日本の生殖医療を世界レベルに!

男性不妊症専門医が学術活動ならびに雑感を徒然と綴ります。

育毛剤

2011-01-29 22:39:19 | 日記
ある育毛剤の主成分であるフィナステリドは、男性ホルモンを抑制する抗アンドロゲン薬の一種であり、男性型脱毛症(AGA)の主原因のひとつとされる「ジヒドロテストステロン(DHT)」の生成を抑制する働きがあります。
DHTは男性ホルモンである「テストステロン」が「5α-リダクターゼ」と結びつくことによって生成され、血中のDHT濃度が高いほど男性型脱毛症の症状は重症化していきます。
フィナステリドはこの5α-リダクターゼの働きを抑制し、血中のDHT濃度が高まるのを防ぎます。
フィナステリドは、もともと前立腺肥大症の治療薬として使用されていた薬です。
副作用として精子数の減少、勃起不全、射精障害などが理論的には考えられます。
実際に用量を守っていれば、このような副作用が起こることは稀とされていますが、もともと造精機能が悪い方は、こういった些細なことで一気に低下してしまう場合もあります。


男性ホルモンは「顔」に表れる

2011-01-23 21:15:05 | 日記
診察室では他に視診、触診、超音波検査を行います。視診ですが、どこを注目するかというと、「顔」です。そう言うとびっくりされるかもしれませんが、正確に言うと「ひげ」です。ひげは男性ホルモンを如実に表しますので、これを見てまず男性ホルモンがきちんと出ていそうかどうかを判断します。

続いて陰嚢です。陰嚢内には精巣、精巣上体、精管、精索の動静脈、リンパ管などが存在します。ここに病変がないかを視診します。基本的に下着は取っていただきますが、こちら側としては陰茎を見慣れていますし、恥ずかしがる必要は全くありません。
特に気をつけるのが視診でもわかるような、陰嚢内に静脈の逆流を示す「精索静脈瘤」がないかどうかです。目で見てもわかる程度であれば精索静脈瘤のグレードは3段階のうち3であり、一番高いグレードとなります。精索静脈瘤に関しては後述しますが、男性不妊の原因の最も多いもののうちのひとつです。

また下腹部においては、手術創がないかを見ます。小児期の手術だと、本人がわかっていないこともあり、必ずチェックします。陰毛に関しても男性ホルモンが少ないと薄くなりますので、確認しています。続いて陰嚢内容の触診をします。精索静脈瘤の有無ももちろん大事ですが、精管、精巣上体についての情報は大変貴重です。中には先天性両側精管欠損の方もおられ、この際は精巣内で精子形成が行われていても、射出精子に出てこられない「閉塞性」の無精子症となります。また精管が非常に細い場合もあります。こういった場合も精路閉塞を疑います。精巣上体については、精巣上体炎の既往があれば、硬結(induration)といわれる「しこり」を触れることがあり、これも精路閉塞を疑う理由の一つになります。また他の病変(精巣腫瘍、陰嚢水腫、精液瘤など)がないか判断できます。

ただし触診で判断できない場合でも精路閉塞が起こっていることも考えられますので、この触診は絶対的なものではありません。
同時に精巣の大きさをオーキドメーターなどで測定します。精巣の大きさは正常が16~24mlですので、これより小さい際は精子形成があまりすすんでいないことも予想されます。しかし4ml程度の精巣でも射出精液の中に精子が認められることもあり、精巣が小さければ必ず無精子症というわけではありません。

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2011-01-14 21:46:34 | 日記
明日から2日間、センター試験ですね。
受験生として2回、試験監督官として1回参加しました。
あの緊張感を思い出します。

その時はそれが「すべて」だと感じてしまうものですが、時間が経つと色んな見方ができます。
不妊治療も同様のように感じます。
「やることはやった、後の結果は天任せ」と納得すること、これが大事だと感じます。

うまくいかないこともあるでしょう。うまくいかないとき、それが試練だとはなかなか思えないでしょう。
ただ、不妊治療のいいところは「夫婦で行うこと」だと思います。一人でやるのではありません。

Asian Journal of Andrology

2011-01-11 23:05:40 | 日記
という雑誌があるのですが、ここ近年非常に頑張っている学術誌です。
インパクトファクターも2008年には2点を突破したjournalです。
このclinical male infertility special issueにおいてSurgical recovery of sperm in non-obstructive azoospermiaという章のreviewを当てていただきました!
reviewerに選ばれるというのは本当に光栄なこと。またimpact factorのある国際誌では尚更です。
他のauthorは全員こちらが知っているビッグネームばかり!!
顔ぶれを見ても、非常に多国籍で、アメリカ、オーストラリア、イタリア、ベルギー、デンマークなどなど。
今回日本人で唯一人選ばれました。
18のチャプターで男性不妊をすべて網羅する計画で、それぞれ分野のエキスパートに割り当てられています。
これは大変なことになりました。今までのどんな論文よりも気合いが入ります。
締め切りは5月ですが、早めにやっていきたいと思います。
新年早々本当に嬉しい知らせでした。

1/8発売

2011-01-09 06:06:36 | 日記
雑誌「赤ちゃんがほしい」(主婦の友社)2011 Winter男性不妊特集の監修をしています。
数ページにわたり取り上げていただきました。
イラスト付きでわかりやすく書いていただきました。
取材も面白い経験となりました。
女性3人に取り囲まれ、ホテル内のおしゃれなカフェで、「精子が、、」「精液が、、」と、傍から見れば異様な光景だったことでしょう。


新年

2011-01-05 21:47:52 | 日記
今日から外来開始です。
早速今日の外来で手術申込みが3件あり、頑張って期待に応えなければ、と気合を入れ直しました。
また今年11月には神戸マラソンがあり、病院のマラソン部監督(!)に任命されましたので、15Kgは減量して、10Kmマラソンには参加できるよう頑張ります。

今年前半には初の著書が刊行される予定となっています。
詳しくはまた後日このブログでも公表いたしますが、もうすでに大詰めとなっています。
編集者と何度もやり取りを重ね、200ページ程度の新書が出る予定です。
新書ということで、専門的になりすぎないように書いたつもりです。
アメリカやオーストラリアの生殖医療、日本のおかしな点、すぐれている点、今後の展開などなど。
こちらもぜひ楽しみにしてください。