁志さん『はじめての政治哲学』

2011-01-19 15:09:39 | 読書
本書は、西洋政治哲学を専門とし、

現在は徳山高専准教授である著者が、政治哲学を概説する著作です。


著者は、まず政治哲学が政治理論・政治思想とは峻別されると主張します。

そのうえで、正しく生きるためには政治哲学が不可欠という観点から

正義、共通善、フェミニズム、グローバリゼーションなど

政治哲学上の重要な論点について、

近代から現代に至るまでの代表的な議論を紹介します。


アスランが主張するイスラム内部での変化


日本人がマイノリティになったら―という問い掛け


そして、ある議論が他の議論へ次々と繋がる論旨など


どの記述もとても興味深かったのですが、

とりわけ印象的だったのは、

ヘーゲルやコーエン&アラート、パットナムらを参照し論じる市民社会論です。


難解に思える政治哲学について、そのエッセンスを簡潔に解説し

より深く考えるための手掛かりを与えてくれる本書


政治哲学や政治思想史などに関心がある方に限らず

多くの方にオススメしたい著作です。
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阿辻哲次さん『戦後日本漢字史』

2011-01-18 20:53:09 | 読書
本書は、漢字学を専門とし、現在は京都大学教授である著者が、

戦後の漢字を巡る動向を概説する著作です。


著者はまず、戦前の漢字規格や占領政策としての漢字廃止論を紹介した上で、

その後の国語審議会での当用漢字や常用漢字を巡る議論、

さらに、コンピューター時代における漢字や常用漢字について論じ、

最後に漢字文化の今後について検討します。



『康熙辞典』に基づく正字・誤字・俗字の基準

での表意派と表音派の議論

そして、JIS規格による強引な包摂など、

身近な漢字にかかわる問題だけあり、どの記述も興味深かったのですが

とりわけ印象的だったのは

終戦まもなく作られた当用漢字字体表の作成を巡る『密室』での作業です。


しばしば耳にする『常用漢字』について、

その意義や変遷を平易に解説するとともに、

国家と言語の関係について、根本的に再考させられる本書


国語や文字に強い関心をお持ちの方に限らず、

多くの方にオススメしたい著作です。
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