みちのくレースのおたのしみ

岩手競馬にまつわるあれこれ。とか。

政治ゲームだったのか

2007年03月16日 | 岩手競馬
 いろいろやらねばならない事があるのですが、なんだか全く手に付かないのでグダグダとブログに向かってます。


 昨日の県議会。今改めて(といっても気持ちはあまり落ち着いていませんが。なんせいろんな方に電話で連絡して、その度に経緯をお話ししているものですから、何度も何度もフラッシュバックしてる感じでして・・・)考えてみて、あれは大がかりな政治ゲームに付き合わされただけだったのかな、と思ったりしています。  

 まず昨日の山場でもあった“妥協案”のやりとり。今月必要な分をとりあえず出し、残る分は次年度以降分割で払えば良いではないかという案が反対派の側から相当に強く出たようなのですが、はっきり言ってこれはおかしい事です。
 なぜならそれは、反対派がこれまでさんざん叩いてきた「問題の先送り」それに他ならないからです。
 ここに生まれる問題点は、支払い期間延長や分割、猶予といった事が全く実行できる事実として提示されておらず、単なる希望や憶測にすぎないという点です。 
 小原議員が賛成討論で述べた通り、「本当にできる事かどうか、あてがあって言っているのか?」なんです。
 猶予や分割の交渉ができるかもしれない。でもできないかもしれない。できなければ結局当初の案同様に一括返済を迫られるでしょう。そうなったらそうなったで、今度は「それで負担が軽減されるかも」との有権者の期待を欺く事になります。
 また、一部とはいえ支払いを延ばすという事はそれに対する金融機関なりの金利負担も発生するわけで、元々の趣旨である「低利の融資に借り換えて金利負担を軽減する」意味に全く反するわけです。
 妥協案を蹴ったという部分の「スジ」に関しては知事の意見が全く正論と言わざるを得ないでしょう。


 今回の議論で最も悲しむべきはここです。ここまでさんざん問題の先送りだ知事の責任だと叩いてきておきながら、正真正銘の土壇場になってまるっきり同類の、問題の先送りにすぎない案を持ち出してくる。
 所詮この程度の認識だったという事です。

 ある議員さんが嘆いていました。「この期に及んで、今処理しなくても何とかなると思っている人(議員)が多すぎる」と。
 上段のような話が出てきたのも“今全部払わなくていいんじゃない?組合の予算の中でやりくりできるんじゃない?”と思い込んでいるからであり、“もう最後の段階まで追い込まれているんだ”といくら言っても理解してくれないのだ、と。

 反対派からは「今になって“廃止した方が負担が大きい”など持ち出されても遅い」との声を聞きました。が、これもおかしい話です。
 廃止した際の方が負担が大きく、それも一気に来るのだ、とは最初から言われていた事です。まして、反対派の議員の中には廃止された競馬場のあった自治体を視察して廃止に際する問題点を研修してきた方もいたはずです。その中で廃止後の負担の実際がどれほどのものか、学んでこなかったというのでしょうか。


 もう一つの悲しむべきなのは融資の目的が最後まで誤解されていたという点です。
 これも小原議員の討論から牽きましょう。小原議員は「この融資を行う事によって、廃止に関わる負担が一時にかかる事を避け、例え将来競馬が廃止される事になっても対応できる時間的余裕ができる」と述べました。賛成討論でですよ。つまり「融資実行=競馬の無条件永久存続」ではないと考えるべきものだったのです。

 知事サイドの考えもここにあったと、私は思います。今廃止となれば大きな負担が一時に押し寄せる。競馬関係者への影響も甚大だ。だが融資を行えば、例え競馬廃止となっても瞬間的・大きな負担を軽減できる。その間競馬事業は収支均衡策を徹底して取って赤字を増やさないようにし、それで長く存続できればそれでよし。ダメでも廃止処理に向けた時間の猶予を生み出す事ができる。
 結局、あの融資案は破綻処理が第一、競馬存続は副次的なものだったのではないかと思うのです。

 だから知事も妥協しなかったのでしょう。競馬存続が第一ならば「折れる」という選択肢も取り得たのではないでしょうか。その後の処理で事実上当初案に近い形で実行する、という作戦もあり得たでしょうから。
(実は「お互い折れようがない」と分かった上での出来レースだったのでは、と思う点もありますが、それは想像です)



 反対派の議員はほとんどの方が「競馬そのものは続いた方がいいと思う。だがこの案には賛成できない」と言われました。その気持ちは本当だったと信じます。また、融資案に伴い競馬組合側が出した再建案も非常に疑問の多いものだったのは確か。簡単に賛成しがたいものだったのはその通りだったと思います。

 とはいうものの、結果はどうだったのか。知事の経営責任、組合の責任、過去の責任。こんな雲を掴むような話にとらわれ続けたあげく、結局現場で働く人たちが一番割を食う形の、いや現場で働く人たち“だけ”が割を食う形の決着しかできなかった。その責任は大であると言いたい。
 「競馬業界で働く人の事を考えれば・・・」と言った、その分だけはきっちりと形にして頂きたい。



 終わってみれば、知事も議会も自分の責任を投げた。さんざ経営責任を追求しておきながら、まったく責任の所在を明らかにできない、明らかにする機会も無くして決着してしまった。
 知事の首を獲るために何年にもわたって競馬を突き、貶めてきたにも関わらず、その知事は任期切れと共にするりと抜けだしてしまった。あとには勝者も敗者も残らず、ただ現場の方たち・馬たちのみが取り残されました。

 あれはいったい何だったんでしょうか。もの凄いリソースを費やして、結果これです。何年もかかって壮大な茶番を見せられていたのでしょうか?

 今後、明日の競馬議会そしてその後の県・盛岡市・奥州市の臨時議会と進むと思います。融資案否決となれば即座に負債処理に入ると、そのための予算措置を行う事になります。

 そしてそのためには、本当に税金の投入か、または基金の取り崩しという事も出てくるでしょう。
 となると、処理のために税金の投入はできないと、基金の取り崩しはできないと言い続けてきた皆さんは、当然そういう形の処理には応じられないとして適当な対案を提出して頂けるのでしょう。
 当然ながら、まるで廃止すれば税金投入も基金取り崩しもしなくていいかのように報道してきた某紙は、そうであれば徹底的に反対し、その議論の進み具合は逐一県民の皆さんにお伝えしてくれるのでしょうね。
 よもやうやむやに処理してさっさと選挙、なんて事はないでしょうね?

 もうね、茶番なんですよ。茶番でなければ欺瞞です。



 以下、個人的な感想です。個人的ですよ。

 昨日最もガッカリさせられたのは、融資案の反対討論に立った斉藤信議員でした。 前々回のブログにも書いたとおり県の総合雇用対策局廃止にはいろいろと批判・反対をしておきながら、融資反対に触れる際には、それによって多くの失業者が出る事に触れずに終わりました。


*注
 斉藤信議員のHPによる討論全文を読むと、「一場体制」は競馬開催を指すのではなく、テレトラックとしての使用を指していると読める部分があります。
 一方、予算委員会等での発言を読むと、「競馬場としての水沢一場開催」に触れている点があり、反対討論も同様と見るべきかもしれません。

 いずれ、実際に関係者と一緒に聞いていた時には「水沢一場体制」という部分のみが耳に入ってしまって他の皆さんと「反対しているくせに何か!」一緒に憤ってしまい、その記憶のまま書いてしまいました。
 
 以下の部分は当方の間違いという事になります。斉藤信議員には当方のミスをお詫び致します。文章自体は自分の恥さらしのためにおいておきます。

(あまつさえ、これまで常に「存在意義の無くなった競馬を存続させる意味はない」と繰り返し主張してきたにも関わらず、反対討論の中で突然「水沢一場開催による存続を考えるべきだ」と発言したのです。斉藤信議員はこれまでも競馬に対しては厳しい論調で知られ、廃止論者の最先鋒と見られてきました。ですが競馬関係者の中では「あの人はずっとああいう論でブレていないから」と不思議と評判は悪くなかったのです。それが最後の最後になって突然これです。こう言う事で何を求めたのでしょうか?「融資案には反対だが、競馬には理解がある」というポーズを見せたかったのでしょうか?今さらそんな事を言うくらいなら、最後まで「意義のない競馬は廃止」と言い続けて欲しかった。筋を通して欲しかったです。
 で、もう一度振り返ってみてください。 融資案に賛成討論に立った小原議員は「この融資を行う事によって、廃止に関わる負担が一時にかかる事を避け、例え将来競馬が廃止される事になっても対応できる時間的余裕ができる」と発言しました。 反対討論に立った斉藤議員は「負担軽減策を追求し、水沢一場開催による存続を考えるべきだ」と言いました。 競馬そのものに対する対応は、突き詰めればもしかしたら融資案への賛否とは真逆です。そんなねじれが、今回の議論に、最後までついて回ったのです。)

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8 コメント

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現実を見ましょう (浄閑)
2007-03-16 16:39:26
岩手の人って、やはり純粋なのですね。

関西人の私にしてみれば、政治家の行動を非難するなんてのは「豚に向かって、お前は豚だ」と言ってるようにしか見えません。

今、岩手競馬の存続に必要なのは、「お金」であって、政治家による便宜とか、県民による理解を得るような段階は当の昔に過ぎ去ったのではないですか。

競馬組合や県議会を手玉に取れるような人材が岩手競馬関係者にいなかったという点が惜しまれます。競馬存続を願う信念があるのならば、同じような信念を持つ人的ネットワークを構築して、理解者を増やし、出資者を見つけるところまで持っていかないと現実に岩手競馬が存続する目はないと思います。


確かに (Katsupy)
2007-03-16 17:54:32
 関係者でかりながらこんなことをいうのもなんなんですが…、いいチャンスなのでは?と思っております。
 政治論等を語ったところでなんとかなるものいでもなし、私の様に県外から来た人間にとっては、与党が民主党って時点で、正直言っていろいろなパイプ面ではちょっとなぁ~?って感じが否めません。極端な話よくぞここまでもたせて頂きましたというのが率直な思いです。
 競馬のみに限らず、森林組合や牛肉公社の件にしてもせっかく国から権限を譲渡してもらったにもかかわらず、単なる天下りの受け口にしかしていなかったために、民間活力の導入すら今ひとつで結局「輸入材に負けた」を口実にっていうか、退職金を捻出できなくなった時点で取りやめみたいな感じで・・・。
 なので私としては所詮融資案が可決されたとしても、今の競馬組合ではどうしても猫に小判でとても納得できるようなシーズンを迎えて送れるとは思っていませんでした。
 昨年秋に途中で辞任されてしまった民間からの柴田副管理官にしても、さすがに競馬のことはちんぷんかんぷんではありましたが、関係者でもあまり実態を把握できていなかったパルソビルの件や東北映像の件、テレトラックの件等々、赤字や負債が膨らんでしまった膿を出してくれて、これからだって時に首を切られてしまったような感じで、今にして思えば最後の砦だったのかもしれませんねぇ~。
 長々と一丁前のこと述べてしまいましたが、正直なところ競馬廃止は確かにつらいものがあります。現在の盛岡競馬場(OROPARK)を建設するに当たっても、旧水沢市議も反対したにもかかわらず、今回もって感じです。ですから、これを機会に関係者も一丸となってどこまでできるかです。


 
Unknown (岩手っ子)
2007-03-16 22:11:05
ただただ、残念です。納得できないのは廃止の方向に進んでいるという事だけです。

競馬関係者や競走馬はどうなってしまうんでしょうか...

民間委託という道は無いのでしょうか?とにかく今は存続を願うばかりです。
テシオ最終号 (ca-mania)
2007-03-17 01:29:04
いつもブログ見させております。
テシオ最終号(最終号と書くのが残念でなりません)
ぜひ、発行してもらいたいです。
岩手競馬マガジンとしてこの数年間の流れの集大成を記録として残してほしい。
できればそこに知事をはじめ全議員のインタビュー載せられれば最高ですけど。
おじゃまします (ななみ)
2007-03-17 11:15:13
私は胆江地区外から水沢に転入してきて約10年になる者です。
競馬はパチンコと同じレベルにしか思っていなかったので、
一度も競馬場に足を運んだことも、行ってみたいと思ったこともありませんでした。
そして、「税金の無駄遣い」としか考えていませんでした。

競馬を廃止にすれば、収支はゼロになると思っていたのです。

しかしこの2~3日で競馬存続についてネットや新聞で勉強し、
廃止が決して良い結果を生むものでもないということを理解しました。

今奥州市は市としての単独開催を視野に入れ模索しているようですが、
是非頑張って頂きたいです。

それにしても岩手銀行・・・最近業績が好調なのだから、
融資の利子を限り無くゼロにするように考えるとかそいうことはしてくれないのでしょうか?

競馬組合に多額の融資をし、その利子で儲けさせてもらったこともあるだろうに・・・


追記ですが (ななみ)
2007-03-17 11:19:49
聞けば、盛岡競馬場の移転は、当時売上が減少してきていた時期で、
以降の経営に危機を募らせた水沢競馬の反対を押し切ってのことだったというじゃないですか。

産業だって盛岡の方がずっと発展しているのに、
どうして奥州市の方が負担割合が大きいのか理解できません!!(これまでに受けた恩恵の割合だそうですが)

借金は県と盛岡で清算してもらって、
ゼロからの状態で奥州市の単独開催って運びにはできないのでしょうか
Unknown (よこてん)
2007-03-18 04:03:54
>(浄閑)さま
 その辺単純に信じていた訳じゃないです。言いたい事はもっとあるんですが、今はちょっと。
 後段はその通りだと思います。

>(Katsupy)さま
 今の計画案ではそれこそ1年保ちませんよ。今回の件、たいへんなんだけども、それこそ余計なしがらみを根こそぎ叩き切れるチャンスですよ。
 ・・・と思っていたら土曜の動き。歓迎しきれない気持ちも・・・。ヘタをしたら例え競馬が続いてもなにも変わらない。今起こっているいろいろな動きが止まりかねない。

>(ca-mania)さま
 今のところは難しいですが、なんとか形にできればと。

>(ななみ)さま
 ななみさんのような「税金の無駄遣い」という考えが、ごく普通だと思いますよ。

 水沢単独開催については、今はちょっと様子見の格好になりました。ただ、これが一番現実的かなと感じます。
あきらめが必要 (Unknown)
2007-03-19 03:11:50
廃止やむなし 何をやっても黒字になるわけない 大井でさえ赤字なんだから 小沢を走らせればいいんよ競馬場で