世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

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ウルトラマン・キオ③

2016-08-26 04:22:45 | 夢幻詩語

   3

わたしは父と雇われた家政婦によって育てられた。特別な人工栄養を飲まされ、不滅因子が確実に表現されるように、成長過程であらゆる試みがなされた。わたしは植物のように日向を好んだ。成長期が終わっても成長がなかなか止まらず、普通のリープ人より1・5倍も身長が伸びた。それはわたしにとっては相当にきつい現象だったが、父はわたしに筋力トレーニングを施し、成長に体力がついていけるようにした。ゆえにわたしは、尋常の人間ではない筋力を持っている。その姿は、見たものが太陽神ではないかと疑うほど、美しいものであるらしい。

リープ人にも、もちろん神という概念はある。幾分詩的ではあるが、この世界の一切を創造してくれた存在というものについて語る文物が、たくさんある。それによれば、神はある日最も美しいものを作りたいと願い、世界を作り始めたらしい。銀色の鉱物が世界に多いのは、神が銀色の自分の髪をちぎって、創造物たちのための寝床を作ったからだそうだ。

神は美しかったそうだ。太陽のようにまぶしく、大きく、すばらしい存在であったらしい。一切の創造をするために、三つあった自分の目の中の、真ん中の目をくりぬいて、それを土台にして世界を作ったそうだ。ゆえにリープには、神の目玉という意味もある。

神はなくした自分の目玉の代わりに、青水晶の玉を義眼にして、真ん中の眼窩にはめこんでいるらしい。その義眼の中には不思議な鳥の魂を飼っているという。

わたしは、そういう神についての古い物語を読むのが好きだった。銀色の豊かな髪と三つの目を持つ美しい神の姿を想像して、よくその姿を絵に描いた。巨山のようにたくましい男の姿をした神だ。女の神もいる。それもすばらしく美しい。わたしの理想をたっぷり込めて、わたしは神の姿をたくさん描いた。それは目を見張る才能だったらしい。父はわたしの描いた絵に驚いて、わたしをめったやたらにほめてくれた。

おまえは、すばらしい超人だ。何もかもを持っている。人類の究極の希望だ。

わたしは、自分が父の期待に応えられることが、本当に幸せだった。今思えば、あれは夢のような日々だった。

(つづく)





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