エンジェル・レンジェル
原題不明。
イギリスの画家らしい。
この男は、「もういやだ」と言っている。顔を見て心がわかるようになった人間にはそれがわかるだろう。
恐らく、憎い相手とやりあってきたのだ。泥棒で作った自分を使い、いやなやつをやるためにあらゆることをやってきたのだろう。
嘘で生きてきた人間である。
だがそれがもう、耐えられなくなってきたのだ。人間の感性が進歩すると、昔のように動物的憎悪に堪えられなくなってくるのである。
それがあまりにも醜く、いやらしいからだ。ぞっとするほど汚いことをやり、ただ性欲と嫉妬のみに生きている。それを満足させるために低級なことをなんでもやる。
こういう馬鹿に、人間はとうとう耐えられなくなってきたのである。
人間外というものがどういうものか、わかってきたのだ。それはワイルドというよりは、恐ろしく愚かで滑稽でむごい世界なのである。
誰も何もしない。人を馬鹿にするためだけに生きている。いやなことばかりする。生きることは馬鹿なのだ。本気でやっていれば馬鹿になると考えている。
そして自分の飢えは他人から盗むことでしのごうとする。
いやなやつばかりだ。愚弄とケンカと強姦ばかりがある世界である。馬鹿はこういう世界を目指しているのだ。
どんな痛い人間にも、悪の目指す世界がどういうものかということが、見える時が来る。絶望的な愚かさを目にして、心底それが嫌になる。
そしてそれから、どうしていくかが問題なのだ。