Islander Works

書いて、読んで、人生は続く。大島健夫のブログ

三年目。

2010-07-09 18:18:04 | 出たもの
多くの人は、悪いことはいつまでも覚えている。不可思議な悪運によって奪い去られたものや、頑張っても頑張っても辿り着かなかった望み、どんなに強く願っても届かなかった心。そういったものは、それを経験した人の心に強い印象を残す。時には傷となって残る。

しかし一方で、良いことはすぐに忘れ去られてしまう。不可思議な幸運によってもたらされたもの、いつの間にか手にしていたもの、気がつくとそこにあったもの。それらの中には、自分以外の誰もが欲しがり、しかし手に入らなかったものも必ず混じっている。だが人間は、そういったもののことはすぐに忘れてしまう。あるいは、最初から気づかない。「自分は運がいい」と思っている人より、「自分は運が悪い」と思っている人のほうが、世の中にはきっとずっと多いだろう。

良いこともあれば、悪いこともある。悪いこともあれば、良いこともある。

現在というのは、言ってみれば常に一つの局面である。ある人がたまたまウンコをしていたからと言って「あの人は汚い」というのはとんでもない間違いである。誰だってウンコくらいするのだ。また、ある人が疲れて昼寝をしていたところにたまたま行き合ったからと言って、「あの人は怠け者だ」というのも間違いである。誰だって疲れたら休まなければならないのだ。

しかしまた、全ての瞬間は一期一会である。この瞬間は戻ってこない。絶対に二度と戻ってこない。どのようにその瞬間を生きようと、戻ってこない一瞬はたった今も私たちの中に積み重なり続けているのだ。そして私たちは一瞬ずつ年をとってゆく。

Poe-Triは昨夜のVol.25で三年目に入った。

1500円となにがしかのお金と、限りのある貴重な時間を使って会場に来てくれる人たちがいることに、私は何と言って感謝すればいいのだろう。私たちは、聴いている人の胃袋を満たすことも、明るい未来を約束することもできない。

ありがとう。ただ、その言葉を発し、自分が一番いいと思うように精一杯パフォーマンスすることしかできない。本当にありがとう。

今回も出演者は4人だ。

真摯に、丁寧に、ひとりの人間が生きていくということに関する言葉を紡いでゆく五十嵐倫子さん


力強く、誰よりも誠実に言葉を投げかけてゆくマノメアツシさん。


会場を圧倒する鬼気迫る緊張感の中で、言葉をつなげてゆくケイコさん


私は、「僕が埋めた首」、「公園の池」、「グラウンド・ゼロ」の三篇を朗読した。

オープンマイクにご参加いただいたのは、登場順に、

nontanさん
midoさん
笹田美紀さん
かとうゆかさん
uraocbさん
ジュテーム北村さん

の面々。最後は、毎回いつも私が締めの挨拶をするのもなんなので、たまにはじゃんけん大会などして、勝ち抜いたジュテーム北村さんに締めていただいた。どんなふうに締めていただいたかは、会場にいた人だけの秘密だ。

次回、Poe-Tri Vol.26は、8月4日(水)の開催です。

心からお待ちしております。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
毎度のことながら (水祈)
2010-07-27 00:31:50
takさんのこういう日記の言葉に何だか勇気をもらいます。takさんは本当に色んなものを多角的に見ているんだな、と感じます。

良いことを忘れないよう、明日も頑張りましょう。
Unknown (大島健夫)
2010-07-27 20:12:52
>水祈さん
全然多角的には見られていないのです。ただ、自分の経験の中で考えたことしか言えません・・・

今日も明日も頑張りましょう。

コメントを投稿