リロイ・ネイマン
原題「ロッキー・バルモア」
これは馬鹿男の人生の一例である。馬鹿な男はよくこういう人生を歩む。
人から盗んだ姿で、かなりのいい男に化ける。芸能やスポーツなどで、若い頃に高いステータスを得る。それなりの女を得て、結婚もできる。だが長続きする者は少ない。
そして、それ以上発展していかない。ほとんどは人から盗んだものを演じているだけなので、自分では創造的な活動は何もできないのである。だから同じレベルのことを繰り返すだけなのだ。
二匹目、三匹目のどじょうをねらい、同じようなことばかりを繰り返すうちに、だんだんおかしくなってくる。
周りの人間もうさん臭い目で見るが、はっきり言ってしまうと、自分も困るので、何も言わない。なぜなら、今の世間はこういう男ばかりが成功しているからだ。
馬鹿が破滅すればまだましだが、それなりにお気楽な人生を送ってしまうと、堕落の極みに落ちる。もう二度と、生まれ変わることのできないものになる恐れがある。嘘で全部やり通したからだ。
馬鹿はこういう人生ばかりねらっている。