一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

新刊、旧刊とりまぜて
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介護はつらいよ 年末年始編

2006-12-28 03:36:57 | Essay
12月26日付の「朝日新聞」投書欄に次のような趣旨の文章が載っていました。
タイトルは「在宅介護者に気が重い正月」。
埼玉県在住、60歳男性の投書です。

この方は、「重度の難病にかか」った奥さんを在宅で介護なさっている。
ところが、「在宅看護・介護の支援事業所が一斉に年末年始休暇をとって休んでしま」い、「在宅介護人としては、支援のよりどころを失い困惑しながらも、自力でこの期間の介護を乗り切らざるを得なくなる」。

まあ、実際に体験しないと、分かりにくいかもしれませんが、拙宅の例で言えば、90歳代の年寄りが一人おりまして、「要介護5」という認定を受けております(「4級」の身体障害もあり)。
ちなみに「要介護5」というのは、要介護度区分(軽いものから「要支援1」「要支援2」「要介護1」~「要介護5」となっています)で、もっとも重いランクね。
おそらく、この投書なさった方の奥さんも、拙宅の老人より重い身障者認定なんじゃないかしら。

また、拙宅の場合、在宅サービスとしては、週2回の在宅看護と2週に1度の在宅診療、その他に、週3回のデイ・サービスと月に5日のショート・ステイを受けています。
投書者の方の場合は、具体的な回数は分りませんが、「訪問看護ステーションや訪問入浴・リハビリなど、在宅看護・介護」を受けているようです。

それらのサービスが、年末年始はまったく受けられなくなるのね。
したがって、
「介護生活に休みはなく、お正月だろうとやるべき日課に変りがない。気持ちの片隅にあるのは、手に余る事態になった際の不安で、緊張に拍車をかける。突然の発熱や病変、清拭(せいしき)、胃ろう処置、痰吸引等々が、家事に加え、介護人の肩に載る。お正月こそ忙しくなる不思議さ。」
ということになるわけです。

小生の場合は、この方のおっしゃることは、身近なことなのですが、読者の方にとっても他人事じゃあないのよ。
まずは、ご自分の親御さんの世話が迫ってくる。それがないにしても、今度は自分自身に振りかかってくる問題になるのですよ。
小生だって、介護をしながらも、自分自身がそうなった時のことを考えると、不安感が一杯になってきますからね。

それはさておき、投書者は、次のように書いています。
「近年は元旦から営業している顧客志向の業界も多い。来年は、福祉ももっと利用者志向になってほしいものだ。」

けれども、公共的に「弱者切捨て」の傾向は、ますます強まっています(身障者の外出支援の時間上限が決められるなど。一方で、金銭的な余裕のある人=強者は、あれこれサービスの付いた有料老人ホームが使えるのですねえ)。
小生が老人になった場合、公共福祉はどこまで切りつめられているのでしょうか。
近年の政治動向を見ていると、不安感は強まるばかりです。

ということで、弱者にとって「年末年始の介護/被介護はつらいよ」というお話でありました。