一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

新刊、旧刊とりまぜて
読んだ本の書評をお送りいたします。
活字中毒者のアナタのためのブログです。

熱は下がったものの……。

2007-11-10 08:17:11 | CD Review

FRANZ SCHUBERT
DIE STREICHQUARTETTE
MELOS QUARTETT
(DG)


アセトアミノフェンの効果で熱は下がりましたが、全身の倦怠感は依然として続いています。

ということで、本日もシューベルト。
しかも、弦楽四重奏曲全集で、「ゆるい」シューベルトをお楽しみください。

シューベルト・ファンの人には、厭がられるだろうけれど、「ゆるい」というのは必ずしも悪口だけに使っているわけではない。
いい意味で言えば「インティメイト」。もちろん、構成や和音構成などは、ベートーヴェンと比べて劣ることに間違いありませんが、シューベルトには、この親密性とメロディーがそれを補うほどたっぷりとあります。

詳しい説明は、風邪が治ってからということにさせていただきましょう。

頭痛、発熱、倦怠感、食欲不振……。

2007-11-09 14:45:08 | CD Review

Schubert
Songs without Words
Mischa Maisky
Daria Hovora
Piano
(DG)


ということで、どうやら風邪のようです。

気怠くて、どうもまともな文章が書けそうもありません。
解熱剤とアイスィングで熱を抑えるべく対処しているのですが……。

そこで、割と気楽に聴けるCDをご紹介。

マイスキーが、以下のようなシューベルトのリートを弾いているアルバムです。

 Der Neugierige, D 795
 Lied der Mignon, D 877/4
 Tauschung, D 911/19
 Der Leiermann, D 911/24
 Nacht und Traume, D 827
 Am Meer, D 957/12
 An die Musik, D 547
 Die Forelle, D 550
 Staedchen, D 957/4
 Der Einsame, D 800
 Der Mueller und der Bach, D 795/19
 Heidenroeslein, D 257
 Litanei auf das Fest Allerseelen, D 343
 Du bist die Ruh, D 776

バッハの息子たち―C.P.E.B + J.C.B + W.F.B. + J.C.F.B.= ?

2007-10-30 01:38:22 | CD Review

BACH SONS
CARL PHILIPP EMANUEL BACH
JOHANN CHRISTIAN BACH
WILHELM FRIEDEMANN BACH
JOHANN CHRISTOPH FREIDRICH BACH
(BRILLIANT CLASSICS 99785)


子沢山の大バッハの息子たちの多くが、音楽家となっています。
ですから、このCDセットのような企画も当然生まれてくるわけで、この他にも何種類かのCDが入手できます。

その中で、この BRILLIANT CLASSICS のセットは7枚組。
C. P. E. バッハが3枚、J. C. バッハが2枚、W. F. バッハと J. C. F. が各1枚という構成です(それにしても順列組合わせのような名づけ方!)。

小生も、聴いたことのない曲がほとんどで、そういう意味からも、なかなか興味深いセットでしょう。
それにお値段も、国内盤の高い CD1枚と、ほとんど変りがないのです(何で国内盤は、あんなに高いのでしょ?)。

さて、楽曲の方ですが、個人的には、C. P. E. バッハが最も面白く聴けました。
元々、C. P. E. B. は好きな部類の作曲家だったので、初めて聴くような気はしません(以前にも、『チェンバロとピアノの二重協奏曲』『ソナタ ホ短調とロンド ト長調』をご紹介しています)。

前には「素朴な音楽」として捉えていましたが、なかなかどうして、そう単純なものじゃあない。
歴史的/様式的には「大バッハのバロック時代とハイドン、モーツァルトなどの古典派時代とを結ぶ音楽」ではあるのですが、それなりの独自性を持っています。

岡田暁生『西洋音楽史』(中公新書)によれば、バッハの息子たちの世代は、前古典派の時代に属し、
「エマニュエル・バッハはベルリンで活躍し、とりわけ鍵盤曲における激越な主観表出で知られた。鍵盤楽器の名手だった彼の音楽は、いわばフランツ・リストの18世紀版のようなところがある。(中略)彼は瞬間的な気分の揺れを直接鍵盤に叩きつけるような音楽を書いた。」
となります。
しかし、このような感情表出は、必ずしも鍵盤楽器の曲だけではなく、このCDでは、チェロ協奏曲にも端的に現れているのではないでしょうか(イ短調、変ロ長調、イ長調と、すべてのチェロ協奏曲が収録されているが、特にイ短調のそれに最も強く現れている)。

「前古典派の曲なんて……」
とお思いの方には、一度耳にされることをお勧めします。

何とも懐かしい雰囲気! バックス『オーボエ五重奏曲』

2007-10-29 02:12:42 | CD Review

BAX・BLISS
BRITTEN
Music for
OBOE & STRINGS
Pamela Woods, Oboe
Audubon Quartet
(TELARK CD-80205)


前回、ゲテモノを取り上げましたので、今回はお口直し。
A. バックスの『オーボエ五重奏曲』です。

この楽曲は、以前に「一風斎のもっと音楽を!」で一度、ご紹介しています(「室内楽の楽しみ(30)」を参照。演奏はナッシュ・アンサンブルのメンバー。hyperion盤のバックス・アルバム)。
今回、取り上げるのは、アメリカのオーボエ奏者パメラ・ウッズとオードゥボン四重奏団の演奏した、イギリス「3B」のアルバムです。

バックスのほかに、A. ブリス、B. ブリテンのオーボエ室内楽が含まれていますが、ブリスの作品は完全にバックスのそれを踏まえたもの。
ブリテンの作品は、いかにもブリテン初期の作品らしく才気にあふれた出来です。

したがって、ゆったりとした気分で聴くのに最も向いているのは、このバックス作品ということになるのでは。

まず、オーボエという木管楽器が、いかにも「鄙びている」。ことばが悪ければ「田園情緒が横溢している」(東洋的な旋律はありますが、日本の田舎ではなく、アイルランド辺りの田園地帯)。

第二に、前述したように、何か懐かしい旋律感があること。
これは前に書いた文章を流用すると、
「一度でもイギリス音楽を聴いたことのある人ならお分かりと思いますが、どことなく懐かしい気持にさせてくれる。それは、さっき言った、イギリスの民謡などを元にした、学校唱歌や教会音楽などをどこかで耳にしているからでしょう。
どうも、小生は、その懐かしさに惹かれるようです。殊に、木管の響きが、それを引き立ててくれます。」
ということになるのでは。

最後に、このCDの録音を褒めておきましょう。
深々としたオーボエやチェロの低音が、かなりリアルに存在感をもって捉えられています(もちろん高音もそうなのですが、この楽曲では、ヴァイオリンなどの高音部が、あまり活躍しないので)。

以上のような理由から、今回は広くお勧めする次第であります。

今日のゲテモノ―バッハの『ルカ受難曲』

2007-10-28 03:06:37 | CD Review

J. S. BACH
ST. LUKE PASSION
recomposed by JAN JIRASEK after an idea by CARL ORFF
Boni Pueri・ Munich Oratorio Choir・Munich Symphony Orchestra
Clear・Zanasi・Cold・Kronaue
Douglas Bostock
(Classico)


新約聖書には、「マタイ伝福音書」「マルコ伝福音書」「ルカ伝福音書」「ヨハネ伝福音書」の4つの福音書が収められています。

その中から、イエスの受難を題材にして作曲したものが、受難曲(Passion)です。
バッハは、ご承知のように、『マタイ受難曲』と『ヨハネ受難曲』をほぼ完全な形で残しているので、今日の私たちも耳にすることができます。

また、『マルコ受難曲』(1731年に初演された記録あり)は、楽譜も残されていないので、おそらくこの作品から転用したと思われる曲によって復元され、演奏されCD化もされています(T. コープマンによる復元版ありとのこと)。

しかし、『ルカ受難曲』は、バッハの筆による譜が残されているのですが、研究者によれば、バッハの作品ではないとされています。
にもかかわず、『ルカ受難曲』のCDなんてのが出ているのね。
しかも、あの C. オルフが残したアイディアを元に(楽譜は戦災で焼失)、チェコの現代作曲家 Jan Jirasek(1955 - 。ヤン・ジラチェックと読むんでしょうか)が再作曲をしている。

ただ、これ(オルフ/ジラチェック版)は、どう好意的に聴いても、バッハの作品とは思えませんなあ。
もう完全に、『カルミナ・ブラーナ』と同じ復元(捏造?)レヴェル。よほどのゲテモノ好きな方以外には、お勧めはできません(現代音楽に徹しているわけではないしね)。

小生、まだ耳にはしていないのですが、コープマン復元版の『マルコ受難曲』の方が期待が持てそうです。

11月1日の「万聖節」によせて

2007-10-26 03:15:54 | CD Review

Hugo Wolf・Richard Strauss
LEADER
Barbara Bonney・Geoffrey Parsons
(DG)


日本でも「ハロウィーン」は有名になってきましたが、実はこの日(夕方)が、「万聖節」のイヴだということは、あまり知られていないようです(したがって、「ハロウィーン」は10月31日、「万聖節」は11月1日)。

ちなみに「万聖節」とは、「キリスト教で、全ての聖者に祈りを捧げる日」なんだそうです。

この日にちなむ曲で、最も有名なのが、R. シュトラウスの "Allerseelen" (「すべての魂」の意。「万聖節」は "Allerheiligen") でしょう。普通は、この曲も『万聖節』と呼ばれています。

英訳の歌詞を以下に載せておきます (ドイツ語の詩作者は Hermann von Gilm)。
All Souls' Day
Place on the table the fragrant mignonettes,
Bring inside the last red asters,
and let us speak again of love,
as once we did in May.

Give me your hand, so that I can press it secretly;
and if someone sees us, it's all the same to me.
Just give me your sweet gaze,
as once you did in May.

Flowers adorn today each grave, sending off their fragrances;
one day in the year are the dead free.
Come close to my heart, so that I can have you again,
as once I did in May.

読んでのとおり、亡くなった恋人を「万聖節」に偲ぶという歌詞です。

ここでは若い女性をイメージして、バーバラ・ボニーの歌で聴いてみましょう。
"Morgen" も良いですが、この "Allerseelen" もなかなかの出来映えです。
やや細くストレートな発声で、清純なイメージ。J. ノーマンや E. グルベローヴァなどの脂っこい歌とは対照的です。その中間が、L. ポップということになるでしょうか(いかにフィッシャー-ディースカウといえども、男声は向かないように思えます)。

音楽の「宗教性」と「審美性」について

2007-10-22 09:05:36 | CD Review
なぜか最近、またバッハに凝っています。

昔々に買いためた音源を、何度となく聞き返しているのですが、一番回数が多いのは、『ロ短調ミサ』ということになりました。

ちなみに、手許には、
◯ピリオド楽器の演奏
 ブリュッヘン指揮18世紀オーケストラ
 ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
 パロット指揮タヴァナー・コンソート&プレイヤーズ
 アーノンクール指揮コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン
◯近代楽器の演奏
 マリナー指揮アカデミー・オヴ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
 コルボ指揮ローザンヌ室内オーケストラ
 リヒター指揮ミュンヘン・バッハ・オーケストラ
の7種類があります。

この内、ピリオド楽器の演奏に関しては、また別途扱うとして、ここでは近代楽器の演奏で対照的なコルボ盤とリヒター盤の比較をしたいのね。
ただし、考えがまだまとまっていないので、ここではエスキースのみ。

リヒター盤を聴いて、小生がまず感じるのは、その緊迫感。
出だしの「キリエ」からして、何が起こるのか分らない、けれどもきっと飛んでもないことが起るんじゃないか、と思わせる緊張があります。
この緊張あるいは緊迫感は、盤を通して一貫してあるものです。

一方、コルボ盤は、その演奏の(あるいは音の)美しさに惹かれます。
殊に合唱の見事さは、特筆大書すべきでしょう。
また、近代楽器ですので、管楽器の輝かしさも、忘れてはならないでしょう。

以上の2つの演奏を、一言で表すなら、リヒター盤の「宗教性」とコルボ盤の「審美性」ということになりそう。
その依って立つ由縁については、改めて論じたいと思います。

マーラーのカンタータ『嘆きの歌』を聴く。

2007-09-18 04:19:29 | CD Review

MAHLER
DAS KLANGENDE LIED
MICHAEL TILSON THOMAS
SAN FRANCISCO SYMPHONY & CHORUS
SHAGUCH DEYOUNG
MOSER LEIFERKUS
(RCA BVCC-760)


ドイツ・ロマン主義の定石に則った作品です。

音楽的には、1878年(マーラーが17歳のとき)に手掛け、1880年に第1稿が出来上がりました(ただし、全曲初演は、没後23年も経った1934年のことだそうです)。
ですから、音響的には、まだまだマーラーの独自性があまり発揮されず、むしろヴァーグナーの影響を強く感じさせるものとなっています。

そんな後期ロマン派の典型とも言える音楽の題材となっているのが、グリム兄弟の民話集にある「歌う骨」(ブルーノ・ワルターが最初に指摘したとのこと)。
内容を簡単に述べると、
「森で赤い花を探してきた者を王女と結婚させると言われ、兄弟は森に入る。弟がその花を探しあてるが兄は弟を毒殺し、王女と結婚する。しかし死んだ弟の骨で作ったという笛を吟遊詩人が吹き、笛は悲しい物語を歌う。」(『クラシック音楽作品名辞典』より)
といったもの。

CD解説書で、最後の部分を詳しく見ると、
「彼(吟遊詩人)が現れる。彼が吹く笛は、再び忌まわしい物語を歌う。今や王となった兄が、思わず笛を取り上げて口にあてると、今度は自分の唇から、われとわが身を呪う言葉が奏でられてきた。
『ああ、兄さんだ、いとしい兄さんだ。ぼくを殺したのは貴方だった。貴方は今、ぼくの真白な骨でできた笛を吹いているんだ』
女王は気を失って床に倒れ臥し、客人は恐怖とともに逃げ去り、城は崩れ廃墟と化す。」
となります。

小生が最も不思議に思うのは、なぜ若き日のマーラーが、このような題材を選んだかということ。
確かに、グリム兄弟によって発見されたドイツの民話には、残酷なもの、恐ろしいものが数多あります。それがロマン主義者たちの興味関心を惹いた。
マーラーも、その例外ではなかった、ということでしょうが、それだけでは説明したことにはならない。

どうも、そこには「超自我」というか「良心」というか、心の深くにある「罪悪感」のようなものが感じられるのですが。
マーラーの生育歴に詳しい方は、どのようにお考えでしょうか。

メンデルスゾーンの『ピアノ・ソナタ第1番』を聴く。

2007-09-08 00:47:27 | CD Review

MURRAY PERAHIA
MENDELSSOHN
Sonata, Op.6
Variations serieures
Prelude & Fugue, Op.35,No.1
Rondo capriccioso
(CBS Sony 32DC5023)


メンデルスゾーンの人気はそう高くはありません。
また、作品として知られているのも、『真夏の夜の夢』や『フィンガルの洞窟』『交響曲第3番〈スコットランド〉』『交響曲第4番〈イタリア〉』などのオーケストラ作品でしょうか(ヴァイオリン協奏曲は、今でも定番なのでしょうか)。
特に、室内楽やピアノ独奏曲となると、聴く機会もあまりないようです(『無言歌集』も聴かれるのは、その一部のような気がします)。

かく申す小生も、室内楽で聴いていたのは、『ピアノ三重奏曲第1番』くらいのものでした(カザルスのチェロ "A Concert at the White House" ですな)。

室内楽曲を集中的に聴き出したのは、最近になってですから、あまり偉そうなことは言えない(その前に聴いていたのはメンデルスゾーンの宗教曲。これもなかなか良いのですが、こちらを参照してください)。

さて、メンデルスゾーンの室内楽をまとめて聴けるアルバムとしては、小生の知る限り2種類あります。
第1は、EMI の "MENDELSSOHN Musique de chambre" という5枚組のセット。
もう1つは、Brilliant の "Mendelssohn Chamber Music Complete" という10枚組のセット。

後者は、すべての室内楽曲を収録してありますので、『クラリネット・ソナタ』などという珍しい曲を聴くこともできます。しかし、メンデルスゾーンの室内楽曲をほとんど収録してある前者でも、その全貌を掴むのに支障はありません。
また、全体的な演奏の質という面では、前者の方が優れているのではないかしら(例えば『ピアノ三重奏曲第1番』は、プレヴィンのピアノ、チョン・キョンファのヴァイオリン、ポール・トルトゥリエのチェロ)。

以上のような室内楽とともに、ピアノ独奏曲もメンデルスゾーンには、興味深いものがあります。

小生、メンデルスゾーンを好んで聴くようになったのは、どの曲もこちらの胸が広がるような気がするからなのね。多少の鬱屈した気分も、吹っ飛んでいくような気がする(また、特徴として、シューベルトとともに作品に独自の「歌」がある)。
そんなところが、「深刻好み」のこの国のクラシカル音楽ファンを、今一つ惹き付けないところだと思います。

この『ピアノ・ソナタ第1番』も、その例外ではありません。
ペライアのピアノの美しい音とともに、心優しい気持になれます。
特に第1楽章のメイン・テーマは、メンデルスゾーンの歌曲や『無言歌集』のような「歌」を感じさせます。

また、一転して、第3楽章から第4楽章へ休みなしに突っ込んでいく辺りは、スピードに乗った爽快感があります。

なかなか楽しい演奏を、このCDでお聴きください。

なぜかチューバ音楽を聴いてみる。

2007-08-24 07:30:49 | CD Review

LE TUBA ENCHANTEE
JOHN FLETCHER
(KING FIREBIRD COLLECTIOIN KICC-472)


小生、管楽器奏者については詳しくないのですが、このCDで演奏しているジョン・フレッチャーは、かなり有名なチューバ奏者のようですね。
1941年生まれのイギリス人で、かのフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルにも参加していました(PJBE解散後は、ロンドン・ブラスを結成)。しかし、1987年には、脳卒中で急逝しています。

このCDは、『蚤の歌―魔法のテューバ』という邦題で、日本で録音したもの。

前半は、チャイコフスキー(『くるみ割り人形』組曲から小序曲。テューバ四重奏曲版ということですが、フレッチャー1人の多重録音なんでしょうね)、エルガー(『朝の歌』)、ヴァグナー(『タンホイザー』から「夕星の歌」)、ムソルグスキー(「蚤の歌」)、モーツァルト(『フィガロの結婚』より「もう飛ぶまいぞこの蝶々」)といった編曲もの。

まあ、編曲ものもそれなりに面白いのですが、実際の聴き所は、後半のウォルター・ハートレー『無伴奏テューバのための組曲』とパウル・ヒンデミット『テューバとピアノのためのソナタ』、ジェニファー・グラス『テューバとピアノのためのソナティネ』でしょう(W. Hartley は1927年生まれのアメリカ人作曲家。J. Glass については、どのような音楽家なのかデータがありません)。

テューバの音色の多様性を楽しむには、ハートレーの作品が無伴奏なだけに一番でしょうし、20世紀音楽における管楽器のありかたのようなものは、ヒンデミットの作品がよく現しています(1955年作曲)。J. Glass の作品は、おそらくヒンデミットより新しいのではないかと思われます。いわゆる現代音楽に含まれるのでしょう(とは言え、十二音技法的ではない)。

このように、CD後半では三者三様のテューバ音楽が聴けます。
これにヴォーン・ウィリアムズとヴァン・ホルンボー(→こちらを参照)の『テューバ協奏曲』などがあれば、ほぼテューバ音楽の全容が掴めるでしょう。

なぜか、今日(8月23日)は涼しかったので、テューバ音楽となりました。
もし、管楽器の音色を暑苦しく感じる方がいらっしゃったら、ご免なさいであります。