「慰安婦問題」

2006年03月16日 | Weblog
新聞報道によれば、民主・共産・社民各党と無所属の参院議員は月内に「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」を参院に再提出するそうだ。この法案は、いわゆる旧日本軍の元慰安婦に対する政府の謝罪と名誉回復、金銭支給などを求める法案で、過去に6回廃案となっていて、今回が7回目の提出となるそうだ。

私は選挙に出馬する前から、この慰安婦問題には大変興味があり「いつきコラム」(ブログはここ最近始めたが、HPのコラムはかなり以前より書いている。)でも、数度この慰安婦問題には触れていると思います。

未だに、この慰安婦問題に関しては多くの方が誤解をしてると思うので改めて指摘したいと思っております。いわゆる革新系の新聞では「従軍慰安婦は強制連行だ!だから、謝罪しろ。」と主張し、一方保守系と言われる新聞では「従軍してた慰安婦などいない。公募して現地の業者が集めたんだ!」と反対の主張をしている。この論争が始まったのは1992年ぐらいではないだろうか。

「従軍慰安婦」という言葉は定着しているが、この「従軍」というのは軍属のものをさしている。従軍記者などはいたのだが、慰安婦自体は軍属ではなかった為に従軍という言葉をつけてなかったし、この「従軍慰安婦」という造語が作られたのは1980年代の千田夏光氏の「従軍慰安婦・慶子」あたりだったからだと思います。最近は、この「従軍慰安婦」という言葉が戦後出来た造語だと分かった為にマスコミでもあまり使わなくなってきてます。

次は慰安婦に関する、強制連行等があったかどうか、旧日本軍が関与してたかどうかが問題となると思うのですが、いわゆる多くの国民が理解している「日本軍による慰安婦の強制連行」というものは未だに明らかになってません。言い換えれば、軍による強制連行を示す資料というものは未だ一度も発見されていないにもかかわらず、政府は謝罪しつづけているのです。

92年1月11日に朝日新聞が一面トップに、慰安所に関する軍の関与を示す資料が発見されたとスクープします。その5日後に当時の宮沢首相は当初の予定どおり訪韓するのですが、それ以来日本政府は慰安婦問題に関して謝罪しつづけてます。当時の官房副長官だった石原信雄氏は後に「韓国政府が慰安婦の名誉回復を求めてきたので、政府は一所懸命になって資料を探したが、軍関与の資料は見つからなかった。しかし、韓国政府が名誉回復の為に謝罪してくれれば、以後賠償請求などは行なわないと言うので、資料はなかったが政府は謝罪した。もし、今日のような事態になるのが分かっていれば、認めなかった。」というような発言を雑誌等でされていたのだが、どこにも軍と慰安婦を結びつける資料はないのだ。

この朝日新聞のスクープにしても、内容は内地で誘拐まがいの募集をする業者がいるから注意せよという関与を示すもので、それが軍が慰安婦と関係を示すものではないのだ。ただ、慰安婦と軍の関係は「お客と商売の関係」であるのだ。元慰安婦の女性達も市民運動の集会や韓国政府などには軍に強制徴用されたような事を証言してるが、日本における慰安婦裁判ではそのような事は一言も証言していない。

慰安婦の問題に関しては、不幸な歴史だとは思うが、そこにおける商売上の関係において責任を取れと言われても、国が責任を負うような問題ではないと私は考えます。だからこそ、今回の慰安婦問題の解決立法の提出は残念でなりません。どれだけの政治家が正しい歴史を勉強してるのでしょうか?私は「歴史」は重要だと主張しておりますが、多くの国民が正しい歴史を知らないといけないのではないかと思います。

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2 コメント

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Unknown (私見ですが)
2006-03-17 00:30:54
ちょっと思うのが、この「戦時性的強制被害者問題」の文言、強制連行とは書いてないんだよね。最近、この慰安婦問題に関して強制「連行」じゃなくて、特にフェミニストの方たちに多いのだと思いますが、慰安所における性行為の強制を問題としている人たちもいて、そういうことも問題にしてるんじゃないかな?実際に何が起きたとかはそこまで詳しく知らないからなんともいえないけど。



あと、資料の問題で、ポストモダンへの転回が始まった頃から歴史的資料として文書だけを扱う方法が相当批判されて、証言等の資料としての重要性が注目されています。で、ここで問題になるが(千田夏光の本は置いておくとして)元慰安婦の証言。彼女達が強制連行されたという以上、その証言しているという事実は重く受け止めないといけないんじゃないかな。ただ、なぜ強制的に連行されたと思うのか、強制連行されたならそれが日本軍によるものなのか、韓国政府によるものなのか、業者によるものなのかでまた違ってきますが。



あと、これって韓国だけのことを問題にしてるわけじゃないでしょ?フィリピンとかでは相当ひどいこともしたって話だし、色々な「問題の解決の促進」をするというのは妥当な態度だと思うのですが。



ちなみに法案の内容を読んだわけではないので見当違いの意見になっているかもしれません。その時はごめんなさい。
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コメントありがとうございます。 (いつき)
2006-03-17 08:32:48
コメントありがとうございます。



確かに、戦時性的強制被害者問題の文言には「強制連行」とは書かれておりません。説明不足でしたが、この戦時性的強制というものには狭義的強制と広義的強制があります。前者は強制連行を刺すものであり、後者は強制連行はなかったかもしれないが、慰安所における性行為は強制的なものだったというものです。ただ、専門的知識を持ってる人は別として、多くの国民の方は旧日本軍は慰安婦の強制連行を行なったと信じてる方も数多くいるのも事実です。



自分で自ら選んだかどうかは別として職業として慰安婦になり、慰安所を経営していた業者が軍のいるところに行き商売をしていたという事を考えれば、この問題に旧日本軍や日本政府が責任を負わないといけない問題だとは思えません。



証言の問題でもそうですが、何名かの元慰安婦の方が軍による強制連行をされたと証言しておりますが、その証言は市民団体や韓国の挺身隊協議会に対するものであり、日本における慰安婦裁判においては彼女らは軍によって強制連行されたという証言はしておりません。証言自体は大事だと思いますが、それはその証言を補足する何らかの文献も必要なのではないでしょうか?さらにいえば、証言が語る相手によってコロコロ変るというのは立派な証言ではないともいえると思います。



これらの問題は、韓国だけを問題にしてる問題ではありません。日本人の慰安婦もいたのですが、その方達から、これらの問題に対する謝罪要求があったと言う事も聞いたことありません。



色々な問題の解決を促進するというのは大事です。しかし、まったくといっていいほど国に責任のない場合に、問題を解決する為に謝罪や賠償というものは私はすべきではないと考えております。

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