Jo2pA De 501

[kore de ehnen]

六甲山登山(上) 

2005-09-19 | Diary
 全てはまよの一本のメールから始まった。

「Jo2pA、山登りとか好き?」

 一瞬、わけが分からなかった。いきなりそのフリかよ。…山登りか。そういや高2のときに部活で書写山登ったのと今年の一月にESSの合宿で金毘羅さん登ったくらいしか記憶にないな。でも、山登るのは別に嫌いじゃないかもな。

「まあ、好きかもな」

 訳も分からず、そうメールを返信した。

 暫くして何の話か分かることになる。その数分後まよからESSのジュニア用の一括メールで次のようなメールが送られてきたのだ。

「みんな聞いて☆むっちゃお楽しみプランあるよ!あの夏の日の感動をもう一度!9月18日の夜中12時(註:9月19日0時)阪六(註:阪急六甲駅)集合→六甲山登山→朝日で感動→反対側に下山→有馬温泉(太閤の湯がいい)でまったり。うっわ~ばり楽しそー☆(以下略)」*註は筆者による。

 あ、そういうことね。

 ちなみにこのメールが来たのが9月16日の23:28。二日前です。一体これが何を意味するかお分かりだろうか?

 この企画、思いつき強行プランです。

 でも、それでも今日の午前0時過ぎには、なんと12人のメンバーが集まっていたのだ。驚きである。しかも、その中には前日の昼にフィリピンから帰国したばかりのGとぅーだや、今しがた北海道からバイクで帰ってきたハナプーチンがいたのだ。サンダルで参戦のマドモアゼルゆみこ。なんともチャレンジャーである。本当に大丈夫なのか?
 かくいう僕も実は今日はバイトがあって、足やばくならないかなとか心配しながらこの企画に参加した。みんな一か八かの賭けだ。

 みんな揃ったかな、と思った頃二人来ていないことが判明した。それは山CとUちゃんだ。どうやらふたりして寝坊したらしい。

「あと30分くらいかかる」

 そりゃ待てないな。ということでお二方にはバイクで六甲山ケーブル下まできてもらうことにして僕たち一行は点呼を取って六甲山ケーブル下へ向かった。

「番号~」「いち」「に」「さん」…「じゅういち」「じゅうにっ!」

 しかし、夜に登山って本当にチャレンジャーだ。しかも六甲山といえば兵庫県有数の心霊スポットと言われているじゃないか。ちなみに六甲山が心霊スポットと知っていたがためにこの企画に参加するのをやめてしまった人もいるくらいなのだ。

 六甲山ケーブル下に行く道の途中には、やすの家がある。本当に山の中の家だ。原チャがないと生活できない。でも、通りかかったのも何かの縁。ということで一同全員でやすの家に押しかけた。深夜なのに。

 みんなで説得してやすを連れて行こうとしたが、どうやらやすは足が痛いみたいなので今日は断念。
「また行こうな」
 そう言って僕たちは彼の家を後にした。

 六甲山ケーブル下駅に着くと、山CとUちゃんが既に着いていた。さすがバイクだ。よし、これで全員揃った!!よし、こっからどうやって登ればいいんだ?

「道知らん」
 まよが言った。

 え?

「地図は持ってるけど…」

 ああ、何だ。びっくりした。

 そして僕たちは、まよの先導で六甲山頂上を目指して歩き始めたのだ。

 よし、いい感じだ。なかなか歩きやすいぞ。やっぱり登山用の靴はいてきて正解だった。うん道路がきちんと舗装されてて歩きやすいぞ。いい感じ、いい感じ♪

 って、ここ車道じゃないですか!!

 そう、僕らは車道の脇を歩いていたのだ。いや、道は確実に合ってるんだろうけど、そこは歩かないでしょう…。それでも僕たちは車道を強行突破した。登山は登山なんだろうけど、かなり特殊な登山には違いない。

 六甲山といえば、走り屋が多いことでも有名だが。横を走り屋さんらしき人々がビュンビュン飛ばしていくのも何とも怖かった。いつ誰が轢かれるか分からない。そんな恐怖と格闘しながら僕たちは列を作って進んだ。

 でも、逆に車を運転している人たちからしても相当異様な光景だったに違いない。同じ服を着た人々が六甲山の車道を歩いているのだ。色んな憶測が飛び交ったに違いない。

事例1
 その日、山田夫妻は1周年の結婚記念日を祝して六甲山の夜景を観に行こうとしていた。彼らは幸せなドライブを楽しんでいた。しかし、しばらくして山田夫妻は奇妙な光景に遭遇する。
 急なカーブを切り抜けたその瞬間運転席に座っていた山田氏は同じ紺色の服を着て車道の脇を歩く集団を発見する。怪しい。怪しすぎる。

「なあ、アレなんだと思う?」
 山田氏は山田婦人にそう問いかけた。すると不安そうな声で婦人はこう答えた。
「ねえ、あなた。六甲山って心霊スポットって言うじゃない?もしかして…」
「馬鹿なこと言うなよ」
 山田氏は呆れ返った。
「そうよね…」
「でも…」
「でも…?」
「集団○○者かもしれない」


事例2
 某元国立大学の大学院生渡貫はバイクが趣味だ。走り屋ではないが、夜の六甲山にバイクで登るのは好きだった。そして彼はいつものように自慢のバイクにまたがって六甲山を駆け上っていた。
 しかし、その日は様子が少し違った。彼は中秋の名月に照らされた夜道に同じ衣装をまとった徒歩の集団を見つけたのだ。

 彼はわが目を疑った。そして彼は確信した。

カ…カルト宗教だ…!!

 彼は母の言葉を思い出した。

「ええか錬太郎。変な宗教だけはやったらあかんよ。ウチは代々浄土真宗を家の宗教にしてきたんや。ほれ、あんたが中学生のときのこと思い出してみい。東京でオ○ムが毒ガスまいたやろう。ああいうのんは近づいたらあかん。あかんでぇ!!」

み…見ちゃダメだ!!関与してはならない。私が関与すれば、私は彼らと親しくなるであろう。でも、それは私の本意ではない。私がそんなことをすれば…おっかぁを裏切ることになる。それは出来ぬ。いくら私の研究分野が比較宗教論だからといって彼らに関わればおっかぁが悲しむ。ああ、でもなんと言うことだ。私はいま激しく葛藤している。あの人々と手を取り合って話しあいたい。そのような衝動に駆られているのだ。ああ。神よ。なぜ私にそのような宿命を負わせたのだ。あの男の血中のヘモグロビンを構成する鉄原子はまぎれもなく私が前世で愛したスジャータのもの。なぜ私にそう告げるのだ神よ。あなたは私を試しているのか!!?これは試練なのか!!

 そう思っているうちにいつの間にか彼は一行の横を通り過ぎていた。

もう後戻りは出来ない!



 まあ、そのような憶測が飛び交う中僕たちはひたすら前進を続けたのだ。

 そして六甲山頂に辿り着いたとき時刻は午前5時になろうとしていた。

(結局これも連載なのか…続く)
六甲山登山(中)

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