清水駅発行 三保ゆき片道乗車券

昭和57年3月に東海道本線清水駅で発行された、清水港線三保ゆきの片道乗車券です。


   


桃色こくてつ地紋のB型一般式大人・小児用券で、名古屋印刷場で調製されたものです。
この頃はすでに高性能の券売機が登場していましたが、清水駅の窓口には硬券の設備も健在で、券売機に誘導されることなく購入することができました。


当時の清水駅は東海道本線のほか、かつて東海道本線の支線であった清水港線が乗り入れている駅となっていました。
最盛期には1日数往復の旅客列車が運転されていたようですが、末期には旅客列車は通学用に朝に清水発の下り列車が8時10分発1本、夕方に三保発16時14分の上り列車が1本の1日1往復しか運転されていない、日本一旅客列車の運行本数の少ない路線であり、決して需要のある路線ではありませんでしたが、そのような区間の乗車券を敢えて金額式としないで一般式で設備していた理由は、当時の国鉄静岡鉄道管理局が、旅客収入を東海道本線と明確にすることで、旅客の需要動向を調査していたのかもしれません。


清水港線はもともと東海道本線の貨物支線という経緯があったからでしょうか、東海道本線のホームの先端から、職員通路のような踏切通路を渡って乗車ホームに行く構造になっており、末期にはDE10形機関車が牽引する雑型客車の列車が運転されていました。途中には清水港(しみずみなと)・清水埠頭・巴川口・折戸という駅がありましたが、清水港駅が貨物駅でその他の駅は旅客扱いをしていましたが、無人駅である折戸駅以外の駅は貨物輸送がメインの駅で、旅客扱いの駅員は配置されておらず、線内の乗車券を発売している駅は終点の三保駅だけでした。


清水港線は国鉄再建法の第1次特定交通線に指定され、この券が発行された2週間後の4月1日に廃線になってしまっています。

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