精巣がんは10万人当たりの発生率がおよそ1人とさほど多い疾患ではないですが、15-34歳の男性においては最も多い悪性腫瘍です。この精巣がんはほとんどが、精細管の上皮細胞から発生するので、精子形成は当然低下します。片側だけであれば、もう一方あるから大丈夫と思いがちなのですが、いろんな影響から精子濃度は相当悪くなります。時には無精子症となります。またこの腫瘍の特徴として、痛みを伴わないため、発見が遅れることが多く、精巣摘除に加えて、抗がん化学療法を追加で行うことも多いです。ここで大事なのが、精子をいかに保存するかということです。この疾患は比較的抗がん化学療法が効きますので、根治できる可能性が高いのです。またほとんどの方が若い患者ですので、その後の人生の質(QOL)は非常に重要です。ただでさえ、がんになったほうの精巣をとってしまい、片方の精巣だけになるのに、抗がん化学療法を受けると、くすりの影響でまず無精子症になります。抗がん化学療法が終了してしばらくすると、造精機能は回復してくることも多いのですが、中にはずっと無精子症の方もおられます。このことを考えると、抗がん化学療法前に精子を凍結しておくことが必要と考えられます。こういった説明があまりなされていなかったため、化学療法後数年しても無精子症のままで、挙児希望あり、micro TESEを受けて精子回収しにいく、といった患者さまもおられます。精子保存は基本的に何年でも可能です。
片方の精巣がん患者さまは反対側にも精巣がんが発生しやすく、そういった場合は早期発見が必須ですが、腫瘍部以外の精細管からTESEし、凍結保存してしまうやり方をお勧めしています。もちろん両側精巣がなくなってしまうと、男性ホルモンがほとんど作られなくなりますので、男性ホルモン補充が必要になります。
どんながんであっても抗がん化学療法前には精子凍結をお勧めしています。ただし、精子がまだ出現していない小児の場合には困ってしまいます。精巣組織を手術で取り出し、精子の幹細胞を保存しておくことは将来的には考えられるべきことかもしれませんが、現段階では侵襲も大きく、まだ早計かもしれません。
片方の精巣がん患者さまは反対側にも精巣がんが発生しやすく、そういった場合は早期発見が必須ですが、腫瘍部以外の精細管からTESEし、凍結保存してしまうやり方をお勧めしています。もちろん両側精巣がなくなってしまうと、男性ホルモンがほとんど作られなくなりますので、男性ホルモン補充が必要になります。
どんながんであっても抗がん化学療法前には精子凍結をお勧めしています。ただし、精子がまだ出現していない小児の場合には困ってしまいます。精巣組織を手術で取り出し、精子の幹細胞を保存しておくことは将来的には考えられるべきことかもしれませんが、現段階では侵襲も大きく、まだ早計かもしれません。