国連加盟国のICC批准国マップ(123/193カ国)※2015年1月現在
はじめに
オランダのハーグに国際刑事裁判所(ICC)という、国際人道法に違反した個人を裁くための、国連から独立した国際刑事法廷が存在するのをご存知ですか?
ICCの加盟国は、2015年1月現在で123カ国。日本は、2007年10月に加盟し、2010年1月には2回目の判事選当選を果たしました。同年5月には規程再検討会議が開かれ、史上初めて「侵略犯罪」の定義が確定し、2011年2月にはリビア情勢で初めて国連安保理から全会一致で国連安保理に案件を付託されるなど国際的信用が高まっています。2015年1月には、オブザーバー資格のパレスチナ国が加入。中東北アフリカでの批准が推進される期待が高まっています。
大国では米・中・露が未参加ですが、中・露は毎年会議に代表団を派遣しています。EU(拡大前)は全加盟国が加盟しています。米国は2009の締約国会議から、7年ぶりに初めて、戦争犯罪問題全権大使を筆頭とする公式な代表団がオブザーバー参加しています。
日本での動き
日本では、2006年に与党自民党が4月14日に初のICC議員連合を旗揚げし、5月13日には公明党と与党ICC勉強会を開催しました。さらに6月6日には自公両党で早期批准を求める要望書を政府各省庁に提出するなど、政界での批准推進の動きが本格化しました。とくに野党では、民主党の犬塚議員が先頭に立ち、日本初となる、PGA(地球規模問題に取組む国際議員連盟)主催の東京総会(詳細)を開催して、50カ国以上から160名もの国会議員を招いたり、与党自民党も含めた超党派でICCに関する勉強会を6回にわたって行うなどして、政界でのICC加盟の機運を高めました。
このような動きを受けて、関連法案が2007年3月27日には衆議院を追加し、4月27日にはついに、参議院本会議で可決されました。5月11日付けで、すでに協力法が公布されています。国連事務局への条約の批准書の寄託は7月17日(国際司法の日)に実現し、日本は105カ国目の加盟国となりました。寄託後、条約の規定により60日後の2007年10月1日、条約が日本において発効しました。
また、批准書の寄託に先立ち政府は7月6日、11月にニューヨークで開催される国際刑事裁判所の締約国会議で行われるICC裁判官補欠選挙の候補者として、齋賀富美子人権担当大使を指名することを決定しました。選挙は11月30日に実施され、日本の齋賀候補は82票を獲得し、見事トップ当選を果たすという快挙を達成。これにより、アジア女性初のICC裁判官が日本から誕生することになりました。斎賀判事は2009年1月の通常選挙で見事再選を決め、任期は2018年3月迄となりました。(詳細)しかし志半ば、斎賀判事は急病に倒れ、2009年4月24日、還らぬ人となりました。2009年11月、判事死亡により補欠選挙が行われ、尾崎久仁子外務省参与が当選し、任期は改めて2019年1月迄の9年間となりました。尾崎判事は、公判を執り行う第一審裁判部に配属されています。
大国の動き
大国では、中国、ロシアは参加していませんが、ロシアは議会レベルで承認しており後は大統領府の問題となっています。また中国も締約国会議には常に代表団を派遣しています。さらにEU(拡大前)は全加盟国が加盟しています。これまでICCに反対していたアメリカの姿勢は年々軟化傾向にあり、2008年にはブッシュ大統領のある発令によりこれを具体的に示し、オバマ新大統領の下では、2009年11月の締約国会議から7年ぶりに公式な代表団がオブザーバー参加しています。つまり、アメリカが加盟する可能性もあります。
国際刑事裁判所設立までの歴史
こちらをご参照下さい。
国際刑事裁判所の取扱い案件
2015年1月現在、ICCは中東北アフリカ及びアフリカ地域で以下の8件の案件を抱えており、次のような状況になっています。(リンク先はICC公式サイトです)
さらにICCは、以下の8件についても調査中であり、活動の幅をアフリカ大陸に留まらない全世界に広げ始めています。(リンク先はICC公式サイトです)
アフリカ地域 ギニア、ナイジェリア
南米地域 コロンビア、ホンジュラス
アジア地域 アフガニスタン、韓国
欧州・CIS地域 グルジア、ウクライナ
中東北アフリカ地域 イラク
詳しくはこちらをご参照ください。(※概要は2015年1月現在の情報ですが詳細は2011年現在)