下流老人 一億総老後崩壊の衝撃
藤田 孝典 著 朝日新聞出版 / 2015.6
年収400万でも、将来生活保護レベル!?
今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。そしておそらく、近い未来、日本の高齢者の9割が下流化する。
本書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。
現在すでに約600万人が一人暮らし、うち半数は生活保護レベルの暮らしをしているが、
これは「他人事」ではない。日本の老後は、もはやかつてのものから一変した。
間近に迫った日本の「老後総崩壊」に、どう対処すればいいのか?
どんな自衛策があるのか?テレビ、新聞、ネットで活躍する、気鋭の若手ソーシャルワーカー、渾身の一冊。
初の書き下ろし新書。このままでは、思い描いた老後は、もうこない。
いやー、素晴らしいです、ご立派です、神様です。
下流老人を生んだのは、全て国のせいなんだそうです。
そして、国の政策は、弱者を救うことを第一に考えるべきだそうです。
と、受け取ってしまう内容でした。
個人のせいではないのだそうです。
結局のところ、政府批判、自民批判でした。
とは言え、知らなかった部分は勉強になりました。
1~3章までは、なるほどなーと真剣に読んでいましたが、4章あたりから、なんか「?」でした。
不公平と言っちゃダメなんですね、この方の考えでは。
でも、老後を考え、必死に働き、タバコやお酒、ギャンブルなどの遊びもせず、コツコツと蓄え、更に、暴飲暴食などもせず質素に健康的に生きてきた人に対してはどう思っているのかなー?と思いました。
もちろん、現在、下流老人となってしまった人達ほとんどが一生懸命生きてこられたはずです。
全てが自堕落な生活をしてきた結果でしょ?とは言いませんよ。
頑張って働いてきたけど、親の介護で仕事を辞めてしまった、病気になってしまった、子供が仕事を辞めてしまった、妻に離婚され年金が減ってしまった、などなど、予期せぬ出来事があっての結果なのだと思います。
それは解りますが、そうじゃない人も確実にいるのではないでしょうか?
紹介されていたケースで特殊に感じたのが、3000万の貯金があったけど、病気になりあっという間に貯金がなくなった、高額療養費助成制度を知らなかった、年金に入っていなかった(!)、天涯孤独だから900万のお墓を購入した(!)、これってどうなんでしょうか?
だからと言って、自業自得だから切り捨てろ!なんてことは言いません。
過程はどうであれ、今、生きていけないのであれば、国の出番でしょう。
ただ、何でもかんでも、必死に努力してきて、健康的に暮らしてきて、誰にも迷惑をかけず命を全うする人がほとんどの中で、どうせ、生活保護がもらえるし、現金もらって、病院代はかからないし、ってほくそ笑んでいる人だって確実にいると思います。
そういう全てに対して、不公平と思ってはいけないのでしょうか?
だったら、稼いだお金は全て使い、国民年金保険料なんて払わないで、生活保護をもらいましょーって、誰もが思ってしまっても構わないってことになりますよね。
と思ったら、国民年金を廃止して生活保護に切り替えたらいいんだそうです。
それか、気兼ねなく、いやいや、当然の権利として生活保護を受け取れるように、生活保護保険なるものを徴収するのもアイデアだそうです。
弱者は確かに守らなければならないですし、それは、当然、国の役目でもあり、また、国民全体で助け合うことでもあると思います。
でも、著者の仰ることはバランスが悪くて攻撃的だと思います。
カチンとしながらも読み終えましたが、結局のところ、自分の老後を考え、若い人達に迷惑をかけないことを第一に、生活保護にお世話にならないように、医療費を使い過ぎないように、お金と健康の蓄えを頑張ろうと思いました。
そして、何より、現在の若い人達の働き方を整備してあげないと、非正規雇用では今の下流老人より大変なことになりそうです。