田舎村・改

音楽、ケータイ、マンガ、ドラマをこよなく愛する稲稲作が送る雑記です。

「HOME」/アンジェラ・アキ

2006-08-27 23:05:25 | 音楽
シングル「HOME」を聴いて、アンジェラのほかの曲も聴きたくなったので、アルバムも購入しました。正直、スローテンポなバラードばかりなのかなぁ? という先入観があったのですが、実際にアルバムを通して聴くと、それは間違いだったことに気付きました。アンジェラさんごめんなさい、という。

とくに驚いたのが、4曲目の「MUSIC」です。聴いた瞬間ビックリしました。なんですかこりゃ、物凄く軽快な曲じゃないですか! 

「君はちょっとした言葉で
ちょっとした仕草で
沢山の愛を奏でる」
とあるように、「人の動作が音楽を演奏する」という新しい音楽観のようなものが歌われていて、非常に興味深い内容です。

「会話のメロディー
キスの音楽」
と歌われているように、生きることは音を奏でることなのだという。なるほど、音楽を愛するアンジェラ・アキらしい発想ですね。

そしてもう1曲、琴線に触れたのが「Rain」。これも軽快なテンポの曲で、聴けば聴くほど、味わいが増すといった印象でしょうか。

別れた恋人のことまだ想っている気持ちを歌っているのですが、そこに「Rain」(雨)の描写が加わることで、この曲の主人公のいる世界がすごくリアルにイメージできるのです。

「Rain Rain Rain 雨に濡れるたび
Rain Rain Rain 口がきけない」
という箇所が好きですし、ラストの「あ雨に~」という高揚感あふれる歌い方も好きです。アルバム「ONE」のオリジナル版も聴きましたが、「HOME」版のほうが演奏に厚みがあって好きですね。

4曲のシングルもやはり秀作。
「Kiss Me Good-Bye」は「壮大」という言葉が似合う重厚感あるバラード。

「This Love」は面白い曲ですね。歌詞を読むといろんな解釈ができます。

「約束と言う私達のコンパスだけでは
この恋は方角を見失うの」
「奇跡を待つより
この手をつなぎたい」
という部分を読むと、「遠距離恋愛を否定しているのか?」ととらえることもできます。

「信じる力が
私を自由にする」
の「信じる力」があくまで精神的なものなのか、それとも恋人が側にいるという距離感が含まれるのか、によって解釈が変わってくるでしょう。ただ、全体を見ると「手をつなぎたい」=「側にいたい」という気持ちが伝わってきます。前半で溜めた気持ちのようなものがサビで一気に爆発する、という流れが爽快ですね。

もう1つ、忘れてならないのが2曲目の「Love is Over Now」。この曲も凄い。胸に響きます。題名のとおり、「愛の終わり」が歌われているわけですが、「あなたの心を自由にしたいから」というサビが強烈。なんとなく情景的に、暗い夜道を歩きながら聴きたい曲です。

これは異色だなぁ、と思ったのが「宇宙」。この曲では「愛」というよりも「死」が歌われています。歌詞に『「私の名前は宇宙と申します」』てのも凄いなぁ、と。

この「宇宙」とやらは何者なのか? については、「死んだ家族」「自分自身」「死そのもの」など、いろいろ解釈できそうですが、要は「生」と「死」は表裏一体である、ということでしょうか。人間はいつか死ぬ。でも死んだからといって、その人と一緒に過ごした日々がなくなるわけではない。その人と共有した時間や思い出は永遠である、という解釈が『「娘よ、これでも終わりを信じるの?』『「永遠とは今」』の箇所から考えられます。

…とまあ、それぞれの曲が非常に個性的だなぁ、というのがこのアルバムの感想です。でも全曲でアクセントとなっているのが、アンジェラのピアノの演奏です。このピアノが各曲にオリジナリティを与えるとともに、アンジェラの魂のようなものが注入されているのだと。…というと大げさかもしれませんが、アンジェラの伸びのある声+ピアノ+曲を盛り上げる演奏…これらが三位一体となって、絶妙なハーモニーを奏でているのです。加えて、曲それぞれの世界観がとても鮮明。リスナーを曲の世界にスッと引き込んでしまうパワーこそが、アンジェラの魅力なのかもしれません。

「雲は白リンゴは赤」/aiko

2006-08-25 16:04:37 | 音楽
久々のまともな更新です。
なんかもう、忙しいです。以上(かよ)。
そんな多忙な日々の癒しになっているのが音楽です。最近はもういろんな曲やアルバムを買い漁ってます。

7月はとくにリリースラッシュでしたねー。aiko、スピッツ、ミスチルの新曲が同月に出たことは初ではないでしょうか? aikoとスピッツにいたっては、同日リリース。そんなわけで、今回はaikoの最新シングル「雲は白リンゴは赤」の感想です。

今回は珍しくノンタイアップだったので、リリース直後まで聴くことはありませんでした。第一印象は、「ボーイフレンド」のような軽快なナンバー。いや、「ボーイフレンド」よりもテンポは速いので、テンションを上げてノリノリになれる曲です。

でもいざ歌詞を読んでみると、失恋の曲なんですね。aikoの失恋ソングは「前の恋を引きずるタイプ」と「前向きに進もうとするタイプ」の2パターンがあります。で今作がどちらのタイプかというと、これがけっこう難しいものがあります。

「夏は何度もやって来る 暑くて空も高くて
あなたといた道が今もちゃんとゆらゆらしてる」
という歌詞を見ると、なんだ、吹っ切れたのかーと思うのですが、後半では

「逢いたい逢いたい逢いたいと強く願ってれば
なんとなく届く様な気がしてならないのです」
とあります。しかも「逢いたい」が3回続くほどの気持ちです。これは明らかに引きずってます。そしてラストは

「笑顔の空あなたの様にあたしも大丈夫になりたい」
ここは非常に前向きなのですが、

「リンゴの赤 水風船が割れた
こぼれ落ちた水にまぎれ泣いた」
で締めくくられています。

つまり、恋人を失った悲しみに耐えて前に進もうと努力はしているものの、まだ気持ちの整理がつかない…といった状況でしょうか。

ということは、やっぱり引きずってるってことなんですかね。すいません、行き当たりばったりで書いてるものでw。

今回面白いのは、「雲は白リンゴは赤」というタイトル。
「笑顔の空あなたの様にあたしも大丈夫になりたい」
の部分から、「雲」=「あなた」(歌詞では「空」ですが)。

笑顔の空は晴天の比喩でしょう。それを包み込む雲は、「あなた」の包容力を表しているのだと思われます。そんなわけで、「あなた」はとても明るくて包容力のある人だった-と。

対して
「リンゴの赤 水風船が割れた」
のは当然「あたし」を表現している箇所ですが、ここになぜ「リンゴの赤」という言葉を持ってきたのか…。普通に水風船が割れた→泣いた、でも十分なのですが。

リンゴ(林檎)について、改めて辞書で調べたところ、興味深い解説を発見しました。
リンゴは「4、5月ごろ、葉とともに白または淡紅色の5弁花を開き、のち球状の赤色などの実を結ぶ」のだそうです。

つまり、「白」とは「リンゴの花が咲いた状態=2人がうまくいっていた時期」を言い表しており、「赤」は「リンゴが実を結ぶ=2人が別れた時期」を言い表しているのではないでしょうか。実を結ぶ=結婚とかのほうがしっくりきますが、結末という意味では辻褄は合います。

…というのは考えすぎかもしれませんが、こういう比喩を歌詞に持ってくるのはaikoの曲では珍しいなーと思いました。

ほかのアーティストには真似のできそうにない変則的なメロディも健在。とくに歌い出しの部分は秀逸です。カラオケで歌いづらそう。

アルバム「彼女」も購入したので、そちらの感想も後ほど。