アンリ・マティス
ものすごく馬鹿なものを見たので、少しはましなものを見よう。
これは評価されているが、しかし今見るとこれをいいと思うものは少ないだろう。
どんなに理屈をこねあげても、これは下手な絵である。色彩が鮮やかであることが幾分楽しく思えるが、いつまでもみていたくはない。
画家は本物だが、じつはこの画家はもうすでにこういう絵をやめているのである。それは絵に聞けばわかる。
画家はいう。このときはこんなのがよかったのだと。人間がいい加減であるのが、よかったのだと。
まじめにがんばっているやつは殺されるからだ。
フォーヴィスム(野獣派)とは、そういうものなのだ。
人間の獣性に迎合するという芸術なのである。