池をぐるりと巡って、拝観の終盤は、桂離宮のハイライト、書院群です。古書院、中書院、楽器の間、新御殿によって構成され、「御殿」と総称されるこの建物の最大の特徴は、「雁行形」と呼ばれる建物配置。
雁の群れが隊列を組んで空を飛ぶ様から名付けられたというこの建築は、日本建築史上最も美しいとも評価されています。(下の写真)
「古書院」は、八条宮家初代・智仁親王によって造営され、続く「中書院」「楽器の間」「新御殿」は、二代・智忠親王によって増築されたのですが、全体の調和が実に見事。
内部もまた、有名な「桂棚」の意匠など見事なはずですが、拝観ができないのが残念。
古書院は池に面し、建物前に「月見台」と呼ばれる竹製の濡れ縁が設置されています。(下の写真
=台上には上れないので、撮影位置が悪く、風雅さが感じられませんが・・・)
この離宮には、月を眺めるための仕掛けが、随所に施され、「月の桂」と言われた所以を納得します。
書院の玄関「御輿寄(おこしよせ)」へは、中門から切石を敷き詰めた「真の延べ段」が続き、格式の高さが窺われます。
また、その先、石段上の沓脱石(くつぬぎいし)は一枚石で、6人の沓を並べられることから、「六つの沓脱」と言われているそうです。
(上: 御輿寄と延べ段、一枚岩の沓脱石)
古書院の隣にある「月波楼」は、その名の通り、月を眺めるのにふさわしい茶亭。
開放的で、部屋が池に張り出すようにあります。
化粧屋根裏の垂木(たるき)が、舟の底のように組んであり、額にも薄くはなっていますが、舟の絵が描かれています。茶室を月見の舟に見立てたのでしょうか。
拝観は、この月波楼で終わり。
中門をくぐって外に出れば、風流の世界から現実へと引き戻されるのでした。
拝観時間は、約1時間。かなりの面積があり、見所が満載の桂離宮では、あっという間。欲を言えば、この倍くらいの時間がほしいところです。また、立ち止まって解説が入る場所も限られているので、知らないうちに通り過ぎてしまうポイントも・・・。出来れば、予備知識を仕入れてから見学することをお薦めします。(これは、私の一回目の拝観時の反省でもあります)
——おわり——
※ アクセス=ガイドブッック等には、桂離宮へのアクセスとして、
① 阪急京都線桂駅から徒歩20分
② 市バス(特)33系統で、京都駅から約23分、桂離宮前下車、徒歩8分と書かれていますが、
私の場合、京都駅からだと、電車は乗り換えが多く、また、バスは20~30分に1本なので、新幹線の到着時間を早めないと、拝観時間に間に合わないため、今回はタクシーに乗りました。(友人3人と)
八条口から小型タクシーで、20分弱。桂離宮門前まで、1600円でした。距離的には、烏丸口からの方が近いのですが、道路の混み具合を考えると、八条口から乗る方が早く着くようです。(タクシーの運転手さんの話)
そして、帰りもまた、たまたま桂離宮を出たところに、空車が停まっていたので、またタクシーを利用してしまいました。今度は中型だったためか、あるいは道路の事情か、京都駅八条口まで、1840円でした。
運転手さんによれば、桂離宮の拝観が終わる時間に合わせて、客待ちをすることが多いそうです。
※ 手荷物=桂離宮にもロッカーがあります。